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14.特定できても問題ないよね?

《side小川目覚》

「……もう!目覚君!危ないでしょ!!」

「目覚君が動かなくても、私たちに声をかけてくれればやれましたから!しっかり反省して下さい!」


「ご、ごめんね」


風花ちゃんが気絶した後、残念ながら大ダメージは与えられたものの倒し切れていなかった化け物は、後からやってきた明里ちゃんと葵南ちゃんによって倒された。

そして現在、僕は気絶した風花ちゃんを抱えながらお説教中。珍しく僕が怒られてるね。

今回に関しては僕も焦りすぎたところがあるし、反省だよ。僕が走らなくても明里ちゃんにでも伝えて向かってもらえば、危なげなく守ってもらえただろうからね。僕とは違って余裕で何時間でも防御できるとか言ってたし。


「小川様。お怪我はございませんか?」


「ああ。うん。大丈夫。ごめんね……それじゃあ、詳しい話を聞いても良いかな?」


2人のお説教が一段落したところで、神道家の人が話しかけてくる。なので、早速話を聞くことになったよ。

内容は風花ちゃんが聞いて、僕のゲーム知識と照らし合わせたものとほぼ同じ。原因は不明だけど主人公を含めた数名が怪物に変わって、神道家の各所で騒ぎが。そして、その間に誘拐犯が乗り込んできて美春ちゃんを連れて行ってしまった、と。


「計画性が高いね。やっぱり美春ちゃんが最初から狙われてたのかな」


「その可能性が高いかと思われます。……事前に対策を仕切れなかったわこちらの不手際でございます。大変申し訳ございません」


僕の言葉に頷き、神道家の人は頭を下げる。

普通なら、そんな厄介な者を紹介した僕の方が責められるところかもしれない。でも、これに関してはそうもならない。なにせ、事前にその可能性は僕が指摘して、神道家に確認をしていたからね。強い力を狙う人がいるなんて、どこでもあることだから。

でも、それでも神道家は了承して美春ちゃんを引き取った。であるならば、神道家は責任を持って対策をしなければならない。

そのはずなのに今回の結果だよ。神道家の失態と言えるね。


「今回はどうにかなりそうだから良いけど……ちゃんと原因の究明と次からの対策は考えておいてね。あと、復旧の予算はこちらから出しておくから、申請をしておいて」


「分かりました。何から何までありがとうございます」


出資者は僕(出資者の出資者と言う関係性ではあるが)だから、今回の復旧のために出資額を増やすことになる。その辺の申請は神道家でやってもらわないとね。

一通り聞き取りを終えた僕たちは、今回の美春ちゃん救出のために活躍してくれそうな人たちの元へ。すでに神道家に到着していて、怪物への変異の様子とかを調べていた。


「どう。対処できそう?」


僕は確認のために尋ねておく。一応報告では、普通の化け物なら問題なく倒せるという話は聞いてるよ。でも、変異種まではどうか分からないからね。


「ええ。問題ありません。今まで実験してきた個体よりは力が強いようですが、この程度であれば問題ないかと。幾つか攻撃試験も行ないましたが、ほとんどが通用するようでしたし」


問題ないらしい。心強いね。

と言うことで確認が取れたので、早速救出に向かう。一応護衛もかねて明里ちゃん達にも来てもらうよ。2人とも美春ちゃんのためなら頑張るって言ってたし。


「しかし、ターゲットの居場所が分かるとはなんとも簡単な仕事ですね」


今回の救出策繊維参加してくれる1人がそんなことを。


「そうだねぇ。まさかGPSの対策をしてないとは思わなかったよ。流石にスマホの方は妨害されてたけど、ちょっと強めの発信器にはしっかりと反応があるんだよね」


美春ちゃんや風花ちゃんには、万が一のためにGPSをつけてもらっている。プライバシー保護のため、スイッチを押さないと居場所は分からない仕組みにはしてあるんだけどね。

で、美春ちゃんは攫われるときにそれのスイッチを入れられたようで。見事に移動中の様子とか移動後の居場所とかが分かる。


「もし誘拐犯がこれに気付いてて、別の場所へ運んでるって言うのなら話は変わってくるけどね」


「そうですね。……まあ、確率は低いでしょう。知らない限り見つけられるような物でもありませんし」


知らない限り見つけられない。かなり小型で、ちょっとくらいなら取り外して移動もさせられるんだよね。だから、気付かれにくい。

しかも、


「3つもつけてるからねぇ」


「靴、上の服。髪飾りの3つでしたっけ?」


「そうそう」


どれかがバレたとしても問題ないようになってる。それこそ身につけてる物を剥ぎ取られたりしない限りは大丈夫。

……フラグっぽく聞こえるかもしれないけど、本当に大丈夫だと思うよ。向こうはロリコンだから美春ちゃんを誘拐したってわけでもないしね。純粋に実験対象として美春ちゃんが欲しかっただけ。実験対象にされるときは服装がどうなるかは分からないけど、研究内容的に攫ってすぐに始められるようなモノでも無い。だから、今なら、


「到着しました。いつでも突入可能です」


「了解。……では総員、突入!!」


僕の声と共に、乗っていた車から大量の人が出てくる。そして、この車の前後にあった車からも。

おそらく制圧は数分で終わると思うよ。


「僕たちは1分くらい経ってから行こうか」


「え?あ、うん」

「そんなにすぐに行って良いんですね?」


僕の言葉に、明里ちゃんと葵南ちゃんは意外そうな顔を。普通は安全が確保それたって伝えられるまで入ったら駄目だろうからね。

でも、今回頼んだ人たちはそこまで生ぬるい存在ではない。僕が歩く速度以上に制圧する速度の方が速いから。


「問題ないよ。プロに任せてるからね。……っと、話してたらもう1分経つんじゃない?そろそろ行こうか」


「えぇ!?まだ30秒くらいしか経ってないと思うんだけど!?」

「早すぎません!?……まあ、目覚君がそれで良いと言うのなら信じますけど」


「よぉし。じゃあ行こうか。どれくらい進んでるかなぁ?」


僕は立ち上がり、車の扉を開ける。その後ろから、2人が慌てた様子で付いてきた。

車にもそれぞれ護衛が付いてるから、僕たちが離れることは何も問題ないよ。僕たちは特等席でゆったり眺めておけば良いの。

建物の中に入ると、


「おやおや。目覚様。随分と遅い登場ですね」


制圧部隊のメンバーの1人がそんなことを言ってくる。内容に明里ちゃんも葵南ちゃんも驚愕した表情を。

僕はいつものことだから慣れているし、


「そう?1分くらいしか待ってないけど。……本当は20秒くらいで良いかなって思ったんだけど、2人にとめられてさ」


「はははっ。心配性なお嬢様方ですね。私どもなら10秒で安全圏を作ることができますよ」


そう言ってその人は、明里ちゃん達に笑みを見せる。そうしながら偶に拳銃を撃ってるところが異様だよね。全く気にもとめてない様子なのに正確な射撃ができるのがこの人達の凄いところだよ。そして、そんな人たちにコネがあるのは僕の凄いところでもあるね。

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