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3.会いたくても問題ないよね?

「そうなのね。残念。……でも、気持ちの整理ってどういう事?」


葵南ちゃんと自分の間で何があったのかは分かっていないという表情の風花ちゃん。そこで僕は、悲しい恋の話を聞かせてあげることにした。


「葵南ちゃんの実家である神道家は、少し特殊な家なの。諸事情により許嫁がいたんだよ」


「許嫁?それはまた随分と……」


「古いよね。まあ、そういうのの監視のためにも風花ちゃん達は神道家に入ってもらいたいんだけどね。……で、話を戻すとその許嫁のことがあまり葵南ちゃんは好きではなかったの。ただ、それでも自身の勤めとして頑張って支えていこうとしてた。……でも、そんなある日のこと、許嫁がとある女の子に告白したところを見てしまったんだって」


「え?それって、もしかして……」


何かを察した様子の風花ちゃん。隣の美春ちゃんも、似たように何か気付いた顔をしてたね。

僕は大きく頷いて、


「そう。それが風花ちゃんなの。葵南ちゃんも特に風花ちゃんへの恨みとかはないみたいなんだけど、できればもう少し会うまでは時間を空けて欲しいかなぁ」


「あぁ。うん。……分かったわ」


風花ちゃんは了承。納得してもらったよ。

そして、現在の合意に至る。


「「これからよろしくお願いします」」


「ああ。こちらこそよろしく」


神道家が検査をして、美春ちゃんの方に大きい力があることが判明。主人公君と比べても美春ちゃんの方が数倍力は強いとか。……主人公君、このままだとお払い箱になりかねないね。生け贄にでもされちゃうのかな。

と思いつつ、風花ちゃんの方にも目を向ける。風花ちゃんも美春ちゃんほどではないけど力があるようで、充分戦う力はあるとか。

僕と違って、才能があるみたいだよ……く、悔しくなんてないんだからね!


「あぁ。事前に伝えておいたけど、2人には神道家を監視してもらう役目も与えてあるから。定期的に報告を聞きに行くから、そこはしっかりと理解した上で教育してね」


「はい。心得ております」


「特に問題の子が風花ちゃんを好いてるみたいだから、その辺は注意しておいて」


「ああ。そういう……了解しました」


僕の言葉に神道家の人は頷く。

僕と葵南ちゃんの件で主人公君は最近荒れてるみたいだから、それを収める役目が風花ちゃんにあると言うことを察したんだろうね。僕としては悪いことが起きない限り、特に怒ったりはしないよ。

例え、主人公と風花ちゃんがくっ付こうとも、それが合意の元であるならば。


「え?問題の子って、神道さんの元許嫁っていう子の事よね?」


僕たちの話を聞いた風花ちゃんが、そこを尋ねてくる。何か気になるところでもあったのかな?


「そうだよ。その子も神道家が引き取ってるから、一応同じ屋根の下で暮らすことになるね。何かされた場合は僕に言ってもらえば、すぐに対応するから」


「勿論家の方に連絡して頂けた方がすぐに対応できますからね」


僕の言葉に神道家の人が続く。

僕まで報告が上がってるのは怖いんだろうね。また問題が発覚して怒られるのが嫌なんだと思う。

ただ、それを分かっていない風花ちゃんは、純粋な優しさからのものだと勘違いしたようで、


「ありがとうございます。何かあった場合は頼らせてもらいます」


神道家の人にそう言っていた。……あっ。主人公君のことで他に考えられることを教えておこうか。


「あとその子の性格から考えると、同じ家から出ると変に考えられるかもしれないから付き合ってるフリをしようとか提案してくるかもしれないのも気をつけて」


「あっ。うん。……何その具体的な内容」


「ん?純粋にその子の今までの言動や行動を聞いたり見たりして推測できることだよ」


ゲームの主人公って、そういう提案をしたりされたりするものだよね。例えば義理の兄妹になったけどそれがバレるのは嫌だから付き合ってるフリをしようとか。純粋に告白している人が邪魔だから付き合ってるフリをしようとか。

