異世界にて
「やあアンタ!見ない顔だね。最近越して来たのかい?」
快晴の空の下を人々が行き交う。
市場には更に沢山の人がおり、大変にぎわっている。
その店の一つに茶髪でボブの若い娘が居た。目は一重で顔にはそばかすがあり、至ってこの国では平凡な人だ。
「ええ、そうなんです。少し遠いところから来まして」
しかしその人々はTシャツやジャージ姿ではなく、まるで中世のヨーロッパである。
少し位の高いような人はドレスのようなものを着て、騎士なのだろうか 剣を持っているような人もいる。魔法使いなのだろうか、大きい帽子を被っている人もいる。
「一人で越して来たのかい?」
「まあ…仕事関係と言いますか」
果物を売っている店のおばさんと話しつつ品物を選ぶ。
「これください」と3つほど買い、金を払い店を後にする。
他の店でもパンを買ったりして茶色のブーツをコツコツと鳴らしながら市場から少し離れた白と赤の少し小さな家に帰宅する。
「お好み焼き粉みたいにすぐできる物が無いのは中々不便ね…」
買った物を入れた籠を机の上に置くと椅子に座り一息つく。
「確かに死にたくないとは言ったけど、こんな一から異世界で生活しろって言っても…」
そう。私「三浦ツバサ」は橋から落ちて死んだのだ。