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勇者様の憂鬱①

メンバー、光魔法、二人のバカの改変をしました。

 この世界にはたくさんの大陸があります。

 その大陸の中でも大きな大はいつしかこう呼ばれる様になりました。

 世界の中央にある大陸を中央大陸と呼び、その大陸を中心に東の大陸、西の大陸、南の大陸、北の大陸と呼んでいます。

 魔族が住むのは北の大陸よりも北にある北の大地と呼ばれていました。北の大地は中央大陸を除く他四つの大陸を合わせたほどの大きさです。

 魔族は北の大地に住んでいました。その北の大地以外の大陸にすむ種族がいます。人間です。

 

 人間と魔族の争いの規模はどんどんと大きくなって行き、平和に暮らしたいと願う人々の願いを壊していっていました。

 そんな争いを終わらせるために日々戦っている者達が人間の中にいた。

 

 

 勇者である。

 

 

 勇者は魔族を統べる者が現れた時、世界が争いの世界になる時、はるか昔より人間に力を貸すと言われる天使が勇者にたり得る人間に力を与えます。与える力は勇者のみが使うと言われる光を操る魔法と身体的能力。これにより勇者は世界には広がる戦乱を沈め、世界を平和にするとされていました。

 

 今の世の勇者は疲弊しきった人々のため、平和を望む人々の為に立ち上がり、仲間と共に魔王討伐のため日々激しい戦闘をおくっていた。

 

 

 今回はそんな勇者ご一行のお話。

 

 

 

 

 東の大陸の魔王軍の補給基地のひとつの要塞。その基地の治める者がいる部屋で人間と魔族が戦っていた。

 補給基地のいたる所で爆発が起こっており、この魔王軍の補給基地は崩壊寸前であった。

 

「ふ…まさか、たかが人間に我が要塞が落とされ様とは…」

 

「よく言う、俺たちをここまで苦戦させたんだ。お前達魔王軍も中々強かったぜ」

 

「さすが、勇者たちと言っておこう…」

 

「あぁ…お喋りはお終いだ。次の一撃で決着をつける!」

 

 二人が剣を構え、一戦を交える。

 

「いくぞっ!!」

 

「うぉぉぉおお!」

 

 異なる種族が最後の力を振り絞りる。力がぶつかり合う。力が激突した直後、部屋の壁は崩壊した。

 

 剣を交えた二人のうち一人が崩れた。

 

 

「……グッ!」

 

 魔族が床に倒れ込む。身体に刻まれた傷は致命傷であった。

 

「み…見事だ…勇者よ…」

 

「……」

 

 勇者と呼ばれる人間は何も答えない。散りゆく戦士に言葉は不要だと感じているのだろう。

 

「さ…最後に…名を教えてはもらえぬか…」

 

「…ユーディウスだ。」

 

 ユーディウスと名乗る人間はその魔族の目を見てしっかりと自分の名前を告げた。

 

「ゆ…勇者…ユーディウスよ…お主の歩む先には…まだまだ我ら魔王軍が…」

 

 魔族は最後までユーディウスに言葉を残す事なく絶命した。勇者の道のりは険しい、ここで立ち止まるなと。剣を交えた者達に種族や敵など関係ないのであった。魔族の将は最後に勇者と戦えた事を誇りに思いこの世を去る。

 

「……」

 

 ユーディウスは何も言わない。ただ虚空を眺めるだけであった。

 

 そして魔王軍の要塞が破壊され、この地にいる人々に束の間の平穏が訪れた。

 

 

 

 

 

 

 ーーある街の宿屋

 

 基地の近くにある宿屋に勇者とその仲間達が訪れた。

 

 勇者とその仲間は二人が少しながらの怪我をしていた。街に住む人々から是非にと宿を貸してもらえ、この宿にいるのは彼らたちだけであった。

 

 そんな宿屋の一室に勇者と仲間がいた。

 

 

 

「何か私に言う事があるのではないのですか?」

 

 宿屋にある一室にいる勇者ご一行。

 男性が二人に女性が二人。

 

「あの…その…すいませんでしたぁあ!!」

 

