私は誰? ここはどこ!?
実に不思議なことから数日。
何となくこの世界のことが分かった。
ひとまとめに言うと、ここは、異世界。おそらく私は異世界転生した。
この世界は魔法が使えるらしい。
……私も使えないかなぁ。
そんな呑気なことを考えているが、それはまだ分からなかった。
しかも。私。
『男』なのだ。
……いやいや、異世界転生ってこう、同性に転生して人生一発逆転! とかじゃないの!? 男ってだけでやりにくいんだけど!
これが現状だった。
そう。私は誰、ここは何処状態。
なんだかヨーロッパのような街づくりで、ファンタジー要素が多い。
だというのに。いや、だからだろうか。日本人近い人が多くて不思議だ。
だが、奇妙なことに髪の色は金髪やピンク、緑、青など染色が多かった。これは、染めていないらしい。何となく近くにいて感じ取った。
私の髪の色は黒で、瞳は赤らしい。
……まだマシかな?
陸上一筋だった私は、ファッションにも興味がなく、髪を染めたこともなかった。(普通かもしれないけど)
正直黒髪はありがたい。
そして私には友達がいた。
「なあ、ミナト。最近ぼーっとしてること多いけど、どうかしたのか?」
「いや、大丈夫! 全然健全だから!」
「……? そうか」
友達は頭に?を浮かべながら頭く。
友達の名前は「リトル」。
そして……何だか抜かしていたが私の名前は『ミナト』だ。まだミナトは湊とかに思えるからこれもマシだ。少し中性的な名前で良かったと思う。
……リトルとかだったら日本人近くないし、男の子っぽいし。私、幸運かも。
「……あの、さ。悪いんだけど今日何かやるか知ってる?」
「はあ? またか? お前一昨日から何言ってるんだよ。今日は畑仕事だよ。種まきだろ、ここ一週間は」
「あはは〜。ありがとう」
呆れたようにため息をリトルがつくが、気にしない、気にしない。私は知らなかったのだから。
……はあ。なんかこう、一発逆転のなんかないかなぁ。
蒸し暑くてたまらない。これでは熱中症で倒れそうだ。今の季節は春ではないのか。
「ねえ、リトル。なんでこう暑いの?」
「はあ? こんなのいつものことじゃねえか。……まあ、王様の魔力で守れなくなってきてるんじゃあねえの? あと、お前喋り方どうした。なんか気持ちわりーぞ」
「あっ、その、いや、何でもないよ。あはは……。あ、ありがとう」
この子は一体どういう喋り方をしていたのだろう。もう、私の喋り方で喋ってしまおうか。
暑いのには領主様が関係しているらしい。魔力で守れない、というのはどういうことだろう。
……てか、なんで私畑仕事してんの。
私は一発逆転のチャンスを狙うのではなかったか。
諦めろと神様が言っているのだろうか。
「ああ、もう! ひどいよ」
「んあっ!? 何だよいきなり」
「ごめん、何でもない」
私はその時ふと気づいた。
私が全く息切れをしていないということに。
……ええぇ。
やはり、男の体だからか。でも、リトルは息切れしている。
体格も身長もほぼ一緒。変わりがあるようには思えない。それに、食べるものは同じだろう。この世界のご飯を食べて分かった。
……もしかして、呼吸のしかた?
この世界には空気が多くてしやすいとか。いや、それでは圧死してしまうだろうか。
……でも、この世界では何かが違うのかも。
だとしたら、私。もう最強ではないか。元地球人というだけで有利に立っている。
……よし。決めた。
——私は、陸上にありふれた国をつくる!
星乃いーふです(*^^*)
読んでくださりありがとうございました。