4.映像記憶でも問題無いよね?
「なんで宿利ちゃんは気付いたの?」
ペン型のカメラに気付いた理由、それを宿利ちゃんに聞いてみた。
逆に明里ちゃんたち化けも、じゃなくて超人4人が気付けなかったのは、僕と近くにあったから気配を僕のものだと勘違いしたからだってさ。
4人に気付けなかったのに宿利ちゃんが気付いたってことは何かあるはず。宿利ちゃんも凄い力を秘めているからそれが何か助けたのかな?なんて思っていたんだけど、
「目覚君の姿で、出る前と出た後で唯一そこだけ変わってたからっす」
「……ふぅん?」
予想外の言葉だった。力でも何でも無く、純粋に僕の姿が変わっていたからっていう理由。
つまりそれは、
「え?何?僕の服装そんなに覚えるほどしっかりチェックされてるの?」
「えぇ~?何何?もしかして宿利ちゃん、目覚君に気があるのかなぁ~?」
僕が首をかしげ、美春ちゃんがニヤニヤとする。ボク自身なんとなく気にされているのは分かっていたけど、そこまでには思えなかったんだけど。
なんて思ったら、
「い、いや。そ、そういうことじゃないっす」
ちょっと慌てた感じで宿利ちゃんは否定した。
「えぇ~。本当にぃ~?」
「ほ、本当ッス。美春ちゃんもそんなに揶揄わないでほしいっす。単純にアタシは、1回見たものは忘れないだけっすから」
宿利ちゃんは何でも無いようにそういった。
でも、それを聞いたボクたちは、
「「「「……へ?」」」」
困惑の声を。
でも、仕方ないよね。宿利ちゃん、1度見たものは忘れないなんて言ったんだよ?つまりそれって、
「完全記憶?」
「記憶力が凄いってことだよね?」
僕と明里ちゃんの声が重なる。ただ、そんなことを気にはせずに僕たちは真偽を確かめるように宿利ちゃんを見る。
ほかの皆も同じように宿利ちゃんを見ていた。
「い、いや。そんなに見られても困るっすけど……ま、まあ、私映像記憶って言うのを持っているっす」
宿利ちゃんのそんな告白が。
知らなかった。そして、全然気付かなかった。ゲームの設定にもそんなことは書いてなかったはずだし、ゲーム中でもそんな素振りは無かった。今まで一緒に生活してきた中でもそんなことは無かったし。
「宿利ちゃんって、凄かったんだね」
「「「「だね」」」」
「い、いや。そんなに凄くないっすよ?覚えるのが得意なだけで応用とかは得意じゃ無いっすし」
僕が皆と頷くと、宿利ちゃんはちょっと慌てたように否定する。ただ、本当に凄いと思うんだよね。映像記憶なんて努力じゃなかなか手に入らないし、凄い才能だよ。
不思議な力だけじゃ無くて映像記憶まで持たせるなんて、天も二物を与えるものなんだね。いや、見た目を合わせたら三物かな?
「充分凄いよ」
「そうだよぉ。……あっ。あれだね。複雑な術とかも覚えられるなら凄い役立ちそう」
僕の言葉に同意した美春ちゃんが、恐ろしいことを言った。術をすぐに覚えられるんだったら、持ってる力も相まってかなり凄い物になるかも。
「ひぇ」
「若いって怖いよぉ」
今までその辺かなり頑張ってきていたのであろう明里ちゃんと葵南ちゃんが2人で抱き合って怖がっている。若い才能って、追い上げられる身からすると恐怖だよね。
「若いって……1歳差なんすけど」
宿利ちゃんは苦笑している。それでも明里ちゃんたちの恐れるような表情は消えきらなかった。
そんな風に宿利ちゃんの才能が示されたけど、
「とりあえず、監視が難しいって言うのは伝わったかな?」
本題は宿利ちゃんの話じゃないんだよ。大事なのは監視に気づけるかどうか、僕が監視しているかどうかなんだよ。
「あ、あぁ。うん。すっかりそのこと忘れてたけど、難しいのは分かったよ」
「見つけられなかった物も目覚君が体につけているという条件が必要でしたから、普段は使えませんよね。人なら機械以上に見つけやすいでしょうし」
と言うことで、僕が監視をしていないことが証明された。……うん。バレなかったね。僕が街の監視カメラをハッキングした映像を見て偶に皆のことを確認したりしてることは。
ボク自身が監視しているんじゃ無くて、監視している人からちょっとパクらせてもらうのがバレないコツだね。
「……で、更に話を戻して良いかな?」
「話を、戻す?」
流石にそこまでいくともう話を憶えていない道徒ね。明里ちゃんだけじゃ無くて、他の皆も不思議そうな顔をしている。
宿利ちゃんまで首をかしげているのを考えると、宿利ちゃんの記憶は音に関係するものはダメなんだろうね。
「新しく神道家に来る子を監視するかどうかって話だったんだけど……」
「あぁ。そういえばそんなのもあったっけ?」
「そんな話でしたね。完全に忘れてました……で?どういう事なんでしょうか?」
皆、そういえばそんな感じだったけ?って感じの表情を。あんまりそこには興味なかったみたいだね。
それは良いんだけど、ちゃんと解説をして話し合わないと。
「50人超えるとなると、変なのが数人紛れててもおかしくないんだよねぇ」
「なるほど?そういうのをしっかりと目をつけておきたい、と?」
「そういうこと」




