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愛と修羅な人生  作者: 成瀬ケン
第二章 死闘 修羅の荒野開演
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召喚された俺様

「その辺で勘弁してやりなよ」

 不意にその空気を切り裂くように別の声が響いた。


王城(おうき)

 怪訝そうに言い放つ一弥。室内入り口には、数人の生徒の姿があった。その一番手前に立ち構えるのが王城って奴だ。百五十センチぐらいの小柄な体格。学ランの下に赤いパーカーを着込み、フードを頭からすっぽりと被ってる。


「一応そいつら、ボクのクラスメートなんだよね。同じクラスの奴らなら、守ってやるのも問題じゃない」

 両手を広げ、(あざけ)るように入室する。フードに隠れ、その視線は見えない。それに従い他の連中も入室する。その真後ろには、金髪のちゃらけた男と熊のような大男。気だるそうな金髪に対し熊は剣呑(けんのん)な表情だ。




 この王城、こんななりでも校内はおろか市内でも有名人。駅前で暗躍する武装チーム、横浜ブラックジョーカーズのリーダー補佐を務めるから。俺はこいつと激突したことはない。だがかなりの力量を誇るって噂だ。



「大層な言い回しじゃねーか。元々争いを引き起こしたのはこいつらだぜ」

 (しゃ)に構え言い放つ一弥。一弥はブラックスを毛嫌いしてる。何故なら一弥はブラックスの対抗組織、ナイトオペラのリーダーをしていたからだ。だから王城とは仲が悪い。


 こうして対峙する一弥と王城。室内に張り詰めるたまらない空気。押し潰されそうな威圧感。普通のヤンキーはともかく、太助と真優には堪らないものだろう。



「てめーら、言ってることとやってることが矛盾してっぞ。茶番なら他でやれ」

 俺は言った。はっとしたように視線を向ける一弥と王城。実際こいつら馬鹿だ。一弥の野郎はチームを引退してるし、王城がクラスメートを心配する性格じゃないのも理解してる。争う理由にならない。ただ単に相手に探りを入れてるに過ぎない。



「あはは」

 腹を抱え笑い出す王城。フードの隙間から白い歯がこぼれる。


「てめー、なに笑ってんだ」

「さすがは魔王だと思ってね」

 だが俺様の声に反応してその行為を止めた。


「確かにこんな奴ら、ボクには関係ないね。たまたま通りがかったから友情ごっこしたまでさ。それに一弥は今や一般市民、からかうだけムダか」

 言って一弥を一瞥(いちべつ)する。一弥は無言だ、ただ覚めた視線を飛ばすだけ。



 こうして王城は、仲間を従えその場から歩み出す。一弥に倒された二人も、後を追って消えて行った。




「マジで迷惑なんだよ、ああいう輩は」

 俺は言った。ブラックスとかナイトオペラとか、駅前の武装勢力は俺様の敵だ。街を散歩してるだけで絡んでくる。魔王だとか、排除するとか、難癖つける。その都度大規模な抗争に発展し、被害を被る。てめーらの戦場は駅前だろっての、校内まで火種を持ち込むな。



「どうしたんだシュウ、その頬」

「ああ、これか。気にすんな。床が抜けて、一階に叩き落ちた怪我だ」

 一弥の問い掛けに俺は答える。一弥の視線が捉えるのは、俺の頬に貼られた絆創膏。『大したことねー』って言ったのに『それじゃいけません』って、あいつが貼った代物だ。





 俺が引っ越したアパート、どこもかしこもボロボロだ。


 俺は大家に内緒で、アパートにあるモノを持ち込んでいた。それはあの時のネコ。マリアがリキって呼んでいた黒ネコだ。モーリーに言われた訳じゃなく、俺様の意思で仕方なく飼うことにしたんだ。

 その理由はリキが俺様になついたから。それとマリアが付けたリキって名前と、目の上の傷痕。その傷痕は俺の良く知ってる人物に酷似していた。それはリキ丸。修羅界の覇王、大阿修羅リキ丸だ。そんな因縁を感じてリキを飼うことに決めた。



 実際傑作だ。マリアが飼えないって(なげ)いてたアパートに、俺様がこうしてリキを連れ込んでんだから。


 ところがそこで問題が発生する。リキが俺様の目を掻い潜り行方不明になったんだ。アパートの外じゃ『ネコの声がするのだ』なんて、誰かが言ってる。つまりこのアパートのどこかにはいるはずだ。そんな訳で、俺はリキを探し回る。




 そんな時だ、床が抜けて一階に叩き落ちたのは。



 あり得ない展開と、(したた)かに頭を打ったせいで、俺の意識は朦朧(もうろう)となる。叩き落ちた現実も吹き飛んで、もくもくと立ち込める白煙を見つめる。



 辺りに響き渡る女の声。裸の女が魔方陣に現れて、その回りを数人のやろーが取り囲んでる。実際意味がわかんねー。よくよく見れば、それはテレビに映った画像だ。だけど俺の部屋にテレビはねー。もしかして俺は、異世界に転生したのか、誰かに召喚されて。 修羅界じゃなさそうだが。



 そして俺様の視線を遮るように、二十歳前半ぐらいの男が立ち塞がっている。肩まで伸びるパーマがかった黒髪の優男だ。俺はこの男に召喚されたのか?

 そんな訳ねー。ただのエロビデオだ、ただのエロい男だ。俺は床が抜けて一階に叩き落ちたんだと改めて理解した。




 全ての現実を確認して、俺様の怒りは最高潮に達する、単身大家の部屋に殴り込み苦情を言い放つ。


 そこの大家ってのが傑作だった。ベタで塗りつぶしたような真っ黒な瞳。大きな鼻の下からチョロチョロ生えたヒゲが風になびく。角刈り頭にはタオルを鉢巻状にして巻いている。極め付きはステテコに腹巻き。

 バカボンのパパそっくりなんだ。普通コスプレしても、あそこまでなれるもんじゃない。その味までは表現できないもの。



 だけど奴は言い放つ『コスプレじゃないのだ。地なのだ。そもそもバカボンとはなんなのだ。二階から落ちて、頭を打ったか。吾輩(わがはい)、漫画などみない。俗世にかぶれると、個性が死ぬからな我輩は断じてコスプレなどしない』そう言って延々ウンチクを語る始末。終いには『あの部屋は最初からボロボロなのだ。昔テロリストが住んでいたからな。だからこれでいいのだ』だぜ。つまり俺様はこの大家に欠陥物件を押し付けられたんだ。


 もちろんそんな大家、ソッコー天誅を喰らわせた。追い込んでちゃんと部屋を直すよう命令した。ついでにリキのベットも作れって言った。つまりリキの存在は事実上公認。



 因みに後で知ったんだが、このバカボンと南米系の女、それと一階のドスケベな男、それらは全てオッサンの手下なんだ。つまりアパートぐるみでマリアの護衛をしてる。知らないのは護衛されてるマリアだけなんだ__




途中で出てくるエロい青年。元々は重要な意味の人物です。



シュウとマリアにも関わってくる?




詳しくは活動報告『エロいソウイチロウ』 にて


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