「すいませんでしたぁあ!!」

 

 床の上で土下座をする二人の男性。

 テーブルには不機嫌そうにしている女性と、その人物をテーブル越しに座る困り顔の女性。

 

「いくらあなた達が強いからって猪突猛進すぎます!私たちを少しは頼ってください!!」

 

 苛立ちを隠そうとしない女性の名前はアルスと言う名の女性。

 床で見事な土下座をかましているのはユーディウスとヤルダバウスとい名の男性。

 仲間からはユーリ、ヤルダと呼ばれている。

 困り顔でているのはシェラエルという名の女性。仲間からはエルと呼ばれている。

 

「まぁまぁ、アルス様。この二人も悪気あってやったのではなく、力無き民達のために戦ったのですから…」

 

「悪気がなく?……よ…余計悪いわぁぁあ!!」

 

「きゃぁっ!!」

「「ひぃぃ!!」」

 

 遂にはテーブルを壊す勢いで両手を振り下ろすアルス。テーブルの上に置かれる物が跳ねる。プルプル震えて未だ土下座をしているユーリとヤルダ。困り顔から呆れ顔になっているエルさん。

 

「ユーディウスさん!あなたはまた勇者と勘違いされたみたいですね!!前にもいいましたよね!?本当に何回言えば気が済むんですか!!」

 

「いえ、また魔族の将が勝手に勘違いをしまして…」

 

「ならそれを教えてあげればいいじゃないですか!なんでそのまま話の流れに乗っちゃうんですか!?」

 

「いや、敵将がまさか今まで死闘を繰り広げていた相手が勇者ではなくただの戦士と知ったら死ぬに死ねないと思いまして…」

 

「またその言い訳か!!ユーディウスさんは罰としてまたご飯禁止ですからね!!次、ヤルダバウスさん!貴方も一人で将以外の敵を倒さないでください!!」

 

「そ…それは…でも…」

 

「デモもストライキもあるかぁぁ!!素手だけで要塞を壊して回るやつが言い訳するなよ!!なんであなた達だけで魔王軍の基地を破壊できるんですか!?何回も聞いてますけどまた聞きますね、二人はどんだけ強いんですか!!」

 

 そう、今回の補給基地を破壊する際に実際に基地内部に入ったのはユーディウスとヤルダバウスの二人だけであった。

 アルスとシェラエルは補給基地から逃れる魔族の残党狩りを担当するのだが今まで基地から魔族が逃げてきた事がない。二人はただ煙をあげて行く基地を見るだけであった。

 

 なぜここまでアルスが怒っているのかと言うと、彼女こそが勇者であるからだ。

 

 勇者アルス、

 戦士ユーディウス。

 賢者シェラエル。

 武闘家ヤルダバウス

 

 これが勇者ご一行の職種である。

 

 僧侶シェラエルは勇者とは違う天使の加護をうけており、治癒魔法に長け、最も扱いが難しいと言われている空間転移の魔法が扱えるとても優秀な僧侶であった。シェラエルは勇者が魔王討伐へと旅立つ時に同行を願い出た最初の仲間であった。

 

 勇者はそんなシェラエルを心から信頼していた。女二人の旅は困難な道のりになるだろうが世界の為に頑張ろうと決意した。

 

 しかし、その思いもすぐに打ち砕かれた。それは最初に遭遇した魔王軍の将との遭遇。二人はものの数分で打ちのめされてしまう。どんな魔法でも使うには呪文を唱えなくてはいけなく、呪文を唱え終わる前に魔王軍の将はシェラエルに襲いかかった。仲間がやられ、動揺したところを一撃で気絶まで追い込まれるアルス。そして女性であると、あまりの弱さにと勇者たちは命を見逃された。情けをかけられたのです。勇者アルスは膝をかかえ泣き宿屋に篭りました。そんな勇者をシェラエルは優しく抱きしめました。

 

 シェラエルが勇者に提案した。

 

「私たちはどこまで行っても女性であります。やはり情けをかけられたりしてしまうと思うので男性の人を仲間に加えないでしょうか?」

 

