1.始動!
グレン・ウォルター Lv.2 男 15才
・[力] 16
・[魔力] 12
・[耐久] 10
・[技術] 15
・[敏捷] 18
・[習得魔法] 未取得
手をかざした水晶から以上の測定結果が浮かび上がり、同時に淡い光に包まれながら冒険者カードにも同様の結果が焼きつくように刻み込まれる。
なるほど、カードの裏面の空白欄に記憶されるようになっていたようだ。
ふと目をやると水晶の横の壁に文字が彫られており、
それぞれの項目は100~0の数値で表記され冒険者カードに刻まれます。と書かれていた。
あぁ……ちゃんと書かれてたのか、確認大事!
にしても最大値が100に対してこれだとどうなんだ?
いつの間にかレベル2になってるんだけど、2だと能力値はこれで普通?
平均がわからないけど少なくとも隠れた才能、優れた能力は無いらしいことは見ればわかった。
「はぁ……」
人生そんなに甘くない、ちょっとだけ期待していたけど仕方ない。
……地道にやるしかない!最初はみんなそうなんだ!
自分に言い聞かせるようにギルド舎の外に出る。
気を取り直し冒険者としての身支度を整えることにした。
幸いなことに、ここフォルセは小さい都市ながらも王都アーシラや、それに伴う各都市間との交易が盛んで物を揃えるのにそれほど苦労しない。
必要な物資を調達するべく商業区へと向かう。
商業区の店先では客と談笑していたり、自慢の商品を宣伝していたりと、あちこちで声が行き交っていた。
天気がいいだけに、活気があってなかなかの賑わいだ!
村の用事で買い出しする時は、大人たちに連れられて来るだけで退屈なだけだったけど、
いざ自分一人で買い物にくると不思議と心が躍る。
「さてと! まずは……」
商業区の看板を見ながら目当ての店を探していく。
するとすぐに見つかった、大きな剣を看板代わりに目立つように扉の上に取り付けられていた。わかりやすいぞ。
そう武器屋だ!といっても店の中には防具も一式棚に並んでいたりする。
「よう、いらっしゃい!」
入るとすぐに、筋骨隆々で気前のよさそうな店主が話しかけてきた。
いかにも武器屋の職人って感じだ。
「はじめましてグレンです。実は冒険者登録をしたので装備を一通り揃え――」
「おお! 新米さんかい、そういうことなら」
言い切る前にごそごそとカウンターに各種武器を並べていく
「新米さんにゃ、こいつらがオススメだぜ」
「……その、ずいぶん小さめの物が多い気が」
「坊主は小さいからな、扱いやすさを重視してみたんだが」
そこには片手剣、ナイフ、投擲具といったものが置かれていた
確かにお世辞にも立派な体格とは言えないけど少しは言葉を濁してほしかったよ。
試しに壁にもたれかかっていた両手剣を持ち上げようとする……
「うう、重い」
「ははは! あきらめな坊主」
「……そうみたいですね」
せっかくなら大剣振り回して派手に戦闘してみたかったけど悲しいことに現実は無慈悲だった。
まだ素人同然だしその道のプロに素直に任せて見繕ってもらうことにした。
「手持ちの金を考慮に入れると、こんな感じだな」
「ありがとうございます!」
ということでナイフ×2、ショートソード×1を購入したのと餞別代りにローブをもらった。
片手剣は中型モンスターとの戦いだとナイフだけじゃ心持たないからということで購入した。
防具類に関してはそこまでの資金がなくて見送った……ローブ付けてくれて助かった。
「これで少しは冒険者に見えなくもないな、頑張れよ!」
「そこは素直に冒険者に見えるって言ってくださいよ!」
「ははは、甘い甘い! そうそう、装備の手入れなんかもやってるからな、またの来店を待ってるぜ。グレン!」
「わかりました。その時はよろしくお願いします」
そんなやり取りを交わしつつ武器屋を後にし、道具屋で傷薬などを数個調達した。
手持ちの資金をざっと確認した。残り僅かで心持たない。
いよいよ本当の意味で冒険者としての第一歩、依頼を受けるべく地面を蹴って走り出す。
再びギルド舎の扉を開き掲示されている依頼書に目を通していく。
確か受けれるのはFとGランクだったかな、見ていくと冒険者の仲間勧誘告知も張り出されていたり、国からの依頼、私設の傭兵団員募集があったりと依頼以外にも多種多様だ。
仲間か……今後一人だと厳しくなってくるだろうし頭に入れておこう。
とりあえず難易度Gで探してみるか、最初だしいきなりFに挑んで痛い目をみるのも嫌だしね。
無理のない範囲でやっていくぞ。
……これぐらいかな、依頼書を千切って受付に渡し受注完了だ!
[依頼内容]
依頼主 薬師ハーティ・ラニアー
・フォルセ周辺に自生している薬草の採取
・報酬は薬草の採取量に基づき+
簡単なお使いみたいだけどギルドに依頼されてるし馬鹿には出来ない。
こういうことで手を抜くと後々響いてきそうだし真面目にやるぞ!
依頼品の薬草の特徴を再度確認しつつ街の外へ続く門へと向かう……。
ようやく冒険者として踏み出せそうですね。