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2・伽藍堂

九十九木さんが死んだ・・・?

夏織はただただ、愕然とするよりなかった。

まるで心の、或いは脳ミソの或る一部分だけ喰われたような感じとでも表そうか。何か人として重要であろう部分が崩れて抜け落ちた、大きい欠陥を自覚していた。

時間が止まって、感覚の麻痺が精神まで蝕もうと蠢いていたのだった。

「・・・」

最早彼女に、尋常の活力や普段の生気なぞ残っていなかった。

抜け落ちた部分が広がったのを無意識で察し、またそれが穴を拡げていく。

まさに脱け殻、もう中身(かのじょ)はそこに無かったのである。




砕けた、そして座り込んだ。

あらゆる気は流れ出て、ことごとくあらゆる無の支配した体はあたかも糸が切れた操り人形の如く、ぐらりとした世界の中でへたった。


誰か何かを叫ぶ。が、届かない。

教師たちは沈静化を測って駆けるも、それが刺激となって余計騒ぎは大きく、激しくなった。


そして緊急集会は収拾がつかぬまま終焉を迎えた。

ドン、と重い銃声が響いたのだ。

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