魔術
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ツバサは再び目を開けた。ツバサにとってはゆっくりと瞬きをしたくらいのつもりだったが、どれだけの時が流れたのかはわからない。
「わぁ……」
目の前には見慣れない内装の小さくて可愛らしい家の中だった。
机と椅子、クローゼット、本棚、水を溜めておく場所、かまど、キッチンのように設置されている台、部屋の隅にはカーテンに囲われた中にベッド、もうひとつの部屋にはナイがさすがに気を使ったのか、現代の日本の日本のような浴槽とトイレが設置されている。
「どうやらここは日本よりも昔の時代みたいね」
コンロや電気などが無いことから大方の時代の察しはついた。
そう、ツバサは異世界へ転生する道を選んだ。
夢半ばで切られた人生にとてもやり残したことが多かった為なのだ。
なのでツバサは一先ず貰えたチャンスを受け取っておこうと考えた。
「そういえばナイがこの世界は魔法が充実していると言っていたから、その分こういったものの開発が遅れているのかもしれないわね」
この世界には魔法があり、この世界へ介入を企んでいる神の手を退けるためにツバサも戦わなければならない。それが転生の条件なのだ。
しかしこの世界に元々いる人には魔力という力が一人一人備わっているが別の世界から来たツバサはそれが無い。
代わりに魔術を使うらしい。
魔術は全ての人に使えるが、魔力のように特別なものが魔術の発動を邪魔するらしい。
「本は例の魔術の事ばかりみたいね〜」
本をペラペラをめくると内容は日本語で書かれていた。ナイが翻訳したものを入れておいたのだろうか?
適当に取った本の一ページ目には「魔術は普通の人間が使用することはできない。魔術は通常使う魔法よりも強力なものが多く、また 根本的な性質が違うため強い力を使うと魔術と判明されるだろう」「魔術が使える者が他の国を守っている伝説から、魔術を使う者は「勇者」と呼ばれる」
「ふーん・・・・ん?」
「ゆ、勇者-----!!!?」