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◇◆7 part2◇◆

 その後、勇者はルーナの提案を受け入れると、牢屋の鍵を持ってくるとルーナは牢屋から出れることになったのでした。

 勇者が牢屋に近づくと足を止めて勇者が鍵穴に鍵を差し込もうとしていた時、ルーナは手を後ろに向けて何かを握っていたのです。

 鍵が開いた瞬間、ルーナは走る姿勢を取り、勇者の顔めがけて、砂をかけます。

 勇者は目に砂が入り、目を押さえながら、跪きながら痛がっています。

 この砂はというと、牢屋の隅に落ちていた砂を見つけ、勇者が鍵を持ってくる間にかき集めていたのである。

 ルーナは、一心不乱に階段をかけ上がっていきます。

 「い、痛い、待て、ローズ姫」

 勇者は、痛がりながらも立ち上がりローズ(ルーナ)の後を追かけていきます。

 「待て、ローズ姫、待つんだー」

 勇者の声が遠くからこだましていて聞こえてきます。

 ルーナがホッとしたのも束の間、後ろから勇者の足音が聞こえてくるではありませんか。

 ルーナは、痛みが走り左肩を抑えます。

 さっきの衝撃でさらに、左肩が痛んでしまったようです。

 迷路のような城の中をルーナは走り回ります。

 このままでは勇者に捕まってしまうと考えたルーナは、 何とか勇者に追いつかれないようにするために物を倒したりして何とかギリギリのところを逃げていたのでした。

 ルーナは願ったのでした。

 (シャルル様早く助けに来てください…)


 その頃、 シャルルとエミリオは、ルーナが残した痕跡を見つけていました。

 「シャルル見てくれ、これあの子がつけた跡じゃないか?」

 エミリオは、✕印を見つけ、シャルルと共にその後を追っていたのです。

 進んでいくと、地下に続く階段を見つけた2人でしたが、誰かがいる可能性があるため慎重に音を立てず、階段を下りていきます。

 階段を下りると開けた場所に着きました。

 「牢屋があるぞ」

 小さな声でエミリオがシャルルに言います。

 しかし牢屋にも他の牢屋にもルーナの姿はなかったのです。

 ですが、何かルーナに関する物はないかと牢屋を組まなく探しているとシャルルは、ふと牢屋の隅の地面を見ると暗闇に青く光る何かを見つけたのです。

 シャルルが青く光る物に近づいてみると、それはルーナに贈ったはずの月の形を型どった青色のネックレスだったのです。

 何らかの拍子でルーナの首から外れてしまったようです。

 シャルルは、ルーナのネックレスを強く握りしめたのでした。

 その後、シャルルとエミリオは他の牢屋も見たがルーナに関するものは見つけることが出来なかったのです。

 階段を上り、先ほどの入り口の場所まで戻ってきたシャルルとエミリオ。

 先ほど来た方向とは、別の壁を見てみると、うっすらとだか✕印を見つけることが出来た。

 どうやら誰かがこの✕印に気付き消したのであろう。

 シャルルとエミリオは、その✕印を辿って歩いていくことにした。

 (今迎えに行くからね、もう少しの間待っていておくれ、そしてどうか無事でいてくれルーナ)

 シャルルはただひとつルーナが無事であることを祈るのでした。



 その頃、ルーナは小さな物置の部屋に隠れていました。

 ルーナがずっと疑問に思っていたことがありました。

 (それにしても、何処を探しても城の関係者の人たちが見当たらないのかしら。一体城の人たちは何処にいるのだろうか?)

 「何処にいるんだ。ローズ姫」

 先ほどとは違い怖い声でローズ姫の名前を呼んでいる勇者の声が聞こえてきました。

 ルーナは勇者が通りすぎるのを息を潜めて待っていました。

 声が聴こえなくなったためおそらく勇者は遠く行ったようです。

 ルーナは、ホッとして安心してしまい、壁に寄り掛かってしまいました。

 ガタン。

 その拍子に何かを落としてしまったようで、大きな音が響き渡ります。

 すると、音を聞いたのか遠くから足音が聞こえてくる。

 もしかして勇者に見つかってしまったのだろうか? 

