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希望はねぇけど夢はある  作者: 飴玉
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変なスイッチ

マキノ リサ

牧野 莉紗。思えばこいつとは長い付き合いだ。付き合いと言っても男女交際ということではなく、ただの、友人の1人としてなんだけどな。


俺らが知り合ったのは高校の時。まあ御察しの通り、あいつがサッカー部のマネージャーで俺が選手だったって話だ。ありきたりな展開だけど、あいつはそこそこ可愛いかった訳で…真っ盛りな男の子にはそれだけで理由は事足りてる訳で…。まぁモテない男子にはよくある片思いだったってだけ。


容姿もそうだけど、あいつはとにかく人気者だった。何かと輪の中心にはあいつがいたと思う。明るいし物事ハッキリ言うし、あとは要領いいしリーダーシップもあっから周りから頼られてばっかだったな。


俺はというと、まぁサッカーしてるだけのどこにでもいる男子Aってのが関の山。到底釣り合わねぇ……ってか釣り合わなかったんだよね。告った訳ではないし、実際どうだったんだろうっては時々考えるけど、妄想の範囲からは脱け出せなかったね、結局。


そうだよな…あいつ彼氏いたことねぇんだよな。いやいや…ないない。考えんなよ、俺。自分で自分が嫌になっから。





「さっきから黙りっぱなし。呼びつけといてそれなくない?」


富士の樹海みてぇな妄想の深い森から、強引に引っ張り出してもらった。こっちをガン見して不機嫌さを顕著に見せるあいつ。


「わりぃわりぃ。ちと考え事。俺らって悩み多き年頃じゃん?」


そうは言ったけど、お前のこと考えてたなんて言えないよな。少なくとも俺じゃ…な。


「あっそ……心配して損した。明日初戦なんでしょ?頑張ってね」


ありゃ…完璧へそ曲げたな、これ。ってか真剣に考えてくれてたんだな。マジ最悪だな、俺。


「成り行きって怖くてさ。高校でも大した成績残してない俺が、何で今こうしてプロのユース監督してんだかなぁーって……」


これは本音。マジで本音。本気で心配してくれてたお前に本気で語らなきゃ、俺らの今まですら嘘になっちまう。それはやだ。


「何?ビビってんの?言っとくけど、かなり恵まれてんだよ?なりたくたってなれない人の方が多いんだから」


そりゃそうだ。ごもっともだ。普通に目指しても簡単に就ける職業じゃない。跳び跳ねて喜ばないとおかしい事だというのは、言われなくても解ってる。


解ってる……つもりだったのか?所詮は、大人になりきれてないガキの背伸びだったのか?


「なぁー?ひとつ俺からも言わしてもらっていいか?」


何でこのタイミングで入ったのかは、後になって考えてみても解らなかった。


「……何?」


ただ、不思議がるあいつの顔が普段以上に可愛いく見えた事とか、そこで変なスイッチが加速度的に入っていくのが解った事とか…。なんかぼんやりとは解ってんだけど。


「ってか、あれだ。頼みがあんだずよな」


引き返せなくなるって理性で解ってても、本能が叫んでる様な衝動にかられた。たぶん、そんな感じだったと思う。


「だから、何?」



こうして、幕を開けた。



「俺と…」




いや、閉じた…のかな?



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