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「いや〜、お待たせしました!」
受付嬢に連れてこられた局長という人はこの世界に来て初めて遭遇した黒い肌の、アフリカとかあっち方面の容貌の男の人だった。
年齢は不詳だ。
前にマリさんに聞いた話では、地球と似た世界って言ってたから、人の体とか寿命とかそういうのも同じような感じなのだろうか。
いや、地球だとしても黒人さんの年齢も白人さんの年齢もわからんのだけど。
日本人ならギリかな。
ただ私は麻酔科医として働いてきたおかげで身長体重はだいたい想像がつく。
この人は180センチくらいの80キロ前後ね。
細身に見えるけど筋肉だから重いのよね。
それにしても今までは日本人とか東南アジア人みたいな人ばっかりだったからすごく新鮮…
若干のパニックで頭の中をとっちらかせながら不躾にもまじまじと見入ってしまった私に、眩しく光る白い歯を見せてニカっと笑いながら局長は右手を差し出した。
「はじめまして、僕はアルトと言います。この肌の色、珍しい?」
私は慌てて握手を返しながら言い訳した。
「失礼な態度をとってすみませんでした!!
私は田中キヨコです。
昨日こちらの世界に来たんですが、前の世界でもこちらの世界でもそんなにいなかったといいますか…」
よく考えたら言い訳になっていなかったがアルトさんは気にしないふうに頷いている。
優しいひとなのね。
「この辺にはあんまりいないよね。海を渡った国にはたくさんいるんだけど。
以前違う渡り人にあったときに、びっくりされて、そちらの世界の話も色々伺ったんだよ。
じゃあ早速だけどこちらの書類をみてもらえるかな?」
アルトさんは机の上に薄い冊子と5枚くらいの紙を並べた。




