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賢者の図書館  作者: ゆるり
第1章
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第6話 家系色出た書斎

結構な量の蔵書がある書斎。

それなりに歴史のあるアーノン家のご先祖様達がせっせと集めたコレクション。

果たしてどれ程の本が読まれず本棚に鎮座する羽目になったことやら。


抜き打ちで近くにあった本を数冊取ってみる。

しっかり観察するが、どこにも折り目などがない。

開かれた形跡が全くないのだ。

埃とか被ってるし……


アーノン家は代々、コレクター体質らしい。

大兄様は読めもしない難しい本を集めるの好きだし。

小兄様は使えもしない剣を集めるの好きだし。

父様は少女服集めるの好きだし。

……変態じゃないから、私の父様。


娘の趣味を無視しまくった可愛らしい服を、娘に押し付けるのが好きなだけ。

そして私が全力で拒否するので、そのまま孤児院の娘達が着ることになる。


ちょっと前からは父様が購入してくる服が町娘仕様になった。

私のための貴族服をそのまま孤児院に回してたら、孤児院の娘が貴族と間違われて誘拐騒ぎになったからだ。

その時ばかりは息子にしか興味のない母様が、全力で父様を叱っていたっけ。


町娘仕様の服は動きやすくて良いので、たまには父様からの贈り物を受け取るようにしている。

少しは父様の生きがいが報われないと可哀そうだしね。

なので私のクローゼットには半分以上が町娘仕様の服になっている。

これ着て、堂々と孤児院へ遊びに行ってますとも。


「朝食をお持ちしました」

ドアがノックされ、ミリアの声がする。


「ありがとう。入って」

中へ促すと、ドアが開いてミリアがトレイを持って入ってくる。


「そこに置いてちょうだい」

きれいに片づけられた机を指さす。

書斎には他に安定感のいい場所など無いのだから、そこしかない。


無言で指さした場所を確認したミリア。

静かにドアを閉めると、机の上にトレイを置く。


「えっと、どれにしよう」

置かれたトレイの中を覗き込み物色する。


書斎なので汁物を省いたようだ。

野菜をゆでたのやら、丸かじりできる果物やらが数種類。

ゆで野菜の味付けは塩のみ。

せめてマヨネーズが欲しいと望むのは……前世での食生活がここでは考えられないくらい贅沢だったのだとしみじみ思う。

まだ食べておいしいと思える果物の方を手に取る。


「私は調べものあるから、これだけでいいわ。残すとセバスがうるさいから、ミリア片づけちゃって」


セバスはこの家の家令だ。

下級貴族出身ながら、それを鼻にかけるでもなく、貴族、平民、関係無しにどの使用人にも公平に厳しい。


主人一家にも例外はなく、父様、母様にすらハッキリ物を言う。

主人にそうなのだから、その子供の自分がセバスに勝てるわけがない。


「そういうわけにはいきません。きちんと食事をしてください」

ミリアが私の指示を拒否する。


善悪の判断がきちんと出来て、言うべきことは言葉とするように、私がそう教育した。

ただ命令を聞くだけの中身のない侍女なんていらないからね。

とは言え、これはミリアに食事をとらせるための指示なので、聞いてもらわないといけない。

決して食事がまずいので、ミリアに回しているわけじゃないから。


「ミリア、朝食を抜いているでしょう。この後、ミリアの魔法が必要になると思うから、力をつけといて欲しいの」


魔法は体力を使うという。

私は魔法が使えないので、使える人に頼むしかない。


ミリアが使えるのは水魔法。

水不足の現在、農作業をしたいのなら水の確保は最優先事項になる。

すぐに使用許可が出るかわからないが、とりあえず裏手の森で井戸が掘れそうな場所は探しておかなければいけないだろう。

このままミリアの空腹を見過ごすことはできないのだ。


「魔法……ですか?」

なぜそんなものが必要なのかと、不思議そうな顔をしている。


「試したいことがあってね。地面を掘って地中に溜まっている水を汲み上げたいの」

悪だくみしている表情なのは十分承知で、微笑む。

するとミリアはますますわからないといった表情をする。


「水は空から降るものです。地面を掘っても出てきませんよ」

地下水という言葉がこの世界にはない。

穴を掘って水を汲み上げる発想が無いのだ。


「地中に水はあるの。降った雨は地面に染み込んでいくでしょう。その雨はどうなると思う?」

ミリアが言葉に詰まる。

「そういうこと」

これ以上の拒否はできないだろうと判断して、目的の本を探しに書斎の奥へと入っていく。


「ちゃんと片づけておいてね。午後には頑張ってもらうんだから」

そのためには、さっさとご先祖様が裏手の森を調査したという報告書を探さないと。


結構な広さがある森だ。

できるだけ屋敷から離れて、それなりの平地がある場所。

かつ、将来的には水田も作りたいので、水路を作れる程の水源がある場所。

そんな場所をいくつかピックアップして、井戸の確認しつつ候補を絞っていかないと。

説明っぽい文章が続きますね~

なかなか思うように進まないです。

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