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2.ご機嫌取りも問題ないよね?

「あと、向こうに引き取られた場合も僕は偶に会いに行って向こうの暮らしとかを聞くことになるから覚えておいて。向こうで虐待とかそういうことがあるかどうかも調べないといけないから」


「「(コクコクッ!)」」


2人は頷く。喋らないなりに頑張って意思表示をしてくれてるよ。その心遣いが嬉しいね。

とりあえず、絶対に説明しておきたいことはこれで全部かな。だから後は、


「それだけ覚えておいて。……後は普通に雑談しようか。普通に喋って良いよ。……あっ。もし聞きたいこととかあれば聞いて」


雑談へ突入。2人と共ある程度は仲良くなっておきたいからね。そうしておいた方が、神道家に引き取ってもらった後の面会でも楽に行けそうだし。

そんな気持ちは伝わっていないにせよ、聞きたいことはあるようで、


「じゃあ、質問です。……えぇと。小川君の保護者の人じゃなくて小川君が来たのは何でですか?」


まずは風花ちゃんから。


「僕は保護者とは別居してるからね。だから、引き取るかどうか決定するのは全部僕の判断だよ。……あっ。だからって家には僕1人で住んでるわけではないよ。ちゃんと他にも人がいるからね」


「あぁ。なる、ほど?」


よく分かっていないという表情の風花ちゃん。そしたら今度は、


「じゃあ、その紹介するっていうところから断られたらぁ、小川……さん?と一緒に暮らすことになるのぉ?」


美春ちゃんから質問が。


「ん~。まあ、そうなるね。僕たちと同じ家に住むことになるかな。僕の家はそこそこ大きいから、それぞれ自分の部屋を持つことはできるよ。勿論一緒の部屋がいいっていうなら、2人一緒の部屋にもできるけど」


「ふぅん。広いんだぁ」


どこか安心した表情になる美春ちゃん。流石に、男の子と近くで寝るのは嫌だよね。……いや、僕の見た目は美春ちゃんより幼く見えるから嫌かどうかは分からないけど。

それからさらに2人は質問を続けて、


「一緒に住んでいる人がいるっていう話でしたけど、どういった方と住んでるんですか?」

「家はどこにあるのぉ?」

「紹介する……」


質問は数十分続いた。そしてその質問が終わった頃には、


「へぇ。目覚君、家庭的なのね」

「目覚君料理できるんだぁ。意外かもぉ」


風花ちゃんの敬語はなくなり、2人からは目覚君呼びされるようになっていた。僕の見た目も相まって、距離感はかなり縮まったよ。……煩わしく感じるときもあるけど、こういうときにはこの見た目便利だよね。


「……さて、それじゃあ僕はそろそろ帰ろうかな。次は紹介する家の人と一緒に来ると思うから、それは覚えておいて」


「分かったわ」「りょうかぁ~い」


僕は2人に別れを告げて、施設を離れる。ついでに職員さんに差し入れも渡しておいたよ。お高いヤツだから、凄い嬉しそうにしてへこへこしてたね。現金な人たちだよ。

施設から離れた後は。


「あっ。目覚君!」

「お疲れ様です。目覚君」


「やっほぉ。2人とも。待たせてごめんね」


明里ちゃんと葵南ちゃんの2人と合流。2人の手にはそれぞれ買い物袋が提げられてるよ。

2人には借金ではない僕からの個人的なお小遣いを上げたから、それで買ったんだろうね。そこそこの額をあげたから、かなり自由に買い物できたと思うんだけど。


「目覚君、これから時間ある?」


「ん?あるけど?」


「美味しそうなお店見つけたんです。一緒に行きませんか?」


「行く!」


2人は僕に気を遣ってくれて、僕にもここでの遊びを楽しませてくれた。自分たちでも遊びながら、僕と行くところを考えてくれてたみたい。嬉しいねぇ。


「施設に行ってたんでしょ?どうだったの?」


「知り合いと面会でもしてたんですか?……はっ!まさか、新しい女の子を!?」


食事をしながら、2人に施設でのことを尋ねられた。彼女達には事前に誰か引き取る可能性があることを伝えてあるから、葵南ちゃんの言葉と表情はわざとだね。でも、それに便乗する形で、


