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バックコインズ 殺人鬼達は闇夜に佇む  作者: マイケル田中
『その怪物は涙を流す』
11/12

1話

『その怪物は涙を流す』編、開幕です。


パチパチパチ。


彼は日課である夜の散歩の途中、何かが燃える音を聞く。彼は火事やボヤ騒ぎでもあったら大変だと思い、急いで裏路地へと向かった。


すると、彼の眼には恐怖を覚えるような赤が映る。

人間が地に伏せていた。その背中には包丁が突き立てられてられていて、鮮血が辺りに広がっている。


彼は慌てふためき、携帯電話を持っているのにも関わらず走って助けを呼びに行こうとする。


その時、何かが燃える音が聞こえた。しかし、何かが燃えた匂いはしない。


彼は振り返る。すると、暗闇に炎が佇んでいた。

飲み込まれるような深い、深い赤で、それはまるで人間のような形をしていた。


彼は思わず悲鳴をあげると、一心不乱に裏路地を飛び出した。


炎の怪物は自身の炎で辺りを照らしながら、次第にその光と熱を弱め、ゆっくりと闇夜へと消えていった。













エプロン姿に紙袋を被った男がキッチンでケーキを焼いている。

その姿は明らかにミスマッチであり、何処か滑稽である。


ご存知の通り、彼はラック。お菓子作りと料理が趣味のごくごく普通の男だ。


彼が皿の用意をしていると、ピーっとタイマーがなる。ケーキが焼き上がったようだ。

オープンからそれを取り出す。

そのケーキは茶色であり、何処か地味な印象を感じた。


彼は粗熱を取った後に、ケーキの上の部分にクリームチーズを塗る。まるで雪が積もっているように、ケーキにクリームチーズが覆い被さっている。

辺りにはシナモンの優しい香りが漂っていた。


彼は皿をトレーの上に乗せると、キッチンを出て仲間達の前に置くと、メモ帳とペンを取りだし、サラサラと文字を書く。


『試作品のキャロットケーキ』

「うわ!ラック、女子力高すぎじゃない!?」

「キャロット・・・人参ですか」

「珍しいな」


ラックは頷く。

それにしても、人参のケーキとは珍しい。独特の風味を持つ人参。そんなものをケーキにして美味しいのだろうか。


席に座っていた彼等は少し興味が湧いて、早速一口をフォークで切り取り口に含む。

すると、全員が驚いた。人参の独特の風味、それを全く感じさせないのだ。


「え!人参っぽくない!」

「めちゃくちゃ美味しいですね!」

「人参と・・・シナモンか、これは。クリームチーズにはレモンが入っていてチーズ特有のクドさはない。甘さも控えめでいくらでも食べられそうだ。・・・ラック、喫茶店でこれ出してくれないか?」