 ルーナは口を手のひらで抑えて声を出さないようにしています。

 「ここに居たのですね、ローズ姫」

 しかしそれも空しく終わりルーナは、扉が開いた瞬間、勇者を押し退けて走り出しました。

 逃げなければ、その一心で走り続けるルーナ。

 ルーナは、城と城を繋ぐ通路に出ました。

 しかし足がもつれて石畳の隙間に引っ掛かり転んでしまいました。

 とうとう勇者に追い付かれてしまったルーナ。

 勇者はマントを脱ぎ捨てると、ルーナを捕まえるため、ルーナの手首を強く握り絞めました。

 「ローズ姫、やっと捕まえました。さあ行きましょう」

 それでも、ルーナは、何とかして逃げようと勇者を振り切ろうともがき続けます。

 「嫌です、結婚などしたくありません。離してください」

 「何故ですか?約束を破るのですか!絶対に離しはしませんよ!」

 「離して、離して」

 ルーナの振り払った手が勇者の顔に当たってしまいました。

 「何故なんだ。ローズ、私を怒らせたな」 

 勇者が大きな声で怒っていると、みるみるうちに勇者の顔が真っ赤になり、背中から羽が生え、大きなドラゴンになったのです。

 「あぁ、ドラゴン」

 ルーナは、後ろに後ずさりながら、自分を守るためにドラゴンに近くに落ちていた石を投げつけていきます。

 しかしなかなか、ドラゴンに石が届きません。

 何度も何度も投げると、1つの石がドラゴンに当たりました。

 ドラゴンはそれに怒り、ルーナの服を咥えると、空に向かって飛び立ってしまいました。

 ルーナは、振り落とされないようにどうにかしてドラゴンに捕まっていました。



 その頃、シャルルとエミリオはルーナの痕跡を頼りに探し続けていたのでしたすると、外から大きな生き物のような声が聞こえてくるではありませんか。

 「「まさか」」

 シャルルとエミリオは、外に急いで走っていきます。

 すると、そこには赤い色のドラゴンが空を飛び回っているではありませんか。

 そのドラゴンを見ると、口元に何かを咥えているのが見えます。よく見ると、それはルーナではありませんか。

 「ルーナ」

 シャルルは大きな声でルーナの名前を叫びます。

 しかし、空を飛んでいるためルーナにはシャルルの声が全く聴こえていません。

 シャルルはどうにかしてドラゴンの気を引こうとするが、なかなか上手くいきません。

 すると、エミリオがある提案をしてきたのである。

 「俺が、ドラゴンを引き付けるから、その間にあの子を助けてやってくれ」

 「わかった、無理だけはするなよ」

 「おう、行くぞ、シャルル」

 「ああ、エミリオ」

 エミリオが合図を出すと、シャルルは魔法を使い、壁を登っていきます。

 ドラゴンが飛行を低くした瞬間、背中に飛び乗ると、魔法でドラゴンに攻撃をしていくシャルル。

 ルーナも振り落とさせないように必死にしがみついていきます。

 バン、バン。

 シャルルの闘っている音がルーナにも伝わってきます。

 エミリオもその仲間に加わります。

 バン、バン。

 すると突然ルーナから青色の光りが放たれたのでした。

 その眩しすぎる青色の光を受けたドラゴンはみるみるうちに力を失い、どんどんに下に落ちていくではありませんか。

 ルーナはドラゴンの口から離されてしまい、真っ逆さまに落ちていっていきます。

 「ルーナ」

 シャルルが大きな声でルーナの名前を叫びますが、ルーナはどうやら気を失ってしまっているようです。

 シャルルは自分が今出せる最大の魔法で宙に浮くと、ルーナのもとまで急いで近づいていきます。

 地面ギリギリのところでルーナの手を掴み、お姫様抱っこでルーナを抱き締めたシャルル。

 シャルルは、ルーナを地面に優しく寝かせると、ドラゴンに最後の一撃を与えたのでした。

 するとその攻撃が効いたのか、ドラゴンは灰になり消えてしまったのです。

 地面に横になっている、ルーナの傍に戻るシャルル。

 エミリオもルーナのもとにやって来ました。

 「大丈夫なのか?この子は?」

 エミリオがシャルルに尋ねました。

 「眠っているだけだから、大丈夫だよ」

 「そうか、よかった」

 先ほどまで心配していたエミリオの顔は少し安心した表情に変わりました。

 シャルルが、ルーナに回復魔法をかけていきます。

 「これで少しは良くなると良いのだけれど……」

 「そうだな」

 「さあ、行こうか」

 「おお」

 シャルルが、ルーナを背負うと歩き出しました。

 その後シャルルは、エミリオと共に城の中に戻り、王様に会うことにしたのでした。

 何故かというと先ほどの使った魔法で、戻るための魔法の力が2人ともほとんど残っていないのである。

 ルーナは、シャルルによって顔が見えないように布を被っているため顔を知られる心配はありません。

 しかし、城の中に人がおらず探し続けていると、人の声が人気のない小さな小屋から聞こえてくる。

 小さめといっても城に比べて小さいということなのである。

 その扉を開けると、大勢の人がそこにいたのでした。

 恐らく勇者によって閉じ込められていたのだろう。

 そこには、王様もおり、そして姫もいるではありませんか。

 姫の顔を見るとルーナにそっくりな顔をしていて、シャルルとエミリオは、驚きを隠せません。

 姫によると、人の流れに紛れ込んで、ここに隠れていたのだそう。

 そうしたら、大勢の人がここにやってきて鍵をかけられ閉じ込められてしまったのだという。

 シャルルは、事情を王様に伝えると、理解をしてくれ、そして戻るための力をくれたのでした。

 王様にここに残らないかと言われましたが、シャルルたちはいいました。

 「僕達には、帰らないといけない場所があります」

 「そうか。残念だ。では気をつけて帰ってくださいな」

 「はい」

 「おお」

 シャルルとエミリオ、そしてルーナ。

 シャルルが魔法を唱えると、辺りが光だしていきます。

 次の瞬間、3人は本の世界から姿を消したのでした。

 「行ってしまったの」

 「そうでございますね、お父様」

 「はい。王様」

 王様、そして姫たちがシャルル達が帰ってしまったことを惜しむのでした。



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