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世界の支配者はリア充がしたい  作者: 魔月琴理
11/23

ライブとは大変なものだと聞いていない

「わん、つー!」

大きなタレ目の中の瞳は青く、髪もくせのある金色。

「じぇーんぶ!」

「「じぇ~!」」

女の子にしては、少しある背丈。(165はないが)

どうやら『じぇ』と語尾につけて話すらしい。

ステージに立って踊って歌う『彼女』を、由々はどうしても

「…上、ことのっちって」

灯に聞こえないように上の耳元でささやく。

「コタロウくん、なのかな…?」

「そんなワケねーだろ。コタロウは男だぞ?どんなに女っぽくても

 まずあんな格好で歌えねーって」

けらけらと笑う上に、由々は「まぁそうだよね」と頷く。

が、納得はできなかった。


 ($・・)/~~~


それくらい、似ていたのだ。

「コタロウはいいよな~。あんなかわいい子と寝られるんだぜ~?」

「それ言ったらいくらあの優しいコタロウでもキレるぞ」

「それ以前に、一緒に寝てないと思うよ…」

ライブ会場の中の自販機でジュースを買って3人で座って飲む。

灯はまだ熱が冷めないようで、かわいかったと熱弁をふるっている。

「えっ?由々は寝てねーのか?」

「うん。…灯くんはきょうだいいるんだっけ?」

「弟がいる。一緒に寝てるぞ」

「えーっ?!」

「って言っても、

 弟、まだ4歳だろ?」

「おう。あいつ一人じゃ怖いとか言ってくるからな」

「お前ら性格全然違うのに、顔は本当そっくりなんだよなー」

上が苦笑いする。

夜が怖いと言って甘えるあたり、たしかに灯とは正反対の性格だろう。

「明はマジで天使だよな~…あんなかわいい子いねーって」

「ことのっちの方が100倍かわいい」

「そんなにかわいいの?」

灯の言葉を無視して上に問う。

「あぁ、前に明が大切なおもちゃを落としたって泣いちまってな、

 そのときにおれが見つけて渡してやったら『ありがとお、お兄ちゃん』って!

 『お兄ちゃん』って!ヤバくね!?涙目で見上げられたんだぜ!?

 …あれはヤバかった」

「おい、おれの弟だぞ」

上が珍しく目を泳がせて息を荒げている。

由々はオレンジジュースをかたむけて飲むと、「そっかぁ、会いたいな」と言った。

「今度会わせてやるよ。あいつも喜ぶ」

(うわぁ…お兄ちゃんだなぁ…)

ふっと口角を緩めて目を細めて笑う顔は格好いい。


と、

「あっ!お兄ちゃんいた!」

まだ発音が上手とは言えないかわいい声がして、3人はそちらを見た。

「わっ!?灯くんが小さくなった!?」

オレンジのふわりとした髪、大きなジト目、小さな八重歯がちらりと見える

幼児がてけてけと歩いてきていた。

「いや、おれここにいるから」

「…えっ!?じゃああの子が」

「お~!明!久しぶりだな、覚えてるか?」

上がすくっと立ち上がってその男の子に近づく。

「…お兄ちゃんのおともだち。

 上お兄ちゃん、こんにちは」

「おおお!覚えててくれたのか!明、こんにちは」

警戒したように口元をぎゅっとつむぐ顔は、本当にかわいらしかった。

「お兄ちゃん、がっこおのかばん忘れてたの」

「あぁ、今日学校じゃないから、大丈夫だったんだけど

 …まぁありがとな」

にかっと笑った顔がかわいくて、上と由々が大ダメージを受けた。


 

 (*^_^*)


「ことのっちの握手会もだいぶ並ぶな~」

「人気だからな」

明くんがバッグを渡してくれたので灯の荷物はだいぶ増えたが

上と由々はまだ待つ気力を貰えた。

「かわいかったね~Vv」

「本当だよな!」

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