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「えぇ〜!志村◯んが!?鳥○あきらも!??!」
「あー、その地震の話は前の渡り人に聞いたよー。
復興進んだんだね。大変だったろうけどすごい事だよなぁ。」
「リニアはまだできてないのかー」
「ゴジ◯がアカデミー賞?マジで???」
私の話をひとつひとつ大きなリアクションで楽しんでくれる神田さん。
この人絶対陽キャだな。
私も今の段階で聞きたいことを全部聞こうと前のめりになって質問する。
「魔法があるって聞いたけどどんな感じのものなんですか?神田さんは使ってるんですか?」
「神田さんはミイちゃんみたいな案内係はつかなかったんですか?」
「仕事ってどうやって探したんですか?」
「他の渡り人の方達は今どんな生活してるんですか?」
「神田さんから見てこの世界と地球の違うところってどんなところですか?」
神田さんはひとつひとつ丁寧に答えてくれた。
「魔法ねー、魔力を電気みたいに使うのはもう聞いた?ゆっくり呼吸しながらなるべく具体的なイメージをして練習すると何かしらできるようになると思うな。
でも僕の知る限りでは火の玉で攻撃するとか洪水を起こすとかそういうのはできないね。
濁った水を綺麗にするとか、暑い時に周りに少し涼しい風を起こすとかそんなかんじ。
僕は服を作る布の染色の時に魔法を使って発色を良くしたり色持ちを長くしたりしてるよ。
他にも洋服がシワにならないように形状記憶みたいなこともできるかな。
練習次第では1週間もあれば何かしら変化あると思うけど、これが必要ってのがないと身が入らないかもね?
僕は暑いのが苦手でどうにか涼しくならないかって思ってたら風を起こせるようになったんだよね。」
「僕にはマイって言う白いキツネが最初は付いてくれて色々教えてくれたよ。
一年くらいで帰ってしまったけどその後もたまに様子を見に来てくれていたから、少し寂しいけど我慢はできたかな。
ちなみに尻尾みたいなの3本飛んでたでしょ?
もう一本のはアイって名前の白い猫らしいよー。」
アイマイミーかー、と思いながらミイちゃんをちらっと見ると伏せの姿勢で私を上目遣いでみながら器用にウインクしてきた。
かわゆす。
「仕事は役所の人に相談してしたいことを言ったら紹介してくれるよ。
働かなくても別に生きていけるけど暇なんだよね。
なんか申し訳ない気持ちになってくるし…
田中さんは医者だったんだ?
じゃあこっちでも医者をやったらいいじゃん!
え、いやなの?せっかく知識があるのにもったいなくない?」
「田中さんの前の人は農家になってるよ。
ちょっと遠いけど行けない距離じゃないからこの世界にもう少し慣れたら会いに行ってみたらいい。
きっと喜ぶと思う。
僕の前の人は僕が来た時には亡くなってしまっていて、前の前の人は冒険者みたいなことをしてるよ。
遠くまで行って珍しい植物や動物や鉱物を採取したり研究したり…
でもその人は3歳の時にこっちに来たそうでほぼこっちの世界のネイティブなんだよね。」
「地球とこの世界の違いかぁ…
あくまで僕の意見だから参考程度に聞いてね?
この世界はなんていうか、悪意みたいなものがすごく少ない気がする。
喜怒哀楽はきちんとあるんだけど、誰かを妬んだり恨んだりっていうのをあまり聞かないな。
犯罪なんかもほとんどないし困っていたら助け合う。
すごく優しくていい世界なんだけど、そのせいか発展がないんだよ。
みんな今でいいと満足してるから。
もっと、もっとって思わない。
だから僕たちみたいな外部からの刺激や知識を入れるようになっているんじゃないかな。
もしもすごい悪人がこの世界にやってきたら、あっという間に騙されて全て奪われるような危うさがある。
幸い今まで来た人は穏やかで周りに馴染んで生きているけれど、そういう人が選ばれているのかただの偶然なのかはわからない。
もしくは悪人が善人に染まっていくのかもしれないけど。
どうなんだろうね?
腐ったみかんをひとつ入れたら他も腐るのか、腐ったみかんが消えるのかは誰もわからないね。」




