21.遊んでから帰るけど問題無いよね?
「おお。大暴落してる」
「ん~?何の話?」
葵南ちゃんをいじめ抜いた末に気絶させ、今は明里ちゃんと盛大にイチャイチャした後の状況確認タイム。
調べたところによると、かなり良い結果が出てるね。
その結果に喜んで僕が呟いたところで、明里ちゃんが後ろから画面をのぞき込んでくる。隠してないものが直接僕の背中に柔らかく触れて、なんだかもう1回押し倒したくなってくるけど我慢我慢。今は情報収集をしっかりしないと。
「ほら。さっきの会社、株価が大暴落してるの。パニックでケガ人まで出してるし、相当世間からの風当たりが強いみたいだよ」
「あぁ~。あの会社ね。……グアフェア、だったけ?」
「そうそう。それ」
さっき影響を与えたばかりの会社だけど、明里ちゃんは名前が怪しかったみたい。実際、最近全くグアフェアなんて名前を出してなかったからね。例の会社とか例の大企業とかで通じちゃってたし。
グアフェアって、なんか言いにくいんだよねぇ。
「事故起こせば、それはそうなるよねぇ」
「うんうん。……まあ、事故じゃなくてほぼ事件みたいなものだけどね」
「そうだねぇ。……ま、まあ、私はほとんど何もしてないけど?」
そう言って明里ちゃんは露骨に目線をそらす。
こんなことを言ってるけど、1番今回の騒動の大きな原因を作ったのが明里ちゃんだからね。ドローンを発火させて群衆に落としたんだよ。明里ちゃん以上に騒動の原因を作った人なんているわけないじゃん!(←こいつが計画しました)
「へぇ~。何もしてないんだ~」
「え?う、うん?な、何もしてないというか……え?何?何その顔!?」
僕がニヤニヤしてたら、明里ちゃんが焦りだした。とはいえ、本当に焦ってるんじゃなくて、何かを期待した感じの表情だけどね。
まあ、当然僕としてもその期待には堪えるわけで、
「それなら、これから沢山働いてもらわないとねぇ。……僕が満足するまで」
「ひゃ、ひゃうっ!?……あっ。そこはっ////」
僕は画面の電源を落として、明里ちゃんに襲いかかった。最近できてなかったから、沢山いちゃいちゃするぞぉ!!
……で、明里ちゃんと何回戦かやって、ついでに復活してきた葵南ちゃんももう1回ダウンさせて、かなり久々な3人での生活を楽しんだ。
とっても楽しいものではあったけど、
「そろそろ帰らないとねぇ」
「だねぇ。3人が心配してるんじゃないかな?」
「事故の報道はされてるでしょうけど、私たちの状況までは分からないでしょうからね」
もう事故はニュースになってると思う。でも、僕たちまでニュースに出たりはしない。
……勿論、待ってる3人には安否を伝えるためにメッセージを送ったりはしたけどね?でも、実際見るのとメッセージだけなのとでは全然違うでしょ。
ということで、
「「「ただいまぁ~」」」
3人で帰宅。まだ時間的には暗くなるほどではないから、帰り道も普通の速度でいけた。
一応今住んでる所って山の奥地にある別荘だから、暗くなると本当にゆっくり行く必要があるんだよね。道が舗装されてないのは勿論、野生動物とかもウロウロしてるし。
と、それは良いとして、
「お帰りなさい」
「おかえり~」
「お帰りっす」
3人が出迎えてくれる。皆笑顔だね。心配してくれてたりしたのかな?
……ん?いや。違うかな?何やら視線が僕たちにじゃなくて、僕の手元に集まってる気がする。具体的に言えば、帰る途中で買ったケーキの入った箱に。
「現金だねぇ」
「だねぇ」
「お目が高いとでも言いますか……」
皆(3人だけでなく明里ちゃんと葵南ちゃんも)ケーキが食べたいということで、夕飯を急いで作る羽目になった。
急いで作れって言うなら、手伝ったくれても良いんだよ?……だよ?
「あっ。皆見て見てぇ。さっきの事故のニュースがやってるよ」
「あっ。本当だぁ~」
「見ないといけないわね」
「目覚君は料理で忙しいからぁ、私たちでしっかりチェックしておこうかぁ~」
「そうっすね」
「…………」
結局全部僕が作った。そして30分で6人分全部作ったのに、遅いしいつもより手が抜かれてるって文句を言われた。……解せぬぅ。
そんなちょっと理不尽な目に遭いながら作った夕食を食べつつ、
「こっちは何も問題無かった?」
「なかったわよ」
「なかったねぇ」
「皆で楽しく遊んでたっす」
「そっか~」
何もないならそれで良い。それぞれどんなことをして時間を潰してたかなんて言う話を聞きながら、箸を進める。
そんな話をしていると、
「……まあ、今はそれで良いとして、目覚君はこれからどうするつもりなのかしら?」
「ん~?これからの予定ってこと?」
「そうよ。今回の計画は上手くいったみたいだけど、夏休み中に全部解決するには足りないでしょう?これから先、今日みたいにまた出張して暴れるなんて言うことがあるのかなって思って」
「ああ。そういうことねぇ~」




