異世界の朝
「倒すったって、どうやって?」
「知らん。我に聞くな。」
「……取り敢えず飯にするか。そうだ!スー俺ついに魔法を使ったぞ!これで魚を焼ける。」
できるだけ明るく話して、獲ってきた魚を見せる。
「そうか、加工しなくともしょぼい魔法なら使えるのか!すごい発見じゃ!そうだ、我も赤い実や虫を集めといたんじゃ。感謝しろ。」
そこには唾液のべったり付いた実と、見るだけで食欲の失せるミミズのようなものの山が有った。
(どうやってこれを食えと!?)
「はは、うん。焚き火のための薪を集めてくるよ」
「ふん!安心せえ。我がもう集めた。」
「なんで?まあいっか。……ちょっとトイレ行ってくる。」
「遠いところに行けよ。」
「はいはい。」
――
近くの草むらに隠れ用を足しながら、近くの赤い実を食べる。毒について考えるべきだと思うがお腹がすきすぎて抑えれなかった。ついでにこの時間でMPの回復を待てばトリプルワーキングだ。
――
「遅かったのう。早く火をつけろ。もうすぐで真っ暗になる。」
「了解。」
先程のようにかっこよく言おうかと思ったが流石に恥ずかしいのでやめた。
(GODファイアー)
徐々にに火の勢いが強くなり、1分すればよく想像する焚き火のようになった。木の枝を魚の口に刺し、火にあて良い感じになっのを大きな葉っぱの上に乗せた。できるだけ細い枝を箸代わりとして食べる。
「……苦っ。」
「何じゃ、そんな美味しくないのか。我の虫を分けて上げようじゃないか。」
「結構!まだこれは食べれる美味しさなんだ!虫と違って。」
「虫嫌いなのか?」
「食べたことない。」
再び食べた魚は苦いが美味しい部分もあり少し感動した気分になった。
「ごちそうさまでした。スーもう寝よう。こんな暗いと何もできない。」
「明かりを出せるんじゃないのか。まあ、寝ることには賛成じゃ。」
「今MPが0で何も使えない。さあもう寝よう。」
火を消すべきか分からなかったが火事が怖かったので消し、寝心地の良さそうな場所で横になり寝た。
「おやすみ。」
――
起きてまず森にいることに驚いた。徐々に頭が覚めて異世界にいることを思い出した。
「スー、作戦会議をしよう。俺達がどうするべきか。」
「わかった。」
「まず、俺は魔王を倒すためにここに呼ばれたんだよな?魔王というのは何だ?」
「魔王とは魔人の王のことじゃ。魔人は大昔に魔物と人間が交わり生まれた存在。知性があり、普通の人間よりも多くの魔力を持っている。ただ人間のことを食料としか見ていないせいで何度も人間と戦ってるんじゃ。」
「外見に特徴とかあるのか?角が生えてたりとか。」
「うむ、体の一部が魔物のようになっているんじゃ。もちろん角の生えたものもおる。ただ魔法が得意な分その特徴を隠すことだってできる。それが厄介なんじゃ。」
「なるほど。えーとあと、確か女神はお主達って言ってたんだ。それで俺が転移されるとき田中も一緒にいて、もしかしたら田中も異世界にいるかも知れないんだ!なんか知ってることないか!?」
「うーん、それについては知らんな。ただ田中も一緒に転移された可能性は高いと思う。お主が魔王討伐とか想像できんからな。」
嬉しくも悲しいことを言われた。
(やっぱり田中はここにいる!いつか会えたらいいな。)
「よし!強くなるためにも魔物をじゃんじゃんかるぞー!」
「その心意気じゃ!」