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「この冊子はこの街のガイドブック的なものと、今までの渡り人達がまとめたここの生活で知っておくと便利なことが書いてあるから時間がある時にでも見てみてね。
後は渡り人には生活補助金が出ることになってるのでその契約書とー、銀行の口座開設用紙でしょー、
あとは身分証を作るのでこことここに名前と生年月日の記入をお願いします!」
言われるがまま渡されたペンで空白を埋めていく。
言葉も通じるし、文字も読めるし私が書いたものも理解してもらえてる模様。
自動変換的なものなのか元々日本語を使っているのか判断はつかない。
「はい、これで手続きは完了です!
しばらくはのんびり観光でもして、何か気になることとかしたいことがあったらまた来てくれるといいよ。
あと、ここ出て右にまっすぐ行くと緑の屋根の服屋があってそこが前々回の渡り人のお店だから気が向いたら顔出すといいかも。」
アルトさんはまた白い歯を光らせてから忙しそうに部屋から出ていった。
「ミイちゃん、その服屋さんにこれから行ってもいい?」
「いいに決まってるじゃない!」
「ミイちゃんはその人のこと知ってる?」
「マリの家に来たところはちらっとみたけど、それだけ。男の人だよ。」
やっぱりこういうのは同じ境遇の人に話を聞くのが1番手っ取り早い。
私は少しだけ気が急いでいるのを自覚しながら緑の屋根の服屋さんへと向かうことにした。




