★STAGE 2★
「むはは――☆。サピエ様! いくら君が超絶テクを持っていたとしてもぉ☆ お空にいる女の子のおっぱいは揉めないよねぇー☆」
第二回戦。
対戦相手の女の子は、黒翼の翼をもって天高く舞い上がっていた。
それはドラゴンの翼である。その飛ぶ力はいかにも力強い。
相手の名前はドラコ。かつて吾輩がドラゴンから魔人化した相手だ。もちろん全力で美少女に振って頂かせた。
彼女は魔人化後にさらに自らの翼を背中から生やすという器用なことをしている。
いま、彼女は成人の儀式で『竜剣士』という超レアなクラスを頂いた女冒険者として、このパラチオン王国を始めとして活躍中のAランク冒険者となっていた。
そのクラス属性は竜化化ということになっている。
まぁ、実際竜族であることからして、竜に擬態するというか、元の姿になるということなのだが。
ドラゴンの敵対勢力に対して魔人化した彼女はほぼ無敵であり、ばったばったとドラゴンを倒したことで一躍有名人になっていた。
「さて、それはどうかな? 吾輩に対して周りをうろちょろするということの意味、それをこれから教えてさしあげますぞ」
そしてその恰好も特徴的だろう。
なにしろビキニアーマーなのだ。大事なところ以外は健康的な身体を惜しげもなくさらしている。
つまり、それはいろいろ見放題ということで。
下腹部は見上げれればすぐにあるし、なによりその下乳だ。
吾輩の≪視姦の魔眼≫の通りが良くなるのは言うまでもないだろう。
吾輩は拝まざるを得ない。
「ぐぬぅ☆ 上空からドラゴンブレスでも魔法でも落とせばサピエちゃんすぐ逝くと思ったのにぃ~☆」
そう言いながらも、ばらばらと雷撃を落としてくるドラコに、吾輩は戦慄する。
炎闇系中級攻撃呪文、《白いブラックサンダー》だ。
≪視姦の魔眼≫のDOTダメージはいかに継続とはいえ、そこまで大きくHPを削れるものではない。
このまま雷撃の弾幕をかわし続けることができなければ、吾輩は倒されてしまうことだろう。
だからこそ、吾輩は叫んだ。
「くっ。卑怯だぞ! 降りてこいぃぃ!」
「え? そうかな☆」
「あぁ卑怯すぎるね。だいたいドラゴンといったら魔法だけでなく、爪やしっぽなどでも攻撃すべきだろう! それを魔法、魔法、魔法! 恥をしるがいい」
「えぇ? そ、そうかな~☆☆」
ドラコは迷っている。
あと一押しが必要か。
そして、彼女がが興味を引きそうなネタを取り出す。
取り出すのはアイテムボックスから。
黄色の実を持つ愉快なフルーツ。バナナである。
「ドラコぉ! お前など近接であればこのバナナで十分なんですぞ」
ドラコは一瞬目を丸くしたあと、すぐに顔を真っ赤にして怒り出した。
「ふ、ふざけるなぁー☆ わたしがそんなバナナで倒せえる訳がないにゃろー☆」
「いいや! 倒せるね!」
「どうやってだ☆ 刺すのか? そのバナナで刺すのか☆」
「ふふふ。こうするのだ!」
吾輩はそのバナナをむしゃむしゃと、食べた。
「にゃんと!☆ 食べたぁ~☆」
そのまま吾輩はバナナの皮をふるふると震わせながら叫ぶ。
「さぁドラコ! こんなバナナが怖いかぁ。怖くないなら接近戦を挑んで来るのですぞぉ~」
「もうゆるさないぞー☆ そこまで言うならそれで何ができるか見せてもらおうじゃなぃ!」
ドラコの飛行する高度がだんだんと落ちてきた。
接近戦を挑むつもりだ。
よし、チャンスだ。
「なら行くねー☆」
高度が落ちる代わりに飛行速度がさらに上がる。
そして一瞬にして音速を超えた。
その瞬間に発生するソニックブームが吾輩を襲う。
吾輩は手にするバナナの皮を捨てた。
「は?」
あっけに取られているドラコを他所に、吾輩はバナナを踏んづける。
吾輩の足は滑った。そのままスキルを発動させる。
ドラコの発生させたソニックブームは滑った瞬間に前に進むことですり抜ける。
「な、なんと――☆」
吾輩をソニックブームで吹き飛ばそうとしたドラコは驚愕に目を見開いた。
説明しよう! そのスキルの名前は《ラッキーすけべ》。
ちょっとお色気系漫画やアニメであれば主人公が必ず保有するといる究極の回避スキルだ。
おっぱい揉みくだし師であれば当然にして取得が想定できるであろうそれは、有象無象の区別なく、足が滑ればタックルして押し倒すことができる。
ましてその滑る対象が王道であるバナナであれば何がどうあろうとそこに届くのは必然だ。
ドラコと衝突する。その指の先にはもちろんドラコの先端、その頂きがあった。
「見える……。吾輩にはおっぱいへと続くその乳線が……」
吾輩はその乳へ続く道に従い、全力で押し倒した。
これぞ、おっぱいもみくだしし師が最強スキルのコンボ、《ラッキーすけべ》からのおっぱいもみもみだ!
「そ、そんなバナナなぁ~☆」
「さぁ、どんどん揉み揉みしようねぇ」
吾輩の指先がシャイニングに光って――
「あぁぁ~ん☆」
≪竜剣士≫ドラコ、撃破!




