22.僕たちの戦いはこれからだけど問題無いよね?
風花ちゃんは、また敵地に潜入することになるのかって心配してるみたい。
確かに、叩くなら今のうちに完全に叩き潰すのが良いとは思うんだよね。ここでことごとく失敗させれば、完全に落ち目の企業になるし。
でもね。結局そういうことする場合って、その企業を潰したいときにやることだと思うんだよね。
「潜入をこれからするって言う予定はないかな」
「あら。そうなの?それなら安心ね」
風花ちゃんがあからさまにほっとしたような仕草をしてみせる。僕を含め、友人が危険なことをするって言うのは心臓に悪いよね。最悪の場合、自分も何かに巻き込まれかねないし。
「安心かどうかは分からないけど、もうちょっとしたらまたアクションを起こそうかなって思ってるよ」
「……また何かするの?」
風花ちゃんが目を細める。他の子達は、心配そうな顔をして僕を見ていた。
危険なことするんじゃないかって考えてるのかな。
「1人でドローンに銃撃されるよりはよっぽど安全なことをするよぉ」
「「「「当たり前じゃん」」」」
僕が安心させるように言ったのに、なぜか白い目で見られてしまった。あれだけ銃撃と爆破の嵐を受けて大丈夫だったんだから、今度はもっと大丈夫という考えにはならないのかな?
「それ、今回やった潜入より危険って言うこと?」
「そうですよ。比較対象がそれって、全然安心できないです」
「あ、あれ~?」
2人の反論に、僕は予定と違うなぁ。みたいな顔をしておく。
まあ、実際危険ではあるんだよね。今日やった潜入と工作に比べてもかなり危険な部類になると思う。
ある意味賭けに近くはあるんだよねぇ……。
「まあ、やるのはタダだしね」
僕はそう思って、事前の申請書を送って置いた、
………軽く世界の人口より多い数の金額を使う計画の。
「「「「……どこがタダなの!?」」」」
ちょっと何言ってるかよく分からないことを皆言ってるけど、無視だよ無視。
僕にとってはこの程度、タダと同然……同然…………ちょっと減らしたいなぁ。流石にこの金額は余裕で出せるようなものでは……・
「……いや、やっちゃおう。大事なことだし」
「「「「あああああぁぁぁ!!!!!この前よりも大きい額が消えたぁぁぁ!!!!????」」」」
ひどいなぁ~。消えてないよ。例のドローン開発の参考にしようと株を買った会社に投資した額より大きい金額を使うけど、決してこれは消えるわけじゃないの。
これはちょっと大きめの損失出るけど、長期的に見れば利益が戻ってくるものだから。……そのはずだから、……
「お、恐ろしいっす。そんな金額を1回で使うなんて」
「目覚君すごーい(放心)……」
結局、申請書通りに僕はお金を使った。
完璧と言っても良いタイミングで僕のお金は使われ、
「買った。買ってやったよ。……くふふふふっ」
「ひっ!?目覚君が怖い顔してる!!」
「目覚君!かわいい顔なのに笑顔が怖いです!!」
これから起こることを考えて笑顔を浮かべたら、皆から怯えられてしまった。明里ちゃんと葵南ちゃんはどうにか声をかけてこられたけど、姉妹と宿利ちゃんは声を出すことすらできずに怯えてるね。
僕、そんなに怖い顔してたかな?いつも通りかわいい顔だと思ったんだけど。
……と、それは良いとして。僕がお金を何に使ったか説明しようか。
僕がお金を使ったのは、投資だよ。ある程度の損失を覚悟した上での投資。これがどこまで効果を出してく入れるのかは正直未知数。
だけど、
「何かしら動きは見せてくるはず」
「ま、まあ、それはそうよね」
「そうだろうねぇ。なんと言ったって、グアフェアの株式大量に買ったんだから」
そう。僕はグアフェアの、敵対関係にあるグアフェアの株を大量に購入したの。使ったのはそのためのお金。沢山使った甲斐もあり、株式全体の6割程度を僕が保有できている。
