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世界の支配者はリア充がしたい  作者: 魔月琴理
5/23

非日常は続かない

高校生って普通にライブとか行きますよね…?

  5


いつものように教室に入ると、ドアの前に笑顔の上が立っていた。

「よぉ!」

「お、おはよ」

「緊張することねぇって。おれらカレカノだろ?」

にぱっと白い歯を見せて笑う。

(すごく嬉しいな)

でも、上を利用しているような罪悪感から上手く笑い返せない。

「おっはよ~!」

かわいい声がして、振り返ると小太郎が手を振ってこっちに走っていた。

「おはよう」

「お!コタロウか」

たたた…とまるで女の子のように走ってくる。

「こたろおおおおおお!!」

大きな声がして、コタロウに急ブレーキがかかった。

ゆゆと上もびっくりして肩が上がる。

後ろから走ってくるのは、灯だった。

「コタロウ!今度のことのっちライブのチケット、持ってきてくれたか?!」

「ああ、またそれか」

上がためいきをつく。

「…?」

ことのっちのライブのチケット?ゆゆは首をかしげる。

「今日公式ブログで見たんだ!しぞ~かに来るらしいじゃねーか!」

「あぁ、そういえばそんなこと言ってたような…」

小太郎が興奮をおさえきれていない灯から目をそらしてぼやいた。

話についていけないゆゆが戸惑っていると、上がこっそり耳打ちした。

「…あのな、ことのっちはコタロウの妹らしいんだ。

 で、コタロウがことのっちのいい席のライブチケットを宣伝のために

 持ってきてくれるんだよ」

「そうなんだ」

小太郎が嫌そうに眉間にしわを寄せて灯にチケットを手渡す。

「あ、上も行くだろ?」

でれでれっとした顔で上に言う。

「その日だったら、行けるな。

 あ、でも、おれゆゆの彼氏だからゆゆと一緒に行きてェな」

ゆゆの方を見て誘ってくれた。

「わ、私も行きたいな」

言うと、灯ががばっと肩をつかんできた。

「!?」

目を見開いて戸惑うが、灯はゆゆのことなんて気にもとめず

ことのっちについて語っている。

(…呪文?用語が多すぎて分かんない)

「おい、ライト」

いつもより低い声が聞こえて上を見る。

(え、今の上?)

「ゆゆ困ってるだろ」

真剣な顔と目が、灯に向けられていた。

まだしゃべりたいと上を睨む灯。

しん…と、時が止まった。

(どうしよう。…喧嘩になっちゃったら困るな)

「はいはい。ライト、どうどう」

「んーんっ!」

「まだしゃべりたいかもしれねーけど、さすがにキモいぜ」

小太郎が灯の口を手でふさいでにこにこと言う。

場が和んだ。

(コタロウくんすごい)

「上も顔怖いぜ~?あ、もうすぐ授業始まるぜ!」

上の手を引いて教室の中に連れて行った。

ただかわいいだけじゃない。

小太郎は空気を和ませた。

(でも、私は)

『喧嘩になったら嫌』と思った。

(いやいや、今のも偶然だって)

よくあることだ。

きっと。

小太郎のチートさェ…。

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