第8話:虚空の標本 レオタードが裏切る胸の愛撫(前編)
廃工場の冷え切った空気の中に、神代麗子の絶望に震える吐息だけが白く溶けていた。 彼女は今、地上数メートルの虚空に浮かび、紫色の魔力の枷によって四肢を十字に拡張された姿で磔にされている。両腕は左右に大きく開かれ、吊り上げられた肉体は逃げ場を失っている。
163センチのしなやかな肢体を包むのは、修復期間を経てかつてないほどの弾力を取り戻したロイヤルブルーのレオタードだ。しかし、今の彼女にとって、その聖衣は自分を守る盾などではなかった。
(ひっ……、あ、あああ……っ!!)
自重で肉体が沈み込もうとするたび、魔力の枷がそれを拒絶するように垂直の張力を生み出し、一点のたわみもない生地が全身をギリギリと締め上げる。肘を高く張らされた姿勢は、生地の「遊び」を完全に消滅させていた。その強烈な牽引力により、裾ゴムはパンストを道連れに臀部の谷間へと垂直に沈み込み、本来の半分も覆えていない無防備なお尻の肉を、左右へ生々しく押し出している。
麗子は黒板に向かって腕を伸ばす教師としての自分を思い出す。あの日常の動作でさえ、今この瞬間のように生地が食い込み、自分を辱めていたのではないか。その疑念が彼女の心を削る。
ゾディアックが、まるで価値ある標本を鑑定するかのように、彼女の至近距離まで浮上した。 「ほう……。この裾ゴムの結界こそが、君がセイントレディとして大切に守り抜いてきた『神聖な空間』への門番というわけだ。かつてはトップシークレットだったのに、今や見る影もないな」
ゾディアックの視線は、食い込んだ生地の奥に潜む「秘匿された器」の意匠を確実に見透かしていた。 「君が守り続けてきたその場所には、純白のフルバックショーツが潜んでいる。腰の両サイドには、黒いストラップが君の柔肌に食い込んでいるはずだ。そしてその白地には、黒い刺繍がステッチとなって縁取られている……。今、私の言葉だけで、その黒いステッチが熱を帯び、君の秘部を刺激しているのではないか?」
彼女の身体は、ゾディアックの言葉を忠実に快感へと翻訳し始める。 「なっ……!? やめて……っ、どうしてそれを……っ!」
「さらにその中心……ブルークリスタルは、溢れ出した蜜に浸かっているのではないか? 聖なる石が君自身の体液で汚染され、その光を卑猥に屈折させている……。君が教壇で板書する際、腕を伸ばすたびに裾ゴムがパンストを道連れに谷間へ引き込まれる。あの瞬間、君はいつも、その結界の内側で蜜が溜まっていく汚濁を、誰にも知られぬよう自覚していたはずだ」
物理的な愛撫が始まる前から、ヒロインとしての彼女の精神は、すでにゾディアックの毒に侵食され、哀れなまでに震えていた。
後編はもっと盛り上がります。お楽しみに。