『いいよ!』


ラックは胸を張っている。紙袋の外からでも分かるくらいに満足げな顔をしていた。


それをのんびりと食べていると、恵海はおもむろに資料を取り出し、全員へと配る。

どうやら今回の事件のようだ。

恵海はケーキを食べながら説明を始める。


「ほんはいのひへんは」

「食べるか喋るかどっちかにしろ」


恵海は口の中のケーキを飲み込み、そしてもう一度ケーキを口に含んだ後に説明を始めた。


「ほんはいのひへんは」

「おい」

『お笑いの鉄則、天丼だね。まぁ、食べてるのはキャロットケーキだけど』

「上手いんだか美味いんだか・・・」

「零士君、恵海とラックに付き合ってたら1日終わってしまうぞ」

「あ、すみません」

「アハハ、それじゃあ説明を始めるわね。今回の事件は殺人事件。けれど、いつもと違う点は炎に包まれた人型の怪物が現れたの。」

「炎に包まれただと・・・?確実に能力者だな」

「それでは被害者は焼死ですか」

「実は違うの。被害者は包丁で刺されて死んでいるわ」


焼死ではない。それは意外だ。

基本的に、人間は楽をする生き物である。ゆえに、普段から自分の持っている物を活用して何かを行う。


この炎の怪物は自身の炎を使うのが、1番楽、つまりメリットがあるはずなのに、あえてそれを使わない理由があったのだろうか。


「それはおかしいですね・・・。炎の怪物が炎を使わない・・・それって、ガンマンが銃を使わないようなものですよ」

「確かにメリットがないな。まぁ、使わない事によるデメリットもなさそうだが」

『今の段階では分からないね』


彼等は色々な理由を考察したが、結局犯人の思考へと辿り着く事は出来なかった。

考えが煮詰まった頃、伊里は口を開く。


「警察からの情報は?」

「まだ操作中らしいわ。」

「やはり、現場へと向かうしかないようだな。少しでも情報が欲しい」

「そう思って、この事件の担当者と会う約束をしてきたわ!」

「有難い。その約束はいつだ?」

「今日の18時よ」

「・・・ここから事件現場の町までどのくらいだ?」

「そこなら車で2時間ほどですね・・・あ!」


零士は壁に掛かっている腕時計を見た。今は15時である。時間がギリギリである。


『仕事も早いけど、約束の時間も早いよ!』

「急ぐぞ!」

「はい!」


彼等は急いで支度を行い、車で炎の怪物の正体を探る為に現場の町へ向かっていった。














(『ブラザー』SIDE)

「見てよ、レザー!美味しそうだね!」


ブラザーと呼ばれている彼は何処か上機嫌だ。ワクワクが止まらないと言った顔だ。そこにレザーという名前に改名した革島がモニターを見る。そこにはバックコインズがケーキを食べている場面が映し出されていた。


「俺は食べられないからな、特に興味はないぜ」

「だけど凄くない?あんなケーキ初めて見たよ!」

「おいおい、ブラザー。そんなにはしゃぐなよ・・・アンタは子供じゃないんだぜ?」

「ひどいなぁ、レザーは。僕は子供の心を忘れたくないだけだよ!それにしても、やはり良いよね。仲睦まじいのってさ」

「アイツ等の事、嫌いじゃないのか?」

「いやいや、むしろ大好きさ!」

「何でなんだ?」


彼は大袈裟なリアクションをして話すが、レザーの方は怪訝な表情をしている。

レザーにとって、バックコインズは敵対している組織だ。嫌う事はあれど、好きになる要素は特に無い。

それはブラザーにとっても同じであるはずだ。


「組織において必要な物・・・それは信頼だ。お互いに信頼関係が無い・・・そんな組織は脆弱だ」

「・・・確かにそうだな」

「そして、バックコインズのように強固に信頼が結ばれている組織。そんな組織は理想的さ・・・。もし、これが崩壊したら・・・!イイねイイねイイねイイねイイねッ!!考えただけでも興奮しちゃうよ!」


彼は狂気で濁った眼をしている。ヘドロが滲み出てくるような・・・そんな淀んだ眼だ。

それを見て、思わずレザーは背筋が震えた。


「・・・やはりアンタ、イカれてるな」

「僕は正常だよ?壊す事はヒトの奥底に眠る根源的とも言える欲求。実際に人気のある格闘技なんかも突き詰めれば人体の破壊が目的だしね。それよりヒトを食べる君の方がイカれてるよ」

「ハッ!俺も人の事言えねぇな」


彼等は仲良く笑い合っていた。

それから少しした後、レザーは用事があるようで、モニターがある部屋から出て行った。

1人きりとなった部屋で彼は静かに呟く。


「それにしても炎の怪物か。是非とも仲間にしたいね」

少し立て込んでいまして、更新出来ませんでした。

「更新遅いぞ、ぶち殺すぞコノヤロウ」と言われても仕方ありません。1/5殺しくらいなら、我慢して受けます。

嘘です。1/7までならOKです。


それはともかく、これからはある程度更新出来そうです。これからもよろしくお願いします。

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