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21.盗み聞きされても問題ないよね?

「……って、本題からそれてた。バレるかもしれないって話だよ」


私は話の流れを修正する。


「お仕置きがあるなら私はバレても良いけど……下手なことを言うとやっぱりバレちゃうかな?私が毎晩扉の前で聞き耳立ててること」


そう。葵南は毎晩、私と目覚君の夜に聞き耳を立ててる。聞き耳を立ててるだけじゃなくて、自分でも想像して色々してるみたいだけど。

それでも隠せるように準備とか処理とかきっちりしてるみたいだから、今のところバレてないけどね。でも、下手なことを言ったりするとそろそろバレてもおかしくないと思うんだよ。


「さっきの感謝だって、昨日の目覚君が言ってたことが原因でしょ?」


「そうだけど……」


「あまりにもあそこで感謝するのは不自然だったし。やっぱり今のままだとバレると思うよ」


目覚君の引き取って良かったと思ってるって言葉から、自分の行動が本当に正しかったのか不安だったことを読み取れた。だからこそ、その不安を少しでも払拭できるように葵南は感謝を口にしたんだと思う。私もそれに乗っかる形で感謝したんだよ。

目覚君はあのとき少し照れててそこまで頭が回ってなかったみたいだけど、今の落ち着いた目覚君がどこまで読み取るかは分からない。もしかしたら、葵南が毎晩聞き耳を立ててることはすでに予想が付いてるかもしれない。


