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気がつくと結構長い時間話し込んでしまっていて外を見ると日が傾きかけているのがわかる。
「長々とすみません!お仕事のお邪魔をしてしまって…」
私が慌てて立ち上がって言うと、神田さんは穏やかに笑いながら
「大丈夫。お客さんなんてそんなに来ないんだよ。
昨日こっちに来たってことはまだここのご飯とか食べてないでしょ?
よかったら晩御飯ご馳走するよ!」
とありがたい提案をしてくれた。
そういえば何も食べてなかったことを思い出す。
元々私は美味しい物を食べるのは好きなのだが食に対しての執着が少ないというか、1日2日食べないのが平気な質だから忘れていた。
家でお茶を飲んだのと、役所でお茶を飲んだくらいだ。
こちらの世界で1人でレストランなどに入るのはまだハードルが高いし、そろそろしっかり食べないとと思い神田さんの提案に乗せてもらうことにした。
神田さんが手際よく外に展示していた小物類をお店の中に仕舞い雨戸のような物を閉めながら帰り支度を始めると、入り口から子供の声が聞こえてきた。
「お父さん!お仕事終わったー?」
目をやると5歳くらいの可愛いらしい女の子がこちらを覗きこんでいる。
小麦色の肌に茶色の癖毛を耳の下で2つに結んだ大きな目の女の子だ。
神田さんは黒目黒髪の塩顔なのでそんなに似てはいないが、お父さんと言うからには神田さんのお子さんなのだろう。
「ルナ!お迎えに来てくれたのか?
仕事はおしまいだよ。
今日はすごいお客さんが来たからお外でご飯にしようと思うんだ。
お母さんとソラを呼んできてくれる?」
神田さんが頭を撫でながら言うと娘さん、ルナちゃんははーいと元気よく返事をしてお店の裏手に走って行った。
「家がすぐ裏だから片付け始めると気付いて毎日迎えに来てくれるんだよね」
神田さんはデレっとした顔で頭をかきながら娘さんの走って行った方を見ている。
微笑ましい光景に、羨ましいなという気持ちと自分は1人なんだという現実を突きつけられた寂しい気持ちが複雑に絡み合いながら胸を掠めた。