 勇者アルスはその提案を渋々承諾した。

 女性であるからと敵になめられるのはおかしいと思っていたからだ。彼女はそこらの男よりも強かった。

 

 勇者達は次の日、旅の護衛などを派遣しているお店に向かった。こういう店は少し大きな街や都市に行くといくつか存在し、旅人や商人の人たちに護衛として傭兵などを貸し出すお店である。

 店に入り、優秀な剣士、戦士、槍使いなどはいないかと聞いた。

 自分たちに今必要なのはシェラエルの呪文を唱えるまでの間彼女を守れる人物と自分と肩を並べられる人物であった。そうしてくると職種は限られてくる。

 

 しかし、勇者の回答虚しく、今は魔族と人間たちが日々争っているので空いている人がいないと言われてしまう。このままではあの魔族の将が攻めてくるのではないかと不安に押しつぶされそうになる。また負けてしまうのではないかと。

 

 次の日も勇者たちはそのお店へと向かった。一日でどうこうなると思っていなかったが運が良かった。

 中に入ると二人の男性が目についた。話を聞くと二人は自分の故郷から出てきた戦士と武闘家。二人ともこの大陸の生まれだそうで、つい最近まで中央大陸に存在するある場所で過酷な修行をしていたそうだ。そして、自分たちも今の戦乱の世になにか役立てないかと思い、この街に出向いたらしい。丁度自分たちが欲しかった戦力だったので、二人を護衛として雇う事にした。

 

 

 

 それが苦難の始まりになる事を二人は知らなかった。

 

 

 

 

 護衛に雇った二人はまだ実戦を行った事がないと言う。アルスが二人を連れて魔物が現れると言う道を歩いているときに二人の武器、得物を見せてもらい後悔した。

 

 戦士の方は木こりが使う斧、刃こぼれしていてこの状態では魔物には対応できない状態だ。よくこんな物で戦おうと思えるのかと勇者は考えた。戦士曰く自分の尊敬する師がくれた何よりも大切な得物なのだそうだ。

 

 武闘家の方はもっとひどく、ほつれたボロボロの軍手を両手にはめていた。こいつは一体何がしたいんだと戦士以上におかしいと勇者は考えた。武闘家曰く自分の尊敬する師から頂いた宝だそうだ。

 

 これでは魔物どころか野生の獣にすら遅れをとるのではないかと不安に襲われる勇者アルス。

 

 そしてその時は唐突に訪れる。

 

 自分たちが向かっていた方向に魔王軍の一個小隊が現れた。どうやらその小隊はこの街を攻め落とそうとしている様であった。

 勇者は絶望した。今自分が最も信頼する女性は街の教会で人々を治癒魔法で助けている最中であったからだ。

 

 まだ実践経験のない二人がいるこの場であの数と戦えるはずがないと考えたアルスはすぐに街に戻って準備をしなくてはならなかった。

 

 そう考えていたアルスの目の前で後ろにいるはずの二人の男がいつの間にか魔王軍へと向かって行た。

 

 なんてバカなことをするのかと勇者は思った。初心者の戦士などに見られる力量を図らず敵に挑む行動を二人はとっていた。己の力を理解していないものがする行動をしてしまっていたのだ、

 

 このままでは二人は無残に死んでしまうと思った勇者は二人をなんとかこの場から逃がす為に敵の小隊に飛び込もうとした。

 

 しかし勇者アルスは飛び込まなかった。

 目の前に広がる光景をただ某然と眺めていた。

 

 いく度も木に打ち付けたようで、刃こぼれをおこしている斧を片手で振るい敵は葬り、空いている手で敵をつかみは投げ、口から発する声で敵が放つ魔法を消していくを繰り返し敵を次々葬る戦士。

 

 ボロボロの軍手で敵を片っ端から葬り、あまりの俊敏さでまるで質量のある残像を残し、走った際の衝撃で敵を吹き飛ばしてを繰り返し次々葬る武闘家。

 

 いつの間にか魔王軍はこの場にいなかった。敵は葬られ、この場にいるのは勇者と戦士と武闘家だけであった。

 

 勇者は二人の強さに心が震えた。この二人は自分以上の力をもっているのではないかと。

 

