24.見つかっても問題ないよね?
深夜にまた投稿します。
「じゃあ、これからはもっと距離が縮まるようにアプローチしていかないとね!」
「うん!頑張る!」
勿論私も頑張る。ここで葵南とも目覚君がつながったら、今まで我慢して私に回してた気持ちが葵南に行ってしまうから。だから、それ以上のものを私は目覚君に与えなければいけない。
……目覚君が求める物って一体何だろう?
「どうすれば良いか、一緒に考えようか」
「え?手伝ってくれるの?ありがとぉ!」
葵南は私にお礼を言う。でも、お礼を言われるようなことをするだけのつもりではない。私は私で、葵南の考えたものを利用させてもらうつもりだから。
「目覚君、どうやったら喜んでくれるかな?」
「靴下と猫耳を着けて、語尾をニャンにして話すのは?」
「え?……靴下と猫耳って事は、他には何も着ないって事?」
「そう」
え、えぇ~。それ、本当に喜ぶかな?確かに猫耳がどうこうとか最近スマホで見たけど……。
《side小川目覚》
「「にゃ~ん」」
ご飯ができたから呼びに行こうとすると、僕は2人、いや2匹の可愛い猫ちゃんに誘惑された。
……ズルくない?明里ちゃんは顔を赤くして、凄く恥ずかしそうに「にゃ~ん」て言ってくるんだよ。葵南ちゃんの方は逆に全てさらけ出すような格好で見せてくるし。どっちもかわいく見えちゃうよぉ!でも、ご飯前だからあんまり激しくやるのもちょっと……。
「……むぅぅぅ。明里ちゃん、今日の夜はそれでお願いね」
「えっ!……ま、まあ、良いけど」
「ついでに首輪とリードも」
「それはなしで!」
明里ちゃんに拒否されてしまった。今の流れなら上手くいくと思ったんだけどなぁ。
……なんてことを話したり思ったりする事で、どうにか僕は心を保たせている。明里ちゃんの方は後でもう1回見るって事で気持ちをとどめることができたね。そしたら残りは葵南ちゃんだけど、
「口開けて。ここでやる」
「っ!は、はい!」
葵南ちゃんにはご飯前のアレをすることで、どうにか落ち着けた。心をと言うより、体を落ち着けた形だね。ちょっと無理矢理な感じだったから、まだ心が完全には落ち着いてないけど。
「ねぇ。目覚くん。これ、そんなに良いかな?」
僕の気持ちが昂ぶったのは分かるようで、猫耳を指さしながら明里ちゃんはそんな質問をしてくる。まだ恥ずかしいようで、体を隠すようにしながら指さすのがなんとも言えないね。
でも、口で「良い」っていうのもなんか負けた気がするみたいで嫌だな。……なら、
僕は素速く動いて、明里ちゃんの頭の猫耳カチューシャを奪い取る。そして、
「にゃ、にゃ~ん」
ちょっと恥ずかしいけど、自分で着けて鳴いてあげた。
「「っ!~~///」」
2人は揃ってもだえてるね。これで、可愛いのは分かったかな?
そう思って僕は猫耳を外そうと思ったんだけど、
「待って目覚君!」「待って下さい目覚君」
2人に止められた。2人でがっしりと片腕ずつ捕まれて、僕は手を動かせない。
……というか明里ちゃん、さっきまで凄い恥ずかしそうにしてたのにな。今はもう見えるのとか気にせずに僕の腕を掴んでるよ。それだけ気付かなくなるくらい興奮してるんだろうけど。
「「目覚君!今日はそのままでお願い(します)!!」」
腕を掴んだ2人から、そんなことを言われてしまった。どうやら、かなりお気に召したようだね、僕の猫耳姿。
僕は2人の圧に押されて断る事なんてできず、
「わ、分かったよ。……恥ずかしいから、今日だけね」
「「いえぇ~い!やったぁぁ!!!」」
僕が頷くと、2人はハイテンションで喜ぶ。その後、2人時は猫耳を着けた状態で凄く可愛がられた。いつもは僕にいじめられたそうにしてる葵南ちゃんも、今日は僕を凄く可愛がってたね。
まさか夜に、僕まで猫耳を着けた状態でいる羽目になるとは思わなかったけど。……まあ、それで猫耳の明里ちゃんが乱れるところが見れたからよかったかな?……よかったよね?
