メモ書き
『京の都では後白河天皇が幽閉されたって話だ!こりゃぁ歴史が変わるぜ!!』
……暗い森の中でそんな言葉が聞こえる。見ると複数人の悪漢が1人の少女に寄ってたかっていた。1人が腕と口を抑え、1人が下半部に手を入れ、残りの2人が見張りをしていた。そんな悪意に晒されている少女は静かに涙を流す。湯帷子が切り刻まれている事で身を隠す物がなく、肩から腰までの柔肌を遅く弄られていた。
『記念に精がつく物を一発食べなくちゃな!!』
『だから早くしろよ!』
3人は下の男を急かす。急かされた男は苛立つ。
『小さくて指入んねえんだよ!』
『っ……』
そんな怒号に震え握っていた一輪のホトトギスが落ちた。
『お?これってホトトギス?』
男が拾い嗤いながら花を見つめた。
『確か……花言葉は『永遠にあなたのもの』だったか』
『っ』
『でも受け取ったのは俺だしな〜』
そう言うと少女の顎を掴み自分の顔に向けた。
『こりゃあ貰うしかないか〜〜?』
舌を出し入れして少女の唇に近づける。触れる直前目蓋に鼯が降ってきた。
『キィ!』
出っ歯で目蓋ごと目ん玉を齧られた。男の悲鳴が上がる。悪漢2人から少女が解放される。拍子に腰を抜かした。
『目がぁー!!目がァアアア!!!!』
『おい!どうしたんだ!!』
見張りの男が視線を逸らした。すると木の陰から少年が現れ迫ってきた。
『ゴフッ……』
男は左背中を貫かれると血反吐を吐いて倒れた。
『誰だテ……!』
気付いた見張りの男が刀を抜こうとするが血が着いた苦無が目蓋に刺さる。
『嗚呼嗚呼!!』
男は一頻り叫ぶと動かなくなった。少年は苦無を抜いた。
『目がぁ』
「……」
倒れている男の頸に突き刺して捻った。
『後はお主だけか』
『ヒィ……!』
最後の男は腰が砕けていた為逃げ遅れていた。
『や……!!』
脳天に突き刺され絶命した。少年は血を男の裾で拭うと着ている裾のない羽織を脱いで裸の少女に着させた。
『嫌だ……』
『……着ろ。寒かろう』
拒絶の声を無視し藍鉄色の小袴を脱ぐ。褌姿になると袴を少女に差し出す。
『嫌だ……』
少女は力なく首を振ると溜めた涙を地面に溢す。
『嫌だ……』
もう一度首を振った時少年が少女の両肩を掴んだ。見上げると少年の顔が目と鼻の先にあった。
『お主は儂の物となるっ!!』
抱擁し抱き締める。少女の目が見開いた。
『誰もお主を犯す事は出来なくなった!!誰とてもお主に侵す事は出来ない!!』
『……』
『もし了承も無しお主の乳房を摘む者。膣に挿れる者が居たなら儂はその者の勝利の美酒に毒を混ぜよう』
『…………』
『もしお主のその絹のような髪と澄んだ眼を澱む者が居たならば儂は七倍の報復を持ってそれを消し去ろう!』
『……………………』
『お前の憎しみ哀しみ。打ち拉がれる無力感は儂が背負おう!』
『………………………………』
『お前の重荷を儂が背負おう!儂と共に歩め!!乙!!!!』
『っ!』
地面に落ちるホトトギスの花を拾うと弱々しく差し出す。
『常に……貴方の……傍にいます』
そして不安そうな上目遣いで少年を見る。
『だから離れないで……【徳】』
『ああ……だから』
徳は頭に鼯を背中に乙を背負い走り出した。
『逃げるぞっ!!』
×××
『清盛様!!』
『六波羅の禿……『犬神人』を解き放て!!』
『平家にあらずんば人にあらず』
『皇をとって民とし民を皇となさん』
「逃げるぞ!!」