落ち目とはいえ大企業の株式の6割を保有するって、相当なことだよ。だからこそ株価が大暴落するような失態を犯させる必要があったし。その上で大きな金額を動かす必要があった。
「僕が大株主みたいになったし、グアフェアの経営に対して口出しができるようになった」
「うんうん。……でも、なんか株主総会とか行ったら暗殺されそうだね」
「……そうだね。だから僕は、株主総会までが懸のタイムリミットだと思ってるよ」
「「「「?」」」」
皆僕の呟きに対して首をかしげている。
次の株主総会までにどうにかする必要があるって言うのは理解できてるみたいだけど、懸というものがどういう事か分かってないんだろうね。
まあ、その辺は上手くいけば分かると思うよ。
「予定通り、夏休みが終わる前に動きがあると良いんだけど」
「あっ。まだその計画は残ってたんすね」
宿利ちゃんはどうやら計画が上手くいくことを疑っていたみたい。というか、そんな計画が合ったこと自体忘れてたみたいな雰囲気だね。
でも、最初から僕はずっと夏休みの間に終わらせるつもりだったんだけどなあ。だからこんな計画を立てたって言うのに。
「ニュースでも観てれば結果が分かるんじゃないかな?」
「そう?じゃあ、観ておきましょうか」
どうなるのか気になったのであろう風花Rちゃんがテレビの電源を入れてニュースを、見始めた。けど、結局その日は何もなかった。
……でも、
「目覚君!見て!今ニュースで、グアフェアの幹部が殺害されたって!!」
「おぉ。ついに来たかぁ」
数日の間に結果が出た。その日から何日間か、連続でグアフェアの幹部連中が暗殺される。明らかに他殺な死体もあれば、事故死なのではないかと思われるようなものまで。
その種類は非常に様々……なんだけど、
「コレは僕の勝ちと言って良いかもね」
「え?そうなの?」
僕は賭けに勝ったんだと思う。
だって、
「殺害されたのは僕に反発してた、特に僕の暗殺に熱心だったと思われる人達だからね。比較的穏便な派閥の人がそういう人達を殺害して、僕に恭順の意図を見せたんじゃないかな?」
「そうなんだ……穏便な人達って言う割には、方法が過激だね」
「そうだねぇ」
僕が情報収集をした中で、特に僕を殺したがっていたと思われる数人。それが全員殺害されていた。恐らく報復か反撃かで穏便派も数人やられていたりはするけど、圧倒的に被害の度合いが違う。穏便派が頑張ったんだろうねぇ。
穏便派(味方でも邪魔になるなら殺せぇな集団)だけど。
「そして、ここまで会社の中の粛正が終わったらそろそろ……」
僕がそう呟いた直後、ぷるぷると僕のスマホが震える。そこには、グアフェアの幹部の1人お電話番号が表示されていた。
内容を聞いてみれば、グアフェアの上層部は完全に僕に従うつもりだとのこと。色々と条件をふっかけてみたけど、全て受け入れられたよ。
「……ん~。どうにか夏休み中に終わったね」
「そうだねぇ。……で、また暫くドローンの開発するのかな?」
「うん。そうしようかな」
争いは終わったけど、まだやることが残っている。
それは、新しいドローンの開発!結局僕がどうしてグアフェアを倒産させずに抱き込んだのかと言えば、グアフェアの持っている技術が欲しかったからなんだよ。
術を使う人間にも察知されないようなドローン作りのため、夏休みが終わるギリギリまで頑張らないといけない。
「まだまだ問題がありそうかなぁ」
これから神道家が50人近く受け入れることになる。
監視用のドローンを作ったとは言え、問題がなくなるわけではないんだよね。まだまだ大変そうだけど、きっと大丈夫。
だって僕には人脈チートと、金銭チートと、権力チートと、そしてなんと言っても負けヒロインチート達がいるんだから!
という感じで、俺たちの戦いはこれからだエンドです。
ここまでお付き合い頂きありがとうございました。
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