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世界の支配者はリア充がしたい  作者: 魔月琴理
10/23

私は成長していない

思案している間に、ライブの日になってしまった。

「ゆゆ!」

「上。灯くんは?」

「なんか、先着限定のグッズがあるとかで走って行っちまった」

「そ、そうなんだ」

本当に好きなんだな。くすっと笑みがもれる。

「ん?どした?」

「灯くん、ことのっちのことが大好きなんだなって思って」

「…今はどうかは分かんないけどな」

「ん?なんか言った?」

ぼそりと言った言葉が分からなかった。

見上げて上を見ると、上は首を横に振って「なんでもない」と言った。

「さ、そろそろ行かねーと」

「うん!」

こんなこと、今までなかった。

いや…幼稚園くらいのときにあったかもしれない。

(上とでかけるの、すごくひさしぶりかも)

今日の上の格好は黒を基調としたチャラチャラした感じ。

ベルトやブーツは高そうだ。

(オシャレなところはかわらないよね)

由々は緑のボーダーワンピースに赤いカーディガンをはおっている。

由々らしい格好だ。

「う、上ちょっと待って」

「あっ!悪ぃ!」

上と歩幅が合わなくて、少し離れてしまった。

由々が少し駆け足になったとき、「うおおおおお」と叫び声が聞こえた。

それは後ろからして、振り返ろうとした瞬間、黄色の法被をきた男たちが

すごい勢いで由々を追いぬいた。

「いやっ!」

「ゆゆ!!」

その大群は雄叫びをあげてライブ会場へと向かっていく。

法被の後ろには大きな金色の文字で「ことのっち愛してるじぇ!」と。

「…だ、大丈夫か!?」

「うん…びっくりした」

「ことのっちのファンだよな。

 あんな熱狂的なファンに愛されるって大変だろうな…」

「たしかにそうかも」

立ち上がろうとひざを立てると、大きな手が差し出された。

「…!」

「ゆゆ…」

(こ、これって。

 …王子様…?)

映画でよく見る、王子様のプロポーズのシーンによく似て…いる…。

ぼふっと赤面する。

アホ毛がぴょんと跳ねる。

「…えっ」

「わっ、なんでもない!」

不思議そうに首をかしげる上に首を振ると、手をぎゅっと握る。

(あれっ、こんなに男らしかったっけ)

なんだかどきどきする。

「ゆゆはやっぱり女だな」

もれてしまった言葉なのか、今度は上が少し赤くなる。

「あっ、いや悪い。変な意味じゃなくてな!」

「い、いや私も同じこと思ったから!

 上の手、男らしいなって!」

「そ、そういうことだ!

 俺様もゆゆも、もう小学生じゃねーもん!」

『もん』と言ってしまうあたり、十分こどもっぽいと思うが

たしかに、身体はしっかりしている。

「早く行こ?」

「おう!」

にかっと白い歯を見せて笑うと、由々の手を引いて歩き出す。

身長差が目立つ。

(前は私の方が大きかったのにな)

上は「小さい」とからかわれることが多かった。

灯ほどではないが、175センチはあるだろう。

自分は150センチないが。

(上、やっぱりカッコイイな)

椿坂由々(cv,井口裕香 )です!

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