 勇者はその場で自分の力の無さを二人の男性に告白する。二人の男性は言います。

 

「「なら我々が勇者様を全ての脅威からお守りいたしたます。我らの命は勇者様の為に」」

 

 まるで童話に出てくる騎士の様に、その場に膝をつき勇者に忠誠を誓った。勇者はそれぞれの男が持つ獲物に自分の剣を重ねて行った。騎士の儀である。これで二人の男性は勇者の騎士となった。その際に武闘家の持つ軍手の寿命が尽き、武闘家は膝を落とし大泣きしていた。

 

 こうして、人々を救うために戦う勇者に忠誠を誓う戦士と武闘家の二人が仲間に加わった。

 

 これが勇者ご一行の四名の出会いである。

 

 

 

 この出会いが天使のイタズラか、悪魔の罠かは神のみぞ知ることである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「悪魔の罠だよっ!!!」

 

「「ひぃぃ!!」」

 

 声大きく怒鳴るのは勇者アルス。

 

「あんたたち二人が仲間になったのは悪魔の罠だったんだよぉぉお!!」

 

「「ひぃぃ!!」」

 

 なぜ勇者アルスがこんなに怒っているのかと言うと今回のユーディウスが勇者と勘違いされるのが初めてではないからである。さらにこの二人は勇者に黙って勝手に魔王軍の基地を破壊してくる時があった。その際にはお土産などを持ってきてアルスを激情させる。

 

 二人が仲間になってからアルスは剣をふるったことが一度もなかった。剣で斬りかかるもなにも敵がいないのだ。誰に剣を触れと言う。

 

 そして一番の問題は勇者のみが使えると言われている光の魔法にある。

 光の魔法は幾度も死闘を繰り返し、死線を潜り抜けた勇者が使える様になる魔法。死線もなにも見たことないアルスが覚えられるはずがなかった。

 

 勇者は最初の魔王軍の将との戦い以外で魔族と戦ったことがなかった。

 

 もう一度ここで勇者と仲間を紹介しようと思います。

 

 勇者(ゆうしゃ)アルス

 戦士(バーサーカー)ユーディウス

 僧侶(そうりょ)シェラエル

 武闘家(バトルジャンキー)ヤルダバウス

 

「「わ…我々がアルス様の剣なので…」」

 

「そんなセリフ聞きたくねぇぇえ!!」

 

 彼らは勇者の剣ではないのです。

 言うなれば兵器(リーサルウェポン)であった。常に破壊を繰り返す制御不能なものであった。

 

「もう流石の私も怒りました!怒っちゃいました!!今度と言う今度は許さないんだからね!!」

 

 顔を真っ赤にし、手を胸の前に構え、その場で地団駄を踏みプンプンと怒る勇者アルス。

 アルスは、いくら仲間でも礼儀を重んじる女性であった。容姿端麗であり、頭も良く、礼儀正しいと魅力的な女性であった。

 二人の男はそんなアルスを一目みて見惚れ、涙目で自分たちに助けを告白した時に惚れた。

 

 そんな男二人が心酔するアルスは、一度頭に血が登るとやる事なす事と口調が無茶苦茶になる。

 

 そんなアルスに見惚れる二人。

 ニヤニヤと笑みを浮かべてアルスを見てつぶやく。

 

「「かわぃぃ…」」

 

 アルスの耳まで届いた言葉は、彼女を口をパクパクと鯉の様にし、顔はこれまで以上に真っ赤っかにした。

 

「あ…あ…あんた達二人は何度私をおちょくれば気が済むんだぁぁあ!!もう許さないんだから!!!」

 

「「ひぃぃ!!」」

「アルス様!落ち着いてください!」

 

 アルスは部屋にあるベッドの枕で二人をぽこぽこと殴る。必死に枕でぽこぽこ殴るアルス。枕で殴られ恍惚の笑みを浮かべるユーディウスとヤルダバウス。そんな三人をため息交じりに見守るシェラエルさん。

 

 四人はいつももんな感じです。

 

 

 

 

 今日もこのご一行は楽しそうです。

 

 

 


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