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11.投げ出されても問題無いよね?

デパートでは僕の護衛をしてくれてた人達が、お客さんだと思われる人の波に流されたとのことだった。おそらくその人の波の流れは向こうの企業が起こしたものなんだとは思う。僕もなぜか人が多いのに、すんなりとエレベーターの方に行けたからね。波がおかしいのは理解できるよ。

ただ、


「見失ったのは良いとして、後は追えなかったの?」


護衛にも色んな人がいる。

近接戦闘が上手い人。銃撃戦が上手い人。人をを抱えて走るのが上手い人。罠の解除が得意な人。そして、()()()()()()()()()()()()()目がいい人。

決して僕を見逃さない人がいるはずで、エレベーターに乗った後の僕の動きもある程度把握できていたというのに、それ以降も発見できずにいた。

その理由を問うてみれば、


「小川様がいたのは、小川様がエレベーターで指定した階ではなかったのです」


「……僕が指定した階じゃなかった?」


「はい、小川様は12階を選択されていたようですが、実際には小川様がいたのは更にその上の階でした」


「更にその上?」


僕はデパートの構造を思い出す。

確かに僕が選んだのは12階であった。そして、そう僕が思い込んでいただけでエレベーターが他の階に移っていたのも理解できる。

ただ、


「12階より上って、屋上じゃなかった?」


屋上。パンダとかの乗り物があるデパートの屋上だよ。……まあ、あのデパートにはそんなモノなかったけどね。

とりあえず確かなのは、12階より上にあんな天井があるような場所はなかったということ。


「それなのですが、どうやらあのデパートは少々工事が行なわれたようでして……」


「工事?」


「はい。計画を調べた限り、20階まで増設する予定とのことでした。そのため現在は13階、つまり屋上が封鎖されているらしいです」


ま、まじかぁ~。

つまりあれってことだよね?僕は13階(屋上)までしかないと思ってたけど、実際は工事によって増設されてて更に上があったってことだよね?

20階まで完全にできてたのかは分からないけど、


「嵌められたね」


「はい。此度は完全に私どもが出し抜かれた形です。エレベーターでは、12階以上に行くことは不可能でしたので、救出も間に合いませんでした」


「あのときのことを考えると、階段じゃ間に合わなかっただろうしね……うわぁ。やられたなぁ~」


完全にしてやられた。向こうの土俵だったんだからこちらが圧倒的に不利だったのは確かなんだけど、それでももっとすぐに対応できたはずなんだよね。僕も、12階より上にいたなんてすぐに気づけるはずだったのに。それでもそんなことを考えすらしなかった。

反省点が多い事件だったよ。


「……で、今思ったんだけどさ」


「はい」


「ヘリで脱出するのって、ゲームとかだと失敗フラグだよね」


「……そうですね」


僕の真面目な今の状況にそ食わないちょっとバカな発言に、それでも護衛の人は大きく頷く。

だって実際、カプ○ンのゲームで出てくるヘリって基本的に落ちるものだからね。助けに来たヘリは落ちるものって常識だよ。

そんな話をして護衛の人も嫌な予感がしたのか、


「小川様、お立ち下さい」


「ん?良いけど……って、うわっ!?何!?」


僕が立つと、上から何かをかぶせられる。一瞬ゴミ袋にでも入れられて大海原に捨てられるのかと思ったけど、すぐに視界がまた開けてそうではないと分かった。


「……これは、パラシュート?」


「はい。その通りです。破壊されるのならその前に脱出してしまいましょう」


その言葉が、ヘリの中で聞いた最後の言葉だった。

護衛の人は僕に何か確認を取るということもせずに僕の体を掴み、外に放り投げる。そして、自分もヘリから飛び降りた。


「え、ええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!????????????」


僕は困惑を込めた大絶叫を挙げつつも、頭の中では冷静に着地地点を探す。流石に人通りの多い場所に着地するのはマズいから、どこかのビルの屋上とかが良いと思う。

ただそれでも下手なところに行くと不法侵入になっちゃうから、


「あそこかな!!」


僕は瞬時に知り合いの会社のビルを見つけ出し、そこに狙いを定める。まだパラシュートは開かずに体を倒すだけで行き先を目指していく。

一緒に降りてきた護衛の人もいつの間にか僕の横に並んで一緒に降りているね。スカイダイビングが上手い護衛って言うのもなかなか多芸だなぁ。


「……よっ、っと」


パラシュートを開いてふらふらとしながら、僕たちはビルに降りていく。……というか、後1mくらいあるっていうところでもう護衛の人はパラシュート付きのカバンを脱ぎ捨てて飛び降りてたね。術とかは一切使わずに。

僕には怖くてできない芸当だよ。


「とりあえずここのビルの知り合いには伝えておくね」


「はい。お願いします。私は仲間と連絡を取りますので」


2人でお互い必要なところに確認を取る。僕の知り合いの方はそれはもう腰が低い話し方で許可を出してくれたね。あそこまでへりくだられると、ちょっと普段圧をかけ過ぎてるかなって罪悪感が湧いてきちゃうよ。


「……帰りが遅くなるって明里ちゃんたちにも伝えないとなぁ」

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