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工場で事故があって、ミイちゃんが精霊を連れて来るという濃密なあの日から3日たった。
今日はようやく仕事が休みの日だ。
工場は事故の次の日はまだみんな落ち着かない感じだったが、ようやく通常の雰囲気に戻りつつある。
ナムルさんの怪我が治る物だったというのが大きい。
精霊は出て行くこともなく我が家で自由に過ごしている。
家の中を飛び回ったりミイちゃんと一緒に外に出て行ったりもする。
このまま居付きそうな気がしたので、恐れ多いながら名前をつけさせていただいた。
ミイちゃんもその方がいいよって言ったし…
精霊の名前はアオにした。
ネーミングセンスについては許してほしい。
次の休みには病院に行く約束をしていたし、ナムルさんのお見舞いもしたかったので、私は麻のチュニックに水色のスカートをはいて、白い帽子をかぶってから家を出た。
いつもそれなりに日差しが強いの最近はで帽子をかぶることが多い。
ミイちゃんとアオにお留守番よろしくね、と声をかけて家を出て病院へ向かう。
病院は少し遠いので、役所の前から乗合バスを利用することになる。
乗合バスはハワイのトロリーのような形でなっていて楽しいし気持ちいい。
バスに揺られながら外を流れていく花や木を眺めているとあっという間に時間が過ぎていく。
それが楽しくて、私は休みの度に乗合バスに乗ってあちこちに出かけていた時期があった。
病院に着いてまず、受付でナムルさんの病室を聞き、ドクターへの取り次ぎをお願いした。
入院病棟は2階らしく、ナムルさんは突き当たりの4人部屋にいるとのことでまずはお見舞いに向かう。
部屋は日当たりがよく白で統一されており、窓が開かれ柔らかく風が吹き込みカーテンが揺れている。
ベッド毎にカーテンで仕切ることが出来るつくりだが、全て開け広げられており、患者さん同士で和やかに会話を楽しんでいた。
窓際のベッドにナムルさんを見つけて、近寄って声をかけた。
「ナムルさん、こんにちは。お加減いかがですか?」
「キヨコさんですね!先日はお世話になりました!
お陰様で、痛みはまだあるし少し痺れてるような感じもするけど、時間が経てば元通りになるって言われてます。
あの時はもう手が使えなくなるかもって思ったから、本当に良かった。」
「それは何よりです!ナムルさんが復帰して一緒に働けるようになるの楽しみに待ってますね。」
「本当にありがとうございました。退院したらぜひお礼をさせてください。」
「いやいや、お気遣いご無用ですよ。私は付き添ってきただけなので…」
「そんな事ないですよ!キヨコさんはお医者さんだったって聞きました。そんな人があの場にいてくれて、僕は本当に幸運だったと思います。」
「恐縮です…ナムルさんが早くよくなるように精霊様にお祈りしておきますね。これ、お見舞いです。よければ食べてください。」
ナムルさんがすごく丁寧に何度もお礼を言うので、なんだかむずむずしてきて、逆にいたたまれない。
お見舞いのクッキーと定型文を残して私はドクターに会いに行くことにした。




