表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
55/69

8.反対派量産するけど問題無いよね?

「……と言うことでありまして、買収を受け入れるかどうかの協議を行ないたく思います」


ついに始まったよ株主総会!!そして、買収に関する協議。今日でもう採決まで行くんだけど、まずは質疑応答とかがあるんだよ。

ということで早速挙手!


「では、小川様」


「はいはい」


僕が早速指名されて、マイクが渡される。視線が僕に集まって緊張するねぇ。……嘘だけど。


「それじゃあ最初の質問なんだけど、グアフェアに買収されたとして人事関係はどうなるのかな?」


グアフェアっていうのが、買収してこようとしている大企業だね。

最初に質問してみたのが、買収後のこの会社の人事。今の社長とか幹部がどうなるのかとか、一般社員はどういう立位置になるかとか。そういうことを聞いてみたの。

それに答えるためにグアフェアの人が出てきて、


「えぇ~。吸収合併後は一部の部署を除きましてそのまま1つの部署として取り入れます。そのため階級としては幹部の皆様などが数段階下がりまして……」


説明が色々と。

とりあえずほとんどの上の地位の人は階級が下がって、給料も下がることが予想された。これを聞いて表情が歪む株主もチラホラと。たぶん自分で株を持っている会社の社員さんだろうね。

自分たちの給料が下がる可能性が高いと言われれば、それはそんな顔にもなるよ。とりあえず反対派を少し増やせたかな。


なんて、普通は考えるかもしれない。

でも、この質問と回答による影響はかなり大きいよ。なんせ、知り合いが社長やら幹部やらにいることで甘い蜜を吸っていただろう人も多いだろうからね。

甘い蜜を吸わせてくれていた人の地位が下がれば、今後の甘い蜜には期待できない。そんなの許せるわけがないよね?

表情には皆出してないだろうけど、これで3割くらいの人が確実に反対してくれるんじゃないかな?


「じゃあ、次の質問。この会社を吸収合併したとして、グアフェアの業績は回復するの?」


「っ!」


ここからが本題。グアフェアの人の表情が変わるのが分かる。

実を言うと、グアフェアって業績が最近凄い悪いんだよね。大企業ってこともあってなかなか潰れるとまでは言わないけど、年々赤字が増えていってる。そろそろ退職者を募るんじゃないかって言う噂まで出てきてるくらい。


「グアフェアの赤字額は大きい、とてもこの会社の利益だけで補えるとは思えないんだよね。買収したけど結局潰れるなんて、株主としてはあり得ない話なんだけど」


「た、確かに今のままでは赤字が補えないことは確かです。……しかし!詳細は明かせませんが、我が社はこの機会に新たなビジネスを行なおうと考えています!それが成功すれば業績は回復!皆様へ確実な利益をお届けできます!!」


「いや、それって成功したらの話だよね?」


「そ、それはそうですが、吸収合併をすれば技術力は向上致しますし、成功の確率は高いと我が社は考えております!!」


駄目だね。全く僕の心は動かないなぁ。

他の人達もその新しいビジネスとヤラが成功するとは思えないみたいで、微妙な顔が多いね。ただ、詳細が明かせないから絶対成功しないと言い切れないところではあるんだけど……。


「詳細は話せないって言ってたからビジネス自体の話は聞かないよ。ただ、そのビジネスの市場規模がどの程度合って利益がどれくらいになるのか予想を聞いても良いかな?」


「え?あっ、はい。その、まだその辺りの詳しいことは調査中でして」


「調査中の段階なのに成功する可能性が高いなんて言ってたの?」


「うっ!」


僕のジト目も込めた一言を受けて、グアフェアの人は言葉に詰まる。更に株主には微妙な顔をする人が続出。グアフェアの先を見る力がなさ過ぎるよ。

これはもう反対になると思って良いだろうね。


「そこで言葉に詰まるなら将来性は期待できないね。ここは着実に利益を出して言ってるんだから、それを潰されると困るんだよ。海外シェアも高まってきているし、下手にこの国の産業を廃れされても困るんだよね」


「いえ、ですから、我が社はその……」


言い訳のような何かが語られるけど、もう周りは効いてない人が多いね。顔に反対で確定と書かれているよ。そんな空気の中、ちょっと泣きそうになりながら僕たちを説得しようとするグアフェアの社員さんは可哀想だったね。

この後上司に怒られないことを祈るばかりだよ。


「僕の質問はとりあえずここまでだね。以上で終わるよ」


僕は反対の空気を作り出せてほぼノルマ達成と言って良い状況になったから座る。その後もかなり厳しい意見が飛び、グアフェアの人はボロボロに。

結局挽回もできずに質疑応答は終わり、


「採決を行ないます……反対者多数により、買収には応じないものと致します」


一瞬だった。採決して即反対で決まったね。

いやぁ~。思ってたより簡単な仕事でよかったぁ~。これで凄腕の人が来てたら質疑応答で数時間かかって高もしれないけど……良くも悪くも普通の人が来たからね。

僕の目的も果たせたし、後は暗殺に備えるだけかなぁ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