《side???》
「次、どうする?」
「また目覚君に何か着けて欲しいよね。……魔法少女のコスプレとか、どう?」
「ああ!良いかも知れない!メイド服とかは?」
「良いね!目覚君のサイズに合ったのを選ばないと……」
《side小川目覚》
猫耳の後、何日かおきに着せ替え人形にされた。同じコスチュームを明里ちゃん達もしてたから文句を言うことはなかったけど、割と恥ずかしかったね。僕が可愛いのは認めるけど、さすがにねぇ……。
「あっ。そうそう、目覚君」
「ん?どうしたの葵南ちゃん」
コスプレ地獄のことを思い出していると、葵南ちゃんに話しかけられた。僕が葵南ちゃんの方を見ると、何か言うより先にスマホを見せてきて、
「この間の友達からの連絡なんですけど、例の子に私たちの住んでる家を教えちゃったみたいなんです」
「あぁ~。友達に会ったのもバレちゃったんだ」
どうやら主人公に嗅ぎつかれてしまったみたい。
「ですね。すみません。目覚君」
頭を下げる葵南ちゃん。べつに悪いのは葵南ちゃんではないから……いや、かなり葵南ちゃんが原因な所もあるけど、とりあえず怒ったりはしない。もちろん、ここを教えちゃった葵南ちゃんの友達にもね。
それよりもまずは、情報収集が大事。
「どの程度その子は分かってるの?」
どの程度主人公が知ってるかによって、こちらの対応も変わってくる。近くの駅を知ってるのか、住所を知ってるのか、高校を知ってるのか。
駅を知ってるならそこまで警戒しないし、住所を知ってるなら別の別荘に引っ越せば良い、高校が知られているなら、転校すれば良いしね。
「とりあえず駅は知られたかもしれないです。それ以上の詳しいことは聞いてないので……すみません。聞いた方が良いですか?」
「うん。聞いておいて。場合によっては引っ越しするから、そのつもりでいて」
「わ、分かりました」
近くにいた明里ちゃんにも目線を送る。明里ちゃんは無言で大きく頷いた。
高校との距離もあるから、僕の持ってる物件に引っ越すか新しい物件を買うのかも考えないと。3人以上で住める家ってあったかな?ついでに、防音機能もシッカリした家。
なんて思っているときだった、
ピンポーン
「「「………………」」」
インターフォンの音が。
僕たちは無言で見つめ合う。もしかしたらそうなのかもしれない、と。
僕たちの会話はフラグだったのかもしれない。
「……だ、誰が出る?」
「わ。私が出ます」
僕の問いかけで、葵南ちゃんが立候補した。少し怯えた様子だけど、覚悟は決めてるみたいだね。
「元は私の不注意が起こしたことです。これくらいはやります!」
「そう。じゃあ、よろしく。頑張って!」
「葵南!頑張れ!」:
僕と明里ちゃんは、葵南ちゃんへ応援の言葉を。その心意気は素晴らしいね。自分がまいた種は自分で収穫するっていう心意気は。
できるなら、事が大きくなる前に気付いてほしかったものだったけど。
「は、はい。どちら様でしょうか?」
インターフォンの向こうへ問いかける葵南ちゃん。緊張した表情だね。
でも、まだ向こうが主人公だって決まったわけじゃないから。何かの荷物の可能性だって充分にあるわけで
『……葵南か?」
「あっ……うん。そうだよ」
主人公だったあああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!
僕と明里ちゃんは頭を抱えた。葵南ちゃんは盛大に表情を引きつらせてるね。人差し指をもう通話を切るボタンに向けてるよ。本当なら今すぐにでも会話を終了したいんだろうね。
でも、葵南ちゃんにとってもコレは良い機会だよ(たぶん)。ここできちんと主人公と向き合わないと、後々に禍根が載るから。




