第九話
第九話です。昨日何の気なしに小説情報をいじっていると、アクセス解析というのを見つけました。どうやら何人この小説を見に来てくれているか分かるらしい。ということを大発見したので、みてみると昨日のアクセスが一番すごい。前日更新できなかったから人数少なくてその反動からか、今日多い。
見てくれている人がいるという喜びをかみしめると同時に、投稿のプレッシャーを感じました。
改めて読んでいただいている方有り難うございます。
てかそんな機能あるならはよ気付けよ!私。
気を抜きそうになると、背後から放たれる殺気とも妖気ともつかぬ気配に緊張しながら勤務時間の残り四時間を何とかこなす。
途中で「モノは試しヨ。」とか、「ハマったら、抜け出せないわヨ。」とか聞こえてきて、仕舞いにはステレオで声が聞こえてきて無視し……たかったけど結局捕まった。
「「なんで無視すんのヨ」」
「勘弁してください。まだ……まだ諦めたくないんです!!」
「「?……………ッ!♪」」
何とか逃げ出したいという焦りから、言ってはいけないことを、言ってはいけない相手に言ってしまう一平太。
気づいた時にはもう襲い。腹を空かせたライオンに、バターと調味料を持って丸腰で向かうシマウマ状態。
「それは……」「それは……」
「「楽しみネッ♪」」
もうダメだ。ヤられる。美味しくいただかれてしまう。『観念』と言うよりは、『覚悟』を決める一平太。徐々に艦橋の角へと追い詰められる。舌なめずりする二匹の餓えた獣、否。美人の皮を被った野獣先輩たちにいただかれそうになったその時っ!!
「ウェッ、ホン。……君たち。我が艦の神聖な艦橋で何やっとるのかね?」
……タスカッタ。
知らないうちに魔の四時間を逃げ切った一平太は、休憩時間となり、死ぬほど怒られているチェイン・ブラザーズを尻目に艦橋から生還する。さすがの二人も艦長には頭が上がらないようで、涙目になりなから正座している。ちょっと可愛そうになったが、彼らは自業自得だ。そういい聞かせて艦橋を去る。
「マジで危なかった。」
「なぁにが危なかったんだい?」
例の兄弟と関わる度に男としての大事な何かを失いかける、もしくは失う。一平太が一人呟くと声が掛けられる。声の主は、マーガレット・ブレタ。いつの間にか食堂へと出ていたようだ。
「どうしたい、深刻なカオして。何かあったのかい?」
「いや、実は………」
事の顛末を話す一平太。モチロン一平太の男の沽券に関わる部分は端折って。その話を黙って聴いていたマーガレットは、途中から肩を震わせてている。
(泣くほど情けない話だったか。恥ずかしい所は話してないけど、それでも情けないよな。それとも怒ってくれているのかな。「『期待の新人』に何してくれてんのよっ!!」つって。きっとそうだ。そうに決まってる!!)
勝手に都合のいい方向に解釈する一平太。そんな都合のいい励ましの言葉を待っていると、耐えられなくなったのかマーガレットが声を上げる。
「アッハハハッハッ!ヒッ、ヒッ、、ブハッハッハッ!!あの子達も懲りないわねぇ。」
……豪快に笑っていらっしゃる。引きつけを起こすほど、一通り爆笑して一平太の希望的観測を打ち砕くとマーガレットは落ち着いた。
「ふぅ……。ひさびさに大笑いしちゃった。ごめんなさいねぇ。余りにもアレだったから。」
「はあ。」
一平太は曖昧に返事をすると、しょぼくれる。それを見かねたのかマーガレットは言葉を続けた。
「あの子達、昔からああって訳じゃないのよ。」
気になる話が始まった。
「あの子達、昔は地元でも名の知れたワルってヤツでね、改造車なんか乗り回して《チェーン・ブラザーズ》なんて呼ばれててね。それは大層な暴れっぷりだったそうよ。その時にメカニックの腕を磨いたみたい。」
チェイン・ブラザーズの昔話だ。マーガレットの話によると、彼ら兄弟は中国のスラムで生まれ、戸籍登録もされず、生まれてすぐに兄弟で捨てられた。いわゆる、《黒孩子》(ヘイハイズ)だ。戸籍がない《黒孩子》は社会的にいないものであり、当然彼らには医療や教育等の国家的な福祉サービスはうけられない。彼らは増えすぎた人口抑制の為に未だに続く『一人っ子政策』の被害者だった。そんな背景を持つ二人はマトモな職業へも着けず、必然、悪事に身を染めて必死で生きるしかなかった。
そうやってドブを這い回るような生活をしながら生きていた。ある日、とある華僑から仕事が舞い込んだ。当然真っ当な物ではない。仕事内容は届け先が国外なだけで、簡単な荷物運びだった。
巨額の報酬を目の前に一も二もなく飛びつくと、荷物をもって目的の国へと向かう。
行き先は──日本。
戸籍を持ってない二人はパスポートなんかも作れず、日本に入る方法はたった一つ。『密入国』だった。どうにかこうにか日本行きの貨物船に潜り込み、日本へとたどり着く。幸い荷物は小さい物だったので持ち運びには苦労しなかった。
目的地へ向かう二人は、着いた先で自分達が住んでいた町とは比べ物にならない人混みを目にし、面食らっていると途中何人かの人とぶつかる。何とか受け渡し場所へと着くと荷物を渡して任務終了となるはずだった。
着いた先で彼らはとんでも無い事実に気づいた。荷物がないのである。(スられた、、、)慣れない町とはいえ、数多く悪事に手を染めてきた二人にしてはあり得ないミスだった。必死に犯人を探すが、もはや後の祭り。結局荷物は出て来ず、二人は途方に暮れた。呆然と立ち尽くす二人に、突然声が掛けられる。
「 怎么了 」(どうしたんですか?)
中国語で話かけられた二人は驚いて振り返る。そこには若き日のノーマン社長がたっていた。
話が分かる謎の外国人に、今までの事を素直に話す。深く考え込む若き日のノーマン社長は暫くそうしていると、頷いて
「ここで待ってなさい。」
と中国語で二人に指示すると立ち去って行った。二人は逃げてしまう事も考えたが、こんな言葉もわからない異国では逃げる宛もなく、仕方がないのでおとなしく待っていた。長いこと同じ場所で待ち、日が落ち掛けた頃に外国人が帰ってきてこう言った。
「 洗澡 一起去 」(風呂に一緒に行こう)
謎の外国人はそう言うと二人を無理矢理引っ張り、どこかへ連れて行こうとする。何を聞かれても「無問題」としか言わない外国人に半ば呆れかえりながらついて行くと、とある建物につく。
そこは…《銭湯》だった。
守られた貞操、知られざる過去の暴露。全くもって宇宙感のない話。あるのは、アッー感と銭湯感のみ。
もう少し宇宙感出したいと思いつつ、ついつい書きたいことを書く私。
衝動を押さえることを考えなければ。きっとむりだけど。
お読みいただき有り難うございます。