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7.ついででも問題ないよね?

「「……え?」」


2人の言葉に、姉妹は困惑の言葉を漏らす。

あれあれ?何やら雲行きが怪しくなってきた気がするよ。その姉妹の反応には僕だけじゃなくて明里ちゃん達も首をかしげてる。


「あ、あのね。神道家からは全て2人の部屋の物は2人が回収したって聞いてたんだけど」


「「……え?」」


2人は顔を見合わせた。

2人とも、必要最低限のものしか部屋からは回収していない。部屋に下着とかも残してきたんだけど、それがなくなってる。でも、それは神道家が回収したわけではない。と考えると、


「え?もしかしてあの子?」


「無いと思いたいけど……そういうこと?」


2人とも嫌な予感がしたみたい。僕も嫌だけど、その想定が当たってる気がしちゃうね。

2人の様子を見て今度は姉妹が顔を見合わせて、


「あり得るわね」


「そ、そうだねぇ。……気持ち悪いと思ってたけど、そこまてだったのかぁ……」


風花ちゃんはあり得ると思うらしい。それだけ変態認定されてるんだろうね。誰とは言わないけど、あの子だよ。

そして、美春ちゃんの方も気持ち悪いとは思ってた、と。相当あの子もやらかしたんだろうね。例のあの子。

でもほとんど諦めてるけど、あの子と風花ちゃんとくっつける計画は残ってる。だから、


「いや。まだ絶対そうだとは決まったわけじゃないから。……せめて軽蔑するのはかまをかけてみてからにしてあげて」


フォローしておく。因みにかまをかけてみてと言うところにはちょっと私怨がのっかてたりする。僕の家で暴れようとしたからね。もしこれでかまをかけられて本当に下着を盗んだんだったら……ふふっ。

そういう僕の思いを知らない4人は、


「目覚君は優しいねぇ」

「あの問題児にそこまで気を遣う必要は無いと思うんですけど」

「そうね。決めつけても問題ないとは思うわ」

「目覚君庇うんだぁ~。……あぁ~。もしかして目覚君も一緒に暮らしてる2人の下着を盗んだことがあるのかなぁ~」


なんて言ってきた。最後の美春ちゃんの言葉で風花ちゃんは警戒した視線を向けてくるね。明里ちゃんと葵南ちゃんの方は不思議そうな視線を向けてきたね。これは、自分たちの関係を2人に明かしてないのか?っていう顔だろうね。

2人を毎日押し倒してます、なんて普通は言えないことを理解して欲しいんだけど。とは思いながらも、僕は首を振って、


「盗ったりはしてないよ。……ただ、洗濯は基本僕だから見慣れてはいるけどね」


「……え?」


「あっ。……そ、そうなのね」


僕の言葉が意外だったのか、美春ちゃんは固まってる。からかえるとでも思ったのかもしれない。

風花ちゃんの方は納得した表情。少し意外に思っては居るみたいだけど、美春ちゃんほど驚いてはいないね。


「というか、基本的には家事全般を目覚君にしてもらってるよ」

「そうだね。私たちほとんど何もしてない。……いや。全く何もしてないわけではないけど」


何もしていないと言おうとしたけど、葵南ちゃんはいつものことを思い出してそれを否定した。僕に押し倒されて激しく運動するのが2人の仕事と言えば仕事だからね。


「目覚君って、そんな家庭的だったのね。人は見た目だけじゃないわね」


「……い、意外すぎるぅ。何もできずに2人にしてもらってるのかと思ってたぁ。私負けてるぅ」


風花ちゃんは何度か頷いて、美春ちゃんは悔しそうにしてるね。美春ちゃんは負けてるとか言ってるけど、


「美春ちゃん、家事とかやるの?」


「やるよぉ。料理だけだけどねぇ」


「「……あぁ」」


美春ちゃんの言葉を聞いて、明里ちゃんと葵南ちゃんが哀れむ視線を向けた。

何だろう。理不尽なものを感じて、諦めたような目をしてるね。悟りを開いたみたいな顔だよ。美春ちゃんもその表情を見て、


「え?な、何に?その表情ぉ」


「桜田さん。……えぇと。これだと被っちゃうから、目覚君に習って美春ちゃんって呼ぶね。美春ちゃんは、世の中にある理不尽というものにはあらがわない方が良いんだよ」

「そうだよ。時には戦わずに大人しく負けを認める方が幸せなことがあるって」


2人は諭すように美春ちゃんに語りかける。美春ちゃんはかなり困惑顔だね。ただ、風花ちゃんは何か察したのか僕に凄い目を向けてきてる。少しの恐怖も混じってる気がするよ。

……僕、何も悪いことしてないのに。


「ほら。これが目覚君の作ってくれたお弁当の写真」

「あっ。それならこっちも見せてあげよう。こっちが同じ日に私に作ってくれたやつね」


「……え?これ、同じ日のやつなのぉ?確かに具材は同じだけど……盛り付けが、全然違うぅ。これを1人でやるってぇ」


少し引いたような表情で僕を見てくる美春ちゃん。こっちにも何も悪いことはしてないはずなんだけどな!?なんでそんな表情を向けられないといけないのさ!

僕がそう思ってると美春ちゃんは両手を挙げ、


「参りましたぁ。へへぇ~」


降参らしい。僕、何も争おうとしてないのに。

……これが、戦わずして勝つというやつなのかな?喜びとか全くなくて、困惑するだけなんだけど。


「ねぇ。目覚君さぁ。気になるから今度お昼作って持ってきてよぉ」

「あっ。良いわねそれ。皆で目覚君が作ったお昼を食べたいわ」

「いいねぇ。目覚君、よろしくね」

「宜しくお願いします」


僕は何も言ってないけど、僕がお昼を作ってくることが決まった。というか、次も明里ちゃんと葵南ちゃんも一緒に会いに来る予定なんだね。


「あっ。うん」


僕は頷くしかなかった。それ以外の選択肢を向こうは提示してくれなかったね。今はもうお弁当の具材を話し合ってるよ。せめて作る僕に何を入れるかは決めさせてよぉ。具材同士の相性とかあるんだからさ。

なんてこともありつつ、その後も暫く面談は続いた。そして数時間後。


「ばいばぁい」

「風花も美春も、元気でね」


明里ちゃんと葵南ちゃんは別れの言葉を。

かなり仲良くなって、2人とも姉妹のことを呼び捨てにしてるよ。仲良くなれたのは良いことだね。

2人の言葉を受けて、姉妹の方も、


「ええ。明里も葵南もね」

「またねぇ。明里先輩、葵南先輩!」


別れを告げる。風花ちゃんは2人のことを呼び捨てに。美春ちゃんは先輩呼びで呼んでるよ。

で、僕はと言うと、


「目覚君も、またね」

「目覚君も。ばいばい」


「あぅ。うん。ばいばい。またね」


目覚君呼びのまま。あんまり距離を詰められてないんじゃないかって不安になるね。しかも、目覚君()、って言われると僕がついでみたいに聞こえるんだけど。……僕、ついでじゃないよね?


「目覚君!また連れてきてね!」

「お願いしますね!」


「あっ。……うん」


僕、ついでじゃないよね?

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