「ナイ」
「三浦ツバサ、23歳、女性、愛知県産まれ」
「!……………?!」
突然の聞きなれない声が脳内で響いたような感じがして目を開ける。
どこまで続いてるかわからない一面の黒い景色。
「三浦日和、三浦雅一との間に産まれた。下に勇利という弟がいる。と」
先程から何かを読み上げているのは、謎の黒い空間に立っていたのは白くて長い髪を耳にかけた背の高い男性。「三浦ツバサ」と書かれた小説のようなサイズの本を持ってる。
そして、同じくそこに対面する形で立っていたのは死んだはずの自分だ。
「わ、私はさっき橋から落ちて……川の水で………」
頭を抱えるツバサをよそに男性は本の内容を読み上げる。
「長年の夢だった歌手への道が開かれるも、容姿や枕などを疑われ川に突き落とされて脂肪。ねえ」
ふーん、と言った様子でパタンと持っていた本を閉じる。
「…………そう。やはり私は死んだのね…………。ここはどこ?天国じゃぁなさそうね…」
目の前の異常な現象が現実ではない事を理解し、すぐにツバサは冷静になった。
こんな真っ暗な世界、天国か地獄かと言われたら地獄であろう。そういう言い回しで男性に訪ねた。
「そうだな。お前は死んだ。そしてここは天国ではない」
アッサリと言うと男は持っていた本を棚に戻すような動きをすると、まるでそこに棚があり、そこに仕舞われるに本は暗闇に消えた。
「しかし地獄でもない」
にこっと微笑みながらそう言う男。
「じゃ、じゃあここはどこなのよ!」と少し声を大きくすると男はわざとらしく目を大きく開ける。
「まずは自己紹介。私の名前は「ナイ」。この黒い何も無い空間を作った張本人にして、神と呼ばれている内の1人だ」