僕としては意味分からない提案だけど、主人公君ならやりそう。


「ま、まあ、それにも気をつけるわ」


「そうして。そのまま本当に付き合っちゃう流れに持って行こうとするだろうから。……まあ、その子と付き合いたいなら話は別だけどね」


「特に付き合いたい人とかないから、本当にそんな提案されたら断ることにするわ。少し家庭の事情がっていえば解決する話だし」


先にフラグは潰せた。

ここからは主人公のアプローチに期待だね。先に外堀を埋めるとかいうのは好きじゃないから、風花ちゃんの心を奪ってあげて欲しい。やっぱり主人公とヒロインの間には愛がないとね。


「さて、とりあえず話す必要があることは話したし、僕は行こうかな。神道家はよろしくね。2人は慣れないかもしれないけど頑張って」


「はい。誠心誠意務めさせて頂きます」


「「ありがとう。目覚君!」」


2人からは感謝の言葉までもらっちゃった。美少女2人に感謝されると、気分もよくなっちゃうねぇ。

なんて思いながら施設を出ようとしたとき、


「あっ。目覚様。すこしお待ちください。お耳に入れておきたいことが」


僕が最初に連絡を取った施設の偉い人が、僕に話があるらしい。すこし怪訝に思いながらも聞いてみると、


「実は桜田美春を引き取りたいと強い希望を訴えてくる者がおりまして。すでに引取先は決まったと申したのですが、それなら引取先と交渉したいから教えて欲しいなどと言われているのです。もしかしたら目覚様を探られている可能性もあるので、お耳に入れておこうと思いました」


「……ふぅん。分かった。気をつけておくよ。……その人の情報を後で回しておいて。あと、一切引取先とかの情報は教えないように」


「はい。了解しました」


何やらきな臭いね。面倒なことに巻き込まれないと良いんだけど。

それは無理だろうとどこか心の奥底では諦めつつ、僕は家へと帰る。そして、家の美少女2人に癒された。仕事の疲れが取れる~。


「お疲れ目覚君。よしよ~し」

「ギューってしてあげますね」


あぁ~。……天国。

そんなことを思って、僕は眠りについた。夕食を作らないといけないから、早く起きないと……。

その後、見事に寝過ごした僕は、夕食を出前にすることになるのだった。


「おいしいけど……目覚君が作ってくれる方が好きかな」

「そうだねぇ」


なんていわれて、明日から頑張ろうと思う僕なのであった。……我ながらチョロい。

夕食後、お皿を洗ったりしていると、


「目覚君。お願いをしていいですか?」


「ん?どうしたの葵南ちゃん」


葵南ちゃんがお願いがあると言ってきた。あまり2人ともお願いとかしてこないから、すこし珍しく感じる。それと共に、頼られるうれしさも、ね。


「今度、桜田さんに会わせてもらえないですか?」


「桜田さん?……っていうと、風花ちゃんの方かな?」


「はい。私と同学年だった方です」


それなら風花ちゃんだね。この家に住んでる2人とあの姉妹は葵南ちゃんに気を遣って会わせないようにしてたんだけど、どうやらもうそろそろ良いみたいだね。


「おそらく私とあの子の関係のことも聞いてるでしょうし、悩ませていないか心配なので」


ん~。なるほど。葵南ちゃんの心の整理が付いたというより、風花ちゃんを傷つけていないかが心配って感じかな?葵南ちゃんも他人の心配ができて優しいねぇ。

そういうことなら、


「今度様子を見に行くから、明里ちゃんと3人で行く?」


「はい。そうします。……人数が多い方が、神道家も怖く感じないと思うので」


ということで、明里ちゃんも一緒に行く事が決まった。本人の了承とかは無しだよ。とりあえずその日の夜にベッドの上で伝えておいた。

でも、その日まではまだ数日あるわけで、僕たちは学校や放課後をゆくっりと過ごすことに。

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