おまけ Wiki風解説 映画『222高地物語』
『222高地物語』(にひゃくにじゅうにこうちものがたり/にゃーにゃーにゃーこうちものがたり)は1983年の日本映画。
企画製作フ〇テレビジョン。
■概要
日露戦争の旅順攻囲戦における、222高地(標高222メートルの丘)から行われたネコ投入作戦を描いた作品である。
当初は航空機開発を中心に据えた戦争映画の企画であったが、当時『キタキ〇ネ物語』や『黄〇の犬』など動物ものの映画やドラマが人気を博していたことから企画段階でネコにスポットを当てたものに脚本が大幅に書き換えられた。
このためストーリーが前半と後半で大きく変わる珍映画として知られる事となる。
角〇映画の大作志向や海外SF映画の影響も大きく受けており、大規模な中国ロケを敢行するだけでなく当時最新のVFX技術も大胆に使用されている。
宣伝もフ〇サンケイグループの全面的な広告戦略により大々的に行われたため、興行的には黒〇明の『影〇者』(1980年)を超える60億円もの国内興行収入を挙げ記録的な大ヒットとなった。この記録は宮〇駿の『もの〇け姫』(1997年)公開まで破られることが無かった。
だが前述のように破綻した脚本であったため作品自体の評価は芳しくなく、大ヒット作にもかかわらず国内外の映画祭では受賞に至っていない。
■ストーリー(前半)
ロシアとの戦争が迫る中、ロシアに潜入していた日本陸軍の諜報員、明石元二郎から驚くべき情報がもたらされた。
『ロシア人はネコスキー』
ロシア人の弱点が『ネコ』であることを知った日本陸軍は、ネコをロシア軍陣地に送り込む手段の開発を当時最先端の技術を持っていた特殊部隊『電信教導大隊』に命じた。
電信教導大隊の隊長北川大佐(渡瀬○彦)は、部下の河野大尉と共に気球や大砲など様々な手法を試行錯誤し、最終的に飛行機開発の先駆者の二宮忠八(ノ〇チ)の協力を得てグライダーでネコを投入する方法を確立する。
国内では旅順に送り込むためのネコが全国で集められた。ネコを強制的に徴発する『ネコ回収令』が発布され、タマとシロの飼い主の少女、志村(荻〇目慶子)も御国の為なら仕方ないと泣く泣くネコたちを軍に供出する。
旅順要塞へのネコ投入作戦は成功し、ネコを手にしたロシア兵は日本の目論見どおり戦意を喪失していく。そして要塞攻略は成功裏に終わり日露戦争自体も日本の辛勝で終わった。
だがロシアは講和後もネコを日本に返還しようとしなかった。ネコの元飼い主たちは嘆き悲しみ、国内ではネコ返還を求める暴動まで発生する。
旅順要塞攻略を指揮した乃木希典(高○健)はこの事態に心を痛め、ネコを返せなかった家を一軒一軒尋ね謝罪する旅に出る。
タマとシロの飼い主である志村の妹(市〇和代)は乃木を激しく責めるが、乃木は一切の弁解をせず彼女の怒りを黙って受け止めるのだった。
■ストーリー(後半)
そのころタマとシロを含む八匹のネコたちがロシア人の元から脱走に成功していた。八匹はリーダー格のコテツに率いられ日本に向けて長い旅に出る。
その旅は厳しいものだった。ネコたちは互いに協力しあうものの様々な理由で櫛の歯が欠けるように次々とその命を落としていく。
とうとうコテツ、タマ、シロの3匹だけとなってしまったネコたち。三匹は朝鮮まであと一歩の所まで辿り着くが、そこで頭部から背中にかけて赤毛で覆われた巨大ヒグマに襲われてしまう。それは現地で「赤カブト」の名で恐れられている人喰いヒグマだった。
コテツも赤カブトの凶刃に斃れタマとシロは絶体絶命に危機に陥る。
「絶・天狼抜刀牙!」
だがその時、横合いから何者かが回転しながら赤カブトに飛び掛かりその巨大な首を切り飛ばした。タマとシロは危機一髪の所で命を助けられた。
二匹を助けたのは『X星人』(北村〇輝)だった。偶々そこを通りかかったX星人はタマとシロの窮地に気づき慌てて助けに入ったのだという。