「えぇ~。目覚君私たちだけじゃたりないのかぁ~。欲張りさんだなぁ~」


明里ちゃんがそう良いながら、僕の頬をつつんとつついて来る。本当はハッキリ否定したいんだけど、そういうわけにもいかず、


「いや、確かに女の子ではあるんだけどさぁ」


「「っ!?」」


正直に言うと、2人は驚愕の表情を。

それから、悲しみの混じった肥えで、


「……そっか。もう私たちじゃ足りないんだね」

「飽きられてしまったんですね。申し訳ないです」


「い、いやいやいや。その子達とそういう関係になるつもりはないから!というか、神道家に引き取ってもらうつもりだから!」


僕は慌てて否定する。女の子ではあるけど、今のところそうなるつもりはない。というか、姉である風花ちゃんには、僕ではなく主人公とくっ付いてもらいたい。良いストッパーになりそうだからね。……まあ、強制することはないけど。


「神道家に引き取ってもらうの?」


「そうだよ。一応監視の名目もかねてね。引き取った子供達に何をさせるのかっていうのを実際に体験した子達から聞き取っていこうと思って。本当に実態が改善されたのか、とかね」


「あぁ~。なるほど」


明里ちゃんは納得した様子。

……ふぅ~。良かった。変に誤解されなくて済んだよ。ここで修羅場とかになったら本当に困るからね。

とか思って安心してたんだけど、


「で?その引き取る可能性もある子は、誰なんですか?」


「誰?……誰かっていえば、風花ちゃんと美春ちゃんかな」


「風花と美春。まあ、当たり前ですけど聞き覚えは……ん?風花?風花ってもしかして!」


あぁ~。葵南ちゃんは分かってしまったみたい。僕は諦めて、正直に話すことにする。ここで嘘をついて、それがバレたときの方が面倒だから。


「そうだよ。桜田風花ちゃん。例の子が恋する相手だね」


桜田っていう名字で分かったかもしれないけど、そうなのである。桜田風花って、どこかで見覚えがあったんだよねぇ。

それでゲームの2をもう1回やってみたら両親と別れる前の1枚絵で、風花ちゃんが屋上で告白されるものがあったんだよ。そこに描かれていたのが前作の主人公君。つまり、完全に僕の思考がつながったわけだね。


「……やっぱり、物足りなかったんですか?」

「あの子が惚れる相手だし、やっぱり可愛かったんでしょ?……目覚君、せめて捨てないでくれると嬉しいな」


「い、いや!違うから!本当に神道家に引き取ってもらうつもりだから!!」


その後、2人をなだめて機嫌を取るのに苦労した。途中から僕のコスプレが始まりだしてからは、演技なんじゃないかと思ったけどね。……でも、たまにはこうして僕へのストレスを発散せてあげる機会も大事……だと思うことで、僕の心の平穏を保っておくとするよ。

あぁ~。恥ずかしかった。

それから数日後、神道家と桜田姉妹を引き合わせたんだけど、2人が心配したことは起こらず、


「素晴らしい才能ですね。家で引き取らせて頂きます。引き合わせて頂き、誠にありがとうございます」


「お役に立てて何よりだよ」


神道家が引き取ることが決まった。姉妹には事前に神道家のことを伝えてあって、


「え?神道家って。神道さんの家かしら?」


姉である風花ちゃんの方がそんな質問を。同じ学年出し名前は知ってたんだね。

美春ちゃんの方は、神道さんって誰?って言う顔をしてるよ。


「神道さんっていうのがどの神道さんかは分からないけど、少し前まで風花ちゃんと同じ高校にいた葵南ちゃんのことならその通りだよ」


「へぇ!じゃあ久しぶりに神道さんに会えるのかしら?」


「ん~。今は葵南ちゃんは家で引き取ってるから、神道家にいっても会えないんじゃないかな。家のとの関係は切ってたし。……それに、葵南ちゃんの気持ちの整理がまだ付いてないかもしれないから、まだ会うのはやめておいた方が良いと思うよ」


「そうなのね。残念。……でも、気持ちの整理ってどういう事?」

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