「気をつけなよ」


「うん。一応気をつけるよ」


葵南に釘を刺しておく。でも、その次の日、


「ねぇ。葵南ちゃん」


朝。目覚君は朝食前に、葵南を呼んだ。そして見せるのは目覚君のスマホ。そこに映ってるのは、


『アッ//んん~////』


自分をいじめて、顔を赤くしている葵南。そして、その後ろから微かに聞こえるのは、私と目覚君の声。背景には扉が映っていて、葵南がいる場所がハッキリと分かる。

どうやら盗み聞きはバレてしまったみたい。


「さぁ。駄犬。素直になりな?」



《side小川目覚》

僕は笑顔でスマホを突きつける。昨日少し気になって、廊下に仕掛けておいたんだよ。そしたらそこにバッチリと葵南ちゃんの姿が映ってた。


「さぁ。駄犬。素直になりな?」


「あっ。えとぉ。その、これはですね……」


目を泳がせ、焦る葵南ちゃん。いけないことをしたという認識はあるんだね。

ただ、顔を赤くして内股になっているのは頭のピンク色なところがうかがえるね。お仕置きのこととか考えてるのかもしれない。

でもね、


「あのね。葵南ちゃん」


「は、はい!」


緊張し表情の葵南ちゃん。それに僕は、


「……さ、さすがに僕だって、夜のこと聞かれるのは恥ずかしいんだからね?」


「「……ほぇ?」」


顔が赤くなるのが感じる。そんな僕に、明里ちゃんと葵南ちゃんは首をかしげた。

でも、考えてみて欲しい。


「これを見る限り、凄い手慣れてるじゃん?かなり前からやってたんでしょ?と言うことは僕の普段隠してる本音とか聞かれちゃってるわけで……」


更に顔が赤くなるのを感じる。

でもね。仕方ないんだよ。折角葵南ちゃんに隠して、本音と建て前の分別がつくようにしてたのにさ。それがバレちゃったんだから。

そんな僕が赤くなって顔を隠してるのを見て、2人は、


「め、目覚君が、いつも以上に可愛いんだけど」


「こ、これは戻れない。もうこの魅力は手放せないよ」


と言いだした。葵南ちゃんはともかく、明里ちゃんはもう少し恥ずかしがって欲しいんだけど。夜のあんな声とか聞かれちゃってるんだから。

……まあ、始めた当初から分かってたんだろうなぁ。でも、僕には黙ってた、と。


「明里ちゃん、後でお仕置きだから」


「えっ!?私!?私何もしてないじゃん!やるなら葵南にしてよ!」


表情を変えて慌てる明里ちゃん。僕ほどではないだろうけど、顔は赤くなってる。きっといつもより激しいのを想像したんだろうね。

そして明里ちゃんの言い分だけど、


「勿論葵南ちゃんにもお仕置きはするけど……」


僕はそこまで言って、葵南ちゃんを見る。その顔には満面の笑みが浮かんでいて、


「何ですか?私何して貰えるんですか!?い、いつもより痛くても我慢しますよ?」


凄い期待した視線を向けてくる。お仕置きとか確実に意味ないよね。何もやらないことが1番のお仕置きになると思うよ。

でも、恥ずかしいだけでそこまで怒ってるわけでもな言うからなぁ。何にしようか?


「大人のおもちゃとか買ってあげたら、盗み聞きやめてくれる?」


「やめないです!……で、でも、そのおもちゃは興味あります!買って下さい!!」


「そ、そっか」


葵南ちゃんに大人のおもちゃを買ってあげることが決定した。でも、再発防止策にはなりそうにない。葵南ちゃんが反省してくれるけどそこまで厳しくないお仕置きって、難しいんだよねぇ。

って思ってたら明里ちゃんが、


「ご飯前のアレを1日休んだら?」


そんな提案をしてきた。アレって言うのは1つしかないよね?


「え?アレを休むの?……まあダメではないけど」


ダメではないけど、僕としては少し残念な気持ちもある。一応僕としても最近は葵南ちゃんが苦しそうじゃないから、楽しくなってきてるんだけど。

なんて思ってたら、


「代わりに私が、食前の運動してあげるから。……ね?」


明里ちゃんがそう付け足してくる。それなら良いね。僕も我慢せずにすむ。とうより、いつも以上に良いかも知れない。


「分かった。……じゃあ、葵南ちゃん。今日はアレ抜きだからもう食べて良いよ」


「え?えええぇぇぇぇ!!???それはご勘弁を!!」


葵南ちゃんは縋り付いてくるけど、僕は首を振る。これもお仕置きだから……たぶん別の人が同じ状況なら、かなりご褒美だと思うけどね?


「ダメ。ちゃんと反省して。……じゃあ、行こうか明里ちゃん」


「うん!」


「そ、そんなあああぁぁぁぁ!!!!?????」


絶望した表情でこちらを見てくる葵南ちゃん。それを見捨てて僕たちは、ベッドへと移動した。明里ちゃんの朝ご飯は後で温め直してあげないとね。

置いてかれた葵南ちゃんはその後、


「本当にすみませんでした!!ゆるして下さい!!」


1日中土下座してきた。朝も昼もずっと。しかも、なぜか服を着ないで。

これは反省してるのかそれともこの土下座自体に快感を得ているのかが微妙なラインだね。僕には判断ができないよ。変態を理解するのは難しい。

だから、結局僕はその日の罰をやめることはなかった。

そしてその日の夜。反省した葵南ちゃんは扉の前で聞き耳を立てたりはせず、


「し、失礼します」


「「…………」」


入ってきた。寝室に。

コソコソしたりはせず、隠さずに見てしまおうと考えたのかもしれないね。確かにそれをするなとは言ってないけどさ。

言ってないけど、ベッドの上にいた僕たちは無言で頷き合い、


「「出て行けぇぇ!!!!」」


「え、えええぇぇぇ!!そんなあぁぁぁぁ!!!」


葵南ちゃんを寝室から追い出した。

夜の葵南ちゃんをどうするのか、本格的に検討しないといけないね。


「どうしようか」


「どうしようかぁ~。あの様子だと、また何か別の方法を考えてきそうなんだけど」


いつの間にか盗聴器が仕掛けられてたりね。色々と可能性は考えられるよ。だからこそ、何か妥協案が必要だと思う。葵南ちゃんをこれ以上暴走させないように。

ということで次の日。学校がある日だったからそれが終わって、


「会議するよ!葵南ちゃんが僕たちの諸々を盗み聞きしたり盗み見しようとしたりする件について!」

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