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その6~軍師のまき~

前回、女の寝間着姿で召喚された男視点。

何故、俺は女が着る服で寝るのか?

答えは簡単。昔から着てたからだ。


俺の家は代々将軍につく家系。幼い頃から剣術等の格闘術を叩き込まれ、右を見ても左を見ても筋肉達磨の家。その光景に嫌になった母が当時、幼かった俺に女の子の洋服を着せて、目の保養をしたとか何とかが、始まりらしい。憂さ晴らしとも言うだろう。



**************



「……いい加減着替えたらどうだ? 視界の暴力だぞ…」

昔は可愛いと言われた容姿は今では立派な筋肉達磨の一員。はっきり言って似合わないヒラヒラレースの服。

「いやぁ~周りの反応が面白くってついな!」

ワンピースの袖をつかんでお辞儀するだけで悲鳴が上がると言う楽しさ。

人が道を作るから歩きやすくって仕方がない。

「はぁ…」

俺の言葉に深いため息をつく幼馴染のビル。こいつは召還された時、寝巻きではなく普段着だった。ドンだけの早起きだよ。じじーかよ。と思った。

俺だって、まさかこの可愛らしい姿で王宮に召喚されるとは思ってなかった。まぁ、されちまったものは仕方がねーなと、楽しんでいるが。

「……それだけじゃないだろ。今回の召喚された件の資料だ。見るなら見とけ」

さすがビル。仕事が早い。ビルは城の中にある本などの資料を整理をしたり、過去のデータを引き出したりする仕事をする。召喚されて真っ先に自分の仕事をするあたり本当に真面目。

「悪いな! …そう言えばビルは着替えねーの?」

寝巻きじゃないとは言え、それ部屋着だろ?

「仕事は資料の管理だ。人に不愉快を与えない、動きやすい姿ならこちらを優先すべきだろ」

「真面目だねぇー」

「ちゃかすな。お前ほどじゃない。着替える時間を惜しんでの情報収集。その上、その姿でわざわざ目立つ場所を歩き回って自分の姿にショックを受けた者のフォロー。……今はどちらかというとお前の姿の所為でダメージを受けている被害者続出だ。やり過ぎだろ。…だから着替えろ」

人はアクシデントに弱いからな。

会議前にダメージを受けた状態で物事がよく進むとは思えない。初めはそう思ってたんだが、反応が面白くなってやり過ぎたかんはある。だが、本音を言うなれば、着ている服だけでダメージ受けてんじゃねーよ馬ー鹿だ。

「へいへい」

俺は返事を返すと資料に集中した。その姿にビルはため息をつきどこかに移動した。

えーと何々?


<魔族の婚姻。百年に一度の繁殖期間。魔族は好みが激しく、妥協する事が無い。種別は関係無し。>


…スゲーな。種別関係なしって…鳥や魚でもいいって事か? …あー…だから鱗付きの魔族とかいるのか。納得。後は適当に流し読み。知ってる内容だし。

最後の紙には手紙が添えられていた。



一つ、魔術、剣術、武術が優れていない者。

一つ、泣き顔が可愛らしい者。

一つ、体と心が頑丈である者。

条件に当てはまる若い男性を募集いたします。



「………あの噂本当だったって事かって…投げるなよビル」

突然投げられたもの。俺はそれを掴んだ。

…布? …あぁ、服か。

「わりーな」

どうやらビルは服を調達しに行っていたらしい。

「噂?」

「あぁ」

俺はその服に着替えながら答えた。

「魔王様の伴侶が決まって無いらしいぜ?」

しっかし、この条件どこかで見たことある人物に当てはまるのは気のせいじゃねーよな?

チラッと俺はビルを見た。

昔、剣や体術を教えた子供がいた。それはビルの甥っ子。

究極のドジ。しかも不器用。剣を持てば死にかける。体術を教えれば変な踊りになっちまう。

泣きながら頑張るんだけど身にならない。

…まぁ。面白いけどな。

「ビル。そーいやぁ、甥っ子(ちび)は卒業出来たのか?」

俺の一言にビルは固まった。

「マジで!!! 何年通うつもりだよ!!!!」

いやーまだだったとは!!!!

「……今朝、退学を受けたと報告があった」

ビルは渋い顔をして言った。

「留年し過ぎでついにか! あはははははははははは!!!」

「笑うな!!!」

俺は笑った。

今朝報告があったねぇ…つまり、甥っ子(ちび)に起こされたって事か。だからビルは寝間着じゃなかったって事か。

「じゃ、ちょーどいいよな☆」

「…まさか」

「そ! 推薦~。強くて守ってくれて住まい食事に困らない最高のお嫁さんを紹介!」

「………」

ビルは真っ青な顔をした後考えた。

「…自分の食い扶ちを稼ぐことすら困難。なら、それも有りか?」

あ~。あの甥っ子ならそうなるな。




会議は俺が推薦者を出した事によりスムーズに進んだ。ただ、どっかのあほ(魔族否定者)が魔族退治だと嘘を言ったり、甥っ子が自分が勇者(=生贄)と勘違いした所為で辞退しようとしたり、実は学園は退学じゃなくて学園の結界工事による休学だったりと色々あり過ぎて疲れた。

まるめこんだけどな!!

一番頭が痛かったの魔王がどんな人物か知りたいから旅をしているところを見たいと言った所だ。

魔王さん、弱い男を希望のくせに殺すつもりかよ??

旅の途中で確実に迷子になって転んで頭撃って死ぬって直ぐに想像できるぞ!?


……まぁ、最短ルートと護衛つけるから頑張れ甥っ子。





返却だけはされるなよ?


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