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身なり


そう、この娘はツバサだった。


死んだばかりの女性の姿では背に腹は代えられないとはいえ、やはり引けるという事で机にチョーク同様備え付けられていたハサミとナイフで変装後の髪を切り落とした。


少し不本意ではあるもののこうしてツバサは『普通の容姿』を手にすることができたのである。


ツバサはカインに聞いた魔法石を入手すべく道行く人に売っている場所は無いかと聞いて回ったところ、この国というかどうやらこの時代は酒などを薄めて飲んでいるという事だった。


「毎日薄めているとはいえお酒を水代わりに飲むなんて自分の今までの生活を考えると大変な事になりそうだわ」


ある程度高くても恐らく自分はそれなりにお金を持っているので大丈夫だろうと思いながら魔法石と取り扱うという宝石屋にやってきた。


宝石屋はやはり宝石屋というだけあって、外装も庶民には少し入りにくそうな装飾になっている。

ツバサの恰好も普通の庶民の女という恰好なので少々似つかわしくないだろう。

綺麗な水の為だ、とツバサは覚悟を決めて思い扉を開ける。


「いらっしゃま……あら…」


身なりのよさそうな年配の男が近づいて来ようとするもツバサの身なりを見てその表情は客に媚びを売るためのものではなく、人を小馬鹿にしたよう二ヤつきに変わる。



まあまあ、予想通りという反応出会ったためツバサは堂々と店内に入る。

店内には買い物をしている良い身なりのカップルのようなものが「はあ?なんであんなんが入ってくるのよ」と言いたげにこちらを見ていた。


「亭主、『浄化の魔石』を売ってほしいのですが」


そう話しかけると男は鼻で笑い「いやいや」と近づいてくる。


「確かに魔法石は取り扱ってますが、すでに魔法のかけられている『浄化の魔石』はもっと高価だ。それに魔法石もあんたみたいな庶民には買えんよ」


どうやらすでに完成品の『浄化の魔石』はやはりレアもののようで中々買う人はいない様子。


しかしそれよりもツバサは常に眉をハの字にして人を下に見ている対応をしてきているこの男に腹が立った。


「『浄化の魔石』を買い取ろう。いくらです?」


そういうとツバサは懐から金の張った袋を「ズン!」とテーブルに出した。


――――――――――――――


「ま、またごひいきに…!」


先ほどの態度とはがらりと変わり、店を出ていくツバサの見送りに男は店の外まで出てきていた。


「ふふん、かなりスッキリしたわね」


ツバサは魔法石を7gcで購入した。円に換算すると約175000円という所だ。

あの様子だとここの物価は相当なので、ツバサはやはり結構な金持ちだったといえる。


「でも本当に使えるかもわからない魔法石に7gcも使ってしまったわ。食べ物ももう少し買いたいし、家にいる物も買わないとだし無駄な出費は避けないといけないわ…」


こういった買い物がまたあるかと考えると資金はすぐに底をつくだろう。


そろそろ職を探さねばならない…。



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