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「さて、どうするかな。まずはあそこに行ってみるか」
50メートルほど先にある小さな家に体を向ける。
銀色の鱗に覆われたようなとんがった三角屋根の家。
ストローのような煙突からピンクの煙がたなびいている。
「煙が出てるってことは人がいるってことだよね?」
きょろきょろしたり深呼吸したりしながら歩いていくと、あと少しというところでドアが開いた。
ドアからは真っ黒い猫が出てきて、その後ろからふくよかな女の人が顔を出した。
「あら、いらっしゃい。」
女の人はにっこり笑って、まるで知り合いのように声をかけてくる。
「あの、こんにちは。ちょっとお伺いしてもよろしいですか?」
ドキドキしながら尋ねると、その人は猫を抱き上げながら頷く。
「もちろんよ。まだ何が何だかわからないでしょう?
中でお話ししましょう。お茶でも淹れるわよ。」
招かれて家の中にお邪魔すると家の中は意外と普通で
、良くあるような木造の棚やチェスト、食卓テーブルにベンチタイプの椅子が2脚バランスよく配置されている。
外の世界は不思議な色味でいかにも異世界って感じだったけど、猫も女の人も家具も日本でよく見かける雰囲気で違和感がない。
それがまた違和感なんだけど。
「私、田中キヨコと言います。お名前を伺っても?」
「私はマリよ。よろしくねキヨコさん。」
苗字とかは名乗らない方針かな。まあ、いいけど。
なんせかんせまずは現状把握をしないといけない。
「マリさん、早速で申し訳ないんですが、ここはどこなんでしょうか?私のようなものの対応に慣れてらっしゃるようですが、突然人が訪ねてくるような事がよくあるんですか?」
「キヨコさんはなんだかしっかりしていて落ち着いてるわね。キヨコさんは日本人よね?」
「はい!そうです!やっぱりここって異世界的なやつですか?」
「異世界っちゃあ異世界だけど、たぶんあなたが想像してるような異世界はもう一つ下の世界なの。ここはその世界に行く前に立ち寄って色々お話しする場所なのよ。」
「そうなんですね…」
異世界の異世界だった…!