第28話 改革構想
せっかくなので集落の代表者には、さっき採れたばかりの野菜や果物をふるまった。
アオビンは塩ゆでしたものをそのまま食べてもらったあと、マヨネーズを付けてもらった。
びっくりしている。
そうだろうと、顔がにやけるのをこらえるのに必死だった。
もっとこの自信作を広めたい欲求が強くてしょうがない。
トトルトはチーズをのせて、焼いてみた。
パピコンはバター、牛乳、砂糖、卵でスイートポテトならぬスイートパピコンなるものを作ってみた。
これなら甘さが足りなかろうが、ほくほく感が無かろうが関係ない。
しっとり甘いお菓子の出来上がりだ。
新種の果物や野菜はイマイチな顔をされたので、もっとイマイチな新種果実でミリアにマヨネーズを目の前で作ってもらう。
残念なものでも工夫次第で美味しくなると、わかってもらいたかったから。
「なるほど、失敗に思えてもかならずそうとも言い切れないんですね」
妙に納得している。
なによりマヨネーズやバター、チーズなどの加工食品は大絶賛だった。
「それで、これからの方針なんだけど、私の考えを聞いてもらってもいい?」
もちろん反対意見などない。
5歳の子供だからと侮られてもいないし、もう絶望もされていない。
「北部の人間は全て私が設立する会社と雇用関係を結ぶこと。私は雇用者に対して、安定した給料を支払う。その代り作られた作物や製品は私が受け取る」
驚かれたので、理由を説明しておく。
最初のうちは手さぐり状態なので、農作業が順調にいくとは思えない。
失敗したらまた支援をすればいいのか。
迷ったが、施しを受けるというのは、がんばろという気持ちを挫く気がした。
そこで思い付いたのは前世の会社という制度。
あんまり詳しくは知らないが、お父さんは毎日労働力を提供して、私は安定した暮らしをしていた。
会社の業績にかかわらず、基本的なお給料は変わらずにもらえたのだ。
だから安心して暮らせた。
似たような感じにすればいいんじゃないかと、素人ながらに考えてみた。
「不作、豊作にかかわらず、給料は一定。ただし豊作なら特別給金追加ということ」
給料と言っても、最初のうちは現物支給。
私に元となる資金が無いことと、北部の人間にとっては今はお金より食料だからだ。
最初のうちは全然食料が足りない。
それは家畜達に拠点で頑張って作物を作ってもらおう。
そこであげた収穫をこちらに回すつもりだ。
「動ける大人はみんな農作業など。動けない人やお年寄りは加工など別のことをしてもらいます」
農作業は力仕事。
体の不自由な人やお年寄りにはきつい。
羊毛や綿花などから糸を紡いで、布や毛糸で製品を作ってもらおう。
ここの人たちの服はちょっとひどい。
それから作った物は外部へ売りに出すつもりだ。
給料が現物支給からお金の方が必要になるころを目標にしている。
「最後に子供たちは私が開く学校に通わせること。お昼ご飯は学校が出すから心配なし。文字の読み書き、計算から農業、加工などいろいろ学んでもらわないと。次世代を担う子達だもの」
子供達のこれからが最重要だ。
他に何かあったかな?
ああ、そうだ。
「働く時間は担当する作物や製品によって異なるけど、一日8時間を目安ね。自由時間に家の周囲に自前の畑作って好きなの育てたら、それは自分達の物だから」
作ったものすべてを取り上げるのではないと強調しておく。
あくまで仕事として決められた箇所で作った分についてだ。
「ちなみにお仕事サボってたら、給料減らすからね。頑張った人と差をつけないと不公平」
私の言葉にちょっと集落の代表達が笑う。
こんなところだろうか。
「質問、提案受け付けます。より良い村を作っていきましょう」
気付けばブックマーク100超え。感謝です。
12月はいろいろと忙しいため、更新頻度が落ちます。
週に2,3回目標。よろしくお願いします。




