表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/69

7.才能無くても問題ないよね?

「ふ、ふざけるなぁぁぁぁ!!!!!!」


そう叫びながら、こちらへ走ってくる男の人。何かの術でも使ったのかその腕は巨大化されていて、それを僕へ振り下ろそうとしているみたい。

でも、僕を攻撃範囲に捉えた瞬間、


ガンッ!

「ぐあっ!?」


重い物で殴られ、転ぶ。そしてその眉間へ、銃口が突きつけられた。


「動くな。少しでも動けば殺す」


そう言って彼へ銃を向けるのは1人だけじゃない。男の人を拘束してる1人と、僕の周りにいる4人。そして、色々な角度から10人近く。全員が男の人へ銃口を向けている。少しでも動いたら蜂の巣だろうね。


「目覚様。いかが致しましょうか」


僕は問いかけてくるのは、隣で銃を構えている人。この銃を持っている人たち全員、僕の護衛だよ。隠密性が高いうえに強いから、凄い便利なんだよねぇ。


「とりあえず身柄をこっちの家に引き渡そうか。……で、この人の力はどうだった?」


「常人ではあり得ないほどの力がありました。何かしらの身体強化が施されているかと」


「なるほど。……やはり、こっちの家には文書を全て公開してもらった方が良いね。こんなよく分からない力で襲われたら、ひとたまりも無いかもしれない」


僕はそう言って、おばあさんの方を向く。おばあさんは拒否したそうにしてるけど、


「わ、分かりました」


受け入れるしかない。1度は暴行されてるし、2度目の暴行まで行なおうとして、更に術まで見られた。誤魔化せるわけがないからね。


「この人の処罰と資料の公開。明日までに決めておいてね。対応によっては、すぐに出資は打ち切ってもらうから」


「わ、分かりました」


青ばあさんはまた頷く。男の人の失態もあって、もう頷く以外の選択肢を全て奪われてるね。

奪ってるのは僕なんだけれども。


「あっ。あと、明里ちゃんはもらっていくから。ほら、行くよ。明里ちゃん」


「え?あっ。……うん!」


「それじゃあ僕はもう行くよ。僕は忙しいんだから。……二度と無駄な時間を取らせないでね?」


僕は明里ちゃんの手を引き、部屋を出る。赤城も黙ってその後ろに着いてきた。色々苦労をかけたし、後で(ねぎら)ってあげないとね。忙しいだろうからどこかに連れて行くのも難しいし、知り合い経由でお酒でも送れば良いかな。

屋敷から出た僕たちは、近くの空港へ向かう。そこからプライベートジェットで家に近い空港まで飛んだ。3つも隣の県だったから、電車でも時間が掛かるんだよね。やっぱり急ぐときにはプライベートジェットに限るよ。


「……私、戻ってきたんだね」


帰り着いたら、明里ちゃんが上の空な様子でソファーに座った。まだ気持ちの整理が付いてないんだろうね。寸前まで死ぬと思ってたんだろうから。

でも、1人で考え事なんてさせてあげない。


「じゃあ、僕が実感させてあげる。帰ってきたんだって。……今回の貸しは大きいからね。今まで以上に毎日激しくするから覚悟してて」


「んっ///」


僕は明里ちゃんへ覆い被さる。明里ちゃんのために沢山コネを使ったんだから、これくらいじゃ全然足りないよ。これいからいっぱい返してもらおう。

なんて思ってたんだけど、


「目覚君。私、すっごい感謝してるから!だから、学校が終わっても体で沢山お返しするから!!……良いよね?」


目覚ちゃんは、凄い熱が入ってた。学校の卒業後も僕に恩を返し続けるつもりみたい。

これ、完全に惚れられてるね。可愛い子に惚れられて僕としては嬉しい限りだよ。……ただ、あくまでも借りを返してもらってるだけだから、それ以上の関係になる気も無いけどね。


そんな風に夜が前以上に激しくなってから数日。

その日、僕は資料を読んでいた。


「それ、神道家の資料?」


「そう。この間交渉して公開させた資料だよ。かなり古い資料だから写真で撮って送ってもらってるけど……凄い面白いね。やるつもりはないけど、この技術が表に出たら世界が変わるよ」


あの日以来、少しずつ資料を公開させていってる。術を発動するための基本の資料もあったから、明里ちゃんにも教わって僕もやってみたよ。まず術を使う前に、何やら秘められた力を計測するみたいなんだけど、


「明里ちゃんの500分の1…………」


「ま、まあ、一般の人よりは多いから!元気出して!!」


僕の力は大して無かった。明里ちゃんの500分の1で、主人公と比べると1000分の1くらい。一般人の2倍の力があるとか言われたけど、それでも化け物と戦うことは到底できないみたい。最低でも、100倍の力は欲しいってさ。ちょっと残念。

それでも、術を使えないわけではないから、


「おぉ~。何もないところから火が!」


「発動者が触っても火傷とかはしないけど、物には燃え移るから気をつけてね」


「はぁ~い」


僕は術の発動に成功。簡単な術ならものすごく低威力での発動はできるみたい。炎が出せる術とか水が出せる術とか、緊急時には重要な術かもね。遭難したときとかに便利かも。

そんな術を使ってみたことを思い出しながら、僕は資料を読んでいく。明里ちゃんもそれをのぞき込みながら、


「私、火の術以外をあんまり教わってこなかったから、こういう他の術は新鮮だなぁ」


「そうなの?」


「そうそう。適性がどうとかいう話だったんだけど、それはかなり適当だったイメージがあるんだよね」


その話を聞いて思い出すのは、ゲームのこと。明里ちゃんのルートに入ると何度か明里ちゃんと一緒に化け物と戦うイベントがあった。その時に明里ちゃんは炎の術ばかり使っていた印象がある。最後に2人で合体技を使うみたいなシーンもあったけど、その時も明里ちゃんは炎の何かを活用していたね。


「属性って他に何があるの?」


「属性?炎の他だと、水とか雷とか風とか」


僕も知ってる回答が返ってきた。今例として出された属性は全部、他のヒロインが使っていた属性だね。他にも土の属性を使ってる子もいたかな。

ただ、属性に関しては特異なのが主人公なんだよね。主人公は訓練のさせ方によって使える属性が変わるの。やり方によっては複数の属性を使うことも可能だったし。だからこそ僕は属性という物がよく分からないんだけどね。


「……うぅん。火とか水とか風とか、属性って言う名前のイメージ通りだね。でも、科学的に考えるとよく分からないんだよね。炎は燃焼の現象によって現れる物だし、水は物質だし。雷は摩擦によって起こる現象?それに、風は気圧の変化とかによって起こるもので……まとまりがないよね」


「そうだね。……私もその辺りは分からないかな」


昔は火とか水とかそういう要素で全ての物が構成されてるみたいな説があったのは聞いたことがあるけど、それは科学から反するんだよね。術というもの自体が科学から反していると言われればその通りなんだけど、その場合はどういう法則性があるのか気になるよね。


「疑問が多いなぁ」


「私も、目覚君に言われてみて考えちゃう事が多いよ。改めて考えてみると不自然なところが多いよね。この術とか」


「そうなんだよねぇ。この辺りが解き明かせるようになれば、もう少し他の所に応用が利くようになると思うんだけど」


僕たちはそんな会話をしながら資料を読み進めていく。少しでも手がかりを手に入れようとして。

因みに、資料を読みながらも明里ちゃんとは色々してる。そう。色々と……。

そんなときだった、ピンポ-ンと、インターホンの音が。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