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世界の支配者はリア充がしたい  作者: 魔月琴理
3/23

何も変わってるはずがない

イケメン公表アイドルオタクキャラってなかなかいないですよね。(隠れはいるかもだけど)

 3


教室に入ると、クラスメイトがざわついた。

それもそのはず、上が『一人の』女の子と手をつないでいるのである。

しかもゆゆと。

「どうしたんだよ。お前、今日はナンパ失敗か?」

男子がへらへらと言うと上が笑顔で答えた。

「いや?コイツ、今日からおれの彼女だから」

「「「ええええええ?!」」」

大合唱が起きる。それもそのはずである。

「いやいや?!それはないだろ」

「何でよりによってゆゆなんだよ」

「他にかわいい子いっぱいいるだろ?」

(うわあ、みんな言いたい放題だぁ)

なんだか悲しくなってくる。

「そうか?コイツ、なかなかかわいいと思うけど」

「お前、ロリコンだったのかよ」

「ちげーよ」

あっけらかんに笑うと、「おい」と声がした。

「上。テメェ、いつからロリコンになったんだよ」

「いや、ちげーって。っていうかお前にだけは言われたくねェよ」

「ことのっちはロリータじゃねェ。

 同い年だぞ」

「…コイツだって同い年だぜ?」

宮原灯。『ライト』と呼ばれることもある。

オレンジのゆるふわ無造作ヘアー、前髪の一部だけが赤く

ジト目の瞳は髪と同じオレンジ。口を開けると八重歯が見えるイケメンである。

『ことのっち』と言う有名アイドルにゾッコンで、他の女の子には興味を

示さない。男子高校生としてはあり得ないが。

「お前なぁ、おれが誰を彼女にしても関係ねーだろ」

「でもゆゆはねェだろって言ってんだよ」

灯が冷たく言う。

(どうしよう、よく分からないけど、私のせいで灯くん怒ってる…?)

しかし、考えてみたら灯や他のクラスメイトが不思議がるのも当然だ。

学年一、二を争う人気者の上に、中の下のごく普通のゆゆがつりあうワケがない。

「ご、ごめんね」

涙があふれてきて灯を見上げる。

「そうだよね。私が上の彼女のワケない…」

泣き崩れてしまうと、上が肩を支えてくれた。

「ライト!お前、何女泣かせてんだ!」

上が怒鳴って灯の方を見ると

灯が真っ赤に顔を染めていた。

「…ん?」

きょと…上が首をかしげる。

「なっ。何でおれが…ことのっち以外の女子に」

ぼそぼそと小さくつぶやき、頭をかかえて走って廊下に逃げてしまった。

「おい、ライト…?」

(本当によく分かんないけど…これ、私のせい?)

「まぁ、気にすんな。そんな深く考えねェほうがいい」

上が頭にぽんと手をのせた。

「でも…」

「大丈夫。おれにはアイツの気持ちがよく分かる」

「私は分かんないんだけど」

ちょうどその時、チャイムがなった。


「灯欠席か~?」

「いや、さっきまでいましたー」

「そうか」

少しだけ罪悪感が残っていたが、すぐに昼食の時間になった。

戻ってきた灯と上の間で食堂まで歩く。

「…ゆゆ。その、さっきは悪かった」

「いや、私こそ…?」

「おれがどうしてあんな気持ちになったかは分かんねェが

 おれはことのっち一筋だからな」

(真顔で言われると怖いんですけど)

灯のことはよく分からないが、どうやら一緒にいてくれるようだ。

(そういえば、灯くんよく上といるもんなー)

二人はモテ男である。全く違うタイプだが。

上は明るく元気で無邪気。灯は無愛想で無気力。

(対照的だけど、仲がいいな。

 あ、もしかして私ういてる?!)

そんな気がしてきた。いや、絶対そうである。

(どうしよう)

「お、ついたぞ。ゆゆ。

 何欲しい?おれ買ってくるぜ?」

「いいの?じゃあ、私はイチゴクリーム入りパンで」

「上。おれのも頼む。ゆゆと同じヤツ」

「お前、本当甘いの好きだよな。見た目の割に。

 って、ライトの分まで買うのかよ!なんだよしょうがねェなぁ~」

そう言いながらも灯のぶんも買いにいく。

「なぁ、隣座っていいかな?」

高いかわいらしい声が聞こえて、振り返る。

「ゆゆちゃんだよな?」

目がちかちかとした。男の子とは思えない童顔が目に飛び込む。

きらきらの金髪、青い瞳。なのに、日本人顔。

おっきなタレ目。かわいい顔して一生懸命男っぽい口調にしている。

だが、隠しきれないかわいい仕草にファンがたくさんいる。

同じクラスの『九十九 小太郎』である。

本当は『ショウタロウ』だが、『コタロウ』と呼ばれている。

「あ、いいけど…」

(話したことないのに、何でいきなり?)

「今日朝びっくりしたぜ~。まさか上くんと付き合うなんて」

きゃはっ。かわいらしい笑顔。

「う、うん。私もびっくり」

「ゆゆちゃんかわいいからな」

普通にそんなことを言えるなんてすごいと思う。尊敬する。

「あ、ライト。先輩がいい加減に生徒会来いって怒ってたぜ?」

「知らねー。言わせとけ」

「もう、そんなんだから成績悪いまま「おれはことのっちさえ見れればそれでいいんだよ」

「そ、そう…」

コタロウが苦笑いする。

(あ、灯くん引かれてる)

アイドルが好きなのは分かるが、公表しすぎだ。

「あ!コタロウも来てたのか!

 ゆゆとライトのぶんしかパン買ってねェんだけど」

「ああ、いいぜ。おれは買ってあるからな」

またもやイチゴパンだ。

「皆イチゴ好きなのかー。おれも今度食ってみるかなー」

「テメェ吐き出すんじゃねェぞ」

「そうそう。そんなことしたらイチゴに失礼だぜ」

「上、食べ物粗末にしちゃダメだよ」

「何だよお前ら、おれ吐き出したみたいな言い方すんなよ」

皆の笑い声が辺りにこだまする。

脳内再生、宮原灯(CV,小野友樹)、九十九小太郎(CV,加隈亜衣)でお願いします。

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