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異世界最強騎士  作者: 野うさぎ
第1章 幼少期
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第2話 幼馴染とのすれ違い

「誠はここまで、あたしに執着してたの?


ただの幼馴染なのにね。


あたしは、真の従兄である勇気さんに恋しちゃったの」


「そんなの聞いてない・・・・!


聞いてない・・・!


俺じゃ、満足できなかったのか?」


「それは、青葉が決めることだ。


好きな相手の恋を応援することも、時としては必要だってことをわかれ」


 真君は、しばらく泣いていた。

 私はなぐさめてあげたいけれど、どうしていいのかわからなかった。

 他人の恋事情に口出ししていいのだろうか?


「大丈夫だよ。


真君。


私がいるから、元気だそ?」


 って、声をかけられたらどんなにいいか。

 

 泣いていた真君は、しばらくしてから涙をふいた。


「真君?」

 私は心配になって、思わず声をかけた。


 だけど、それ以上のことは言えなかった。


「目の前にいるのは、青葉じゃない。


青葉は、俺が目の前で泣いていても、傍観することなんてしない。


俺に何かしらの喝ぐらいかける。


青葉と名乗る女は誰なんだ?」


 真君は、鋭い顔つきで問いかける。


 勇気さんも青葉ちゃんもきょとんとしているけれど、私も真君の考えていることがわからなくて、戸惑っている。

 

「本当に青葉なのか?」


「何を言いたい?


この目の前にいる彼女こそが、青葉だ。


人は、誰でも俺色に染まるのさ。


人っていうか、全世界の女ども、イチコロにできるかもしんないな!」


 勇気さんは、なぜかケラケラと笑っていたけれど、真君は表情を崩すことはなかった。


「偽物だ・・・」


「なんて?」


「ほくろの位置が、青葉は左下にあるのに、こいつは右下にある。


だから、青葉じゃない」


「ほくろの位置なんて、覚えているのか?」


「青葉のことなら、何でもすみずみまで確認してるから」


「これは、これで気色悪いな。


はぁ、うまく騙せたと思ったけどなあ。


ほくろでバレるとか、想定外だ。


甘く見すぎたかもな」


「仕方ないわね。


聞いていると思うけど、あたしは東海青葉の従姉よ。


そして、勇気の恋人」


「自己紹介なんて、重要じゃない」


 真君は冷たく言い放つけど、自分から聞いておいてそれは酷いと私は思い、一言。


「真君!?」


「自己紹介を求めておいて、失礼なやつ」

 

 私が言うよりも早く、青葉ちゃんの従姉が正論を言い放つ。


 真君は悪気はないけど、時々理不尽なことをする。

 

「青葉をどこにやった?」


「まだ、従妹が好きなわけ?


青葉に彼氏できたら、どうするの?」


「奪い返す」


「重っ!?


さすがにドン引き。


それは、ないわあ」


「だろ?


本当に血がつながっているとは思えないくらい、真逆なんだ。


ハニー、なく子に地頭は立てぬと言わないか?」


「何?


そのことわざ、知らないわ。


そろそろ、本物の青葉、登場させない?」


「そうだな。


青葉がどこだとかで埒が明かないしな」


 偽物って、私でも見抜けなかったものを、見抜けてしまう真君は、それだけ青葉ちゃんのことを見ているということになる。

 そのことに、私は嫉妬が強くなるけれど、何でもできないでいる。


 私は、こんなに近くにいて、真君のことを支えていても、恋愛対象にならない。


 私は真君と青葉ちゃんの幸せを見届けたいのか、自分が真君の一番に昇格したいのか、どれが自分の本当の気持ちかわからなかった。

 このふたつの気持ちがいったりきたりしていた。


「お遊びはここまでにして、そろそろ囚われのお姫様を登場させるか」


「それを言うなら、お嬢様じゃないかしら?」


「自分で言い始めたことだけど、どっちだっていいさ。


青葉、そろそろ出てきてもいいぞ」


 勇気さんがそう言うと、どこからか青葉ちゃんが現れた。


「はい!」


「青葉!!」


 真君が、青葉ちゃんに駆け寄った。


「大丈夫か?


怪我はないか?


あいつらに、何かされてないか?」


「大嫌い・・・・」


「え?」


「大嫌いって言っているの。


本当に、わからない?」


 青葉ちゃん、いつもと様子がおかしい。

 瞳はいつもの明るい感じじゃなくて、人を見下すような雰囲気になっていた。


「いつも、いつも、鬱陶しいの。


どんなに、どんなに、言っても、全然わかってくれない。


あたしは、理解してもらうためにどうすればよかたの?」


「急に、何を言っているんだ?」


「あたしは、好きな人がいるの。


だけど、君は邪魔をした。


あたしの気持ちなんて、どうでもいいの?」


「それは君が本気で好きだったから、俺だけのものにしたくて、止めただけだ。


何が悪い?


自分の気持ちに、俺はいつでも正直なんだ!」


 何の話をされているのか私にはわからなかったけれど、なんとなく想像がついた。

 青葉ちゃんは好きな人ができたことを真君が何かしらの方法で知ってしまって、一途で一直線な真君は邪魔してしまった。


 だけど、真君のことだ。

 共感能力に欠けているために、やらなくてもいいことまでやってしまって、人を追い込むこともある。


「それが嫌だって言うのが、わからないの?


告白したところに、乱入して恥ずかしくないの?


大嫌い。


あたしの恋心はわからないのに、自分のことだけ理解してほしいとか都合がよすぎる。


君って、嫌われる男だよね」


「そんな言い方ないじゃないか!


俺だって、さすがに傷つくよ!


幼馴染みだからって、何を言ってもいいとかじゃない!」


「ここまで言わないと、わかんないじゃない!


無神経だってことを自覚してよ!」

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