X星人は先日ツングースカに到着し地球を観光している最中だという。X星人は危険な旅を続けるタマとシロの身を危ぶみ二匹に特殊な力を与えると颯爽と去っていった。
タマとシロはその力を使って襲い来るヒグマや狼、匪賊共をバッタバッタとなぎ倒し、ついに鴨緑江を超えて故郷日本の勢力下である朝鮮にまで辿り着くことに成功する。
鴨緑江沿いの雪原で匪賊の集団に銃撃されながら逃げる二匹を発見した日本軍はすぐに匪賊を討伐するとタマとシロを保護し自らの基地に連れ帰った。
基地のイヌ舎の片隅に保護されたタマとシロであったが、その夜の内に力を暴走させてしまう。二匹はここに至るまでの度重なる戦いで血に狂い理性を失ってしまっていたのだった。
深夜、タマとシロの顔がパックリと割れた。シューシューという音とともに体中から赤黒い無数の触手が溢れ出す。
怯えたイヌ達はキャンキャンと泣き喚き狭いイヌ舎内を逃げ惑う。しかし基地の日本兵は誰もその異変に気づかない。
そしてイヌ達は次々と触手に絡め取られタマとシロの餌食となっていった。
イヌたちを喰らいつくしたタマとシロはイヌ舎の網を破ると今度は基地の日本兵に襲いかかった。質の悪いことにシロとタマは人間に擬態することを覚え、無警戒の兵士らを次々と襲っていく。
味方同士が信じられなくなった兵士らは疑心暗鬼に囚われ、基地は阿鼻叫喚の地獄へと叩き落とされる。
タマとシロが火を恐れることに気づいた一部の日本兵は手製の火炎放射器で対抗するが、炎に包まれた二匹は首をにょーーっと伸ばしてポロリと頭部を切り離すと、そこからカニの様な目と脚を生やしてシャカシャカと逃げ去ってしまった。
そんな地獄のような基地に、ネコが見つかったという報せを受けた飼い主の志村(荻〇目慶子)が訪れる。二匹と数年ぶりに再会した志村だが、その変わり果てた姿にもかかわらず一目で化け物の正体をタマとシロだと見抜く。
触手に巻かれるなど成人指定ギリギリな志村の身体を張った説得でようやく落ち着きを取り戻した二匹は無事に元通りの姿に戻った。
志村はシロとタマを連れ日本へと帰っていく。後には今や無人となり燃え盛る基地が残された。
日本に帰ったシロとタマは、居眠りしたり驚いた時に頭や腹が裂けたり頭が落ちる事もあったが、近所の村人らも慣れたもので「まーたタマとシロが寝ぼけてる」と怖がることも無かった。
そして二匹は志村と末永く幸せに暮らしたという。
■主題曲
防〇の詩
唄・作詞・作曲:さだ〇さし
タマは死にますか ハナは死にますか
ハルは死にますか チビは死にますか
シロは死にますか クロは死にますか
私の大切なネコ達みんな
逝ってしまいますか
さだ〇さしは主題歌を依頼された際に、「戦争を賛美するような映画の主題歌など作りたくない」と一旦は拒否している。だが映画の内容が個々の人間の営みとネコとの触れ合いを題材にしたものだと聞いて快諾したという。
その後、完成した映画の前半は確かに聞いた通りであったが、映画公開後に後半のわけわかめなホラー展開を知ると「こがんと聞いとらん」と大層憤慨した、というのが『生さだ』トークの定番ネタとなっている。
■キャッチコピー
『どうして見捨てたのですか。なぜネコたちを連れて帰ってくれなかったのですか』
時系列的にはタマとシロが特殊な力を手に入れるのはツングースカ大爆発の後、旅順攻略から4年後の1908年以降のはずである。
だが劇中でタマとシロの変貌があんまりであったため、「いくら乃木将軍でもアレを連れ帰れって責められるのはちょっと……」という同情の声が多数寄せられたという。
安永航一郎氏の『県立地球防衛軍』面白いですよね。あさりよしとお氏の『宇宙家族カールビンソン』も大好きでした。
……あれ?
とにかく以上で完結です。最後までお付き合い頂きありがとうございました。
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