表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/8

やさしさきょあく



「というわけで、無事付き合うことになったので、二人にご報告させていただきます。」




都内の神宮院邸で三人はお茶を飲みながらくつろぎ合っていた。




「おー、取り敢えず一回死んでみたらいいと思います。というか一回殺したい。てかこのお茶苦くない?」




「そうですね、取り敢えず一度地獄に落ちてみるといいのではないですか。お茶は苦いものですから。」




「まぁいいか。というわけで、過半数を超えたから一回死んで地獄に落ちたらどうよ。」






花梨と紫子の罵倒を受けながらも平然と受け流しているのは新たな交際宣言をした陵 禊だった。






「勝手に言ってろ。なんていうかお前らは一回転生したほうが俺と椿の為になる気がする。」




「おーおー、『俺の椿』だってさぁ。声をかけることもできなかったチキンのくせに彼女になった瞬間、俺様キャラかよ。これだから最近の男は軟弱だって言われるんだよ。なぁ、ゆかり。」




「そうですねぇ。少なくとも『好きだ、好きだぁ。』と一ヶ月以上女々しく言っていた人とは思えませんね。とりあえずその女々しい姿をヒナさんにお見せするほうがよろしいかもしれませんねぇ。」




「勝手に言ってろ。用事がないなら俺はもう帰るからな。今日は椿とデートだからな。お前らに割く時間はない。お前らは精々仲良く慰め合っていればいいんだよ。それと絶対にあのことは言うなよ。」





禊は言いたいことだけ言って、紫子の部屋から出ていった。



敵の出ていったことを確認してから花梨は静かにため息を吐いた。





「いいんですか、ヒナさんを禊さんに譲ってしまって。」




紫子の馬鹿らしい一言に花梨は睨みつける。




「良くないに決まってるでしょ。禊のお願いだから聞いたんじゃないの。ヒナのお願いだから聞いたのよ。」




「お願いを聞いた、という割にはヒナさんを泣かせてしまったようですが。」




急所を突かれた花梨はそっぽを向きながら、弱々しく吐き出す。




「泣かせるつもりは無かったんだけどね。なんていうか、泣き出しそうなヒナが可愛くて、その可愛いヒナが禊の恋人になるのかって思うとちょっとムカついて、つい、ね。」




「そんなことだから欲しいものを手に入れることができないのですよ。本当に欲しいのであれば、必要な時を見定める。必要な手札を揃える。必要な時に必要な手札を使う。そして何よりも決して諦めないことですよ。」




紫子の言葉を聞いた花梨は戦慄する。




そして花梨が戦慄するよりも早く、制御を失った花梨の身体がベッドに沈んだ。






「心配しないでください。私は誰かのように奥手ではありませんし、私は誰かのように決心ができないわけでもありません。そして何より好きな人には優しくできますから、ね。」




花梨は生まれて初めて幼馴染の本当の笑顔を目の当たりにすることになった……





Fin.


以上で本編は終わりとなります。


明日のあとがきでは本編での伏線と登場人物の関係を説明させていただきます


興味のある方は自分の答えが合っていたか、答え合わせしてみてください

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