18.電車で行っても問題ないよね?
「あっ。囲うのは決まってるんですね」
葵南ちゃんは意外そうな顔に。僕のガードが堅いから明里ちゃんしか相手する気は無いとでも思ってるのかな?葵南ちゃんだって自分で気づけてない問題さえ解決してくれればいくらでも押し倒すんだけど。
「色んなところが僕との繋がりは求めるからね。何人かは受け入れることになると思うよ」
数人はそういう目的で僕に近づいてきてる子もいる。どっかの会社の社長の娘だったり、幹部の娘だったり。会社のために!って言う子も結構いたね。
そんなことを思い出す僕に、葵南ちゃんは首をかしげて、
「お金が目当ての子は嫌なんじゃないんですか?」
なんて聞いてきた。僕がさっき女の子の好みでそう言ったばかりだからね。矛盾を感じてるのかもしれない。
確かにその通りではあるんだよ。でも、
「そういう子はお金だけが目当てとは限らないんだよ。僕とつながるということ自体を求めてる子も結構いるから。僕のお金じゃなくて、僕とつながることで会社に利益が出ることだったりね」
「あぁ~。そう言うのなら良いんですね。……やはり目覚君には私の知らないことが沢山です。もっと勉強しないといけませんね」
葵南ちゃんはそう言って笑い、僕の手を握る力を強めた。何か心境の変化があったんだろうけど、どんな変化なのか分からないから怖いね。更に扉が開いちゃってないか不安なんだけど。
とりあえず落ち着けよう。
「あんまり焦っちゃ駄目だよ。葵南ちゃんには、沢山未来の可能性があるんだから。ゆっくり、過去も振り返りながら決めな」
「はい!……でも、過去も振り返りながらですか?」
僕の言葉に元気よく頷いた後、首をかしげた。
普通は過去は振り返らずに、今と未来のことを考えよう!みたいに言うところだからね。でも、僕は葵南ちゃんに主人公のことを思い出して欲しいから。
例え過去の男だとしても、もう少し気にしてあげて欲しいかな。僕の心の平穏のためにも。
「焦って周りが見えなくなってたときがあるでしょ?そういうときに大事なことを見落としてるときもあるから、そういうのを振り返って思い出して欲しいなと思って」
「焦って周りが見えなくなってたときに身落としてたもの……沢山ありそうですね」
葵南ちゃんが少し遠い目をする。それはもう葵南ちゃんには沢山思いつくだろうね。僕の所に駆け込んできたときとか、凄い軽率で周りの見えてない行動をしてたし。
「色々考えてみますね。アドバイスありがとうございます」
「ううん。気にしないで。葵南ちゃんはペット卒業後がきっと大変だろうから」
「ペット卒業後……やはり卒業しなければいけないんでしょうか」
僕の言葉ではっとした表情になった後、寂しそうな目で僕を見てくる。
え?何?卒業したくないの?一線越えて進んだ関係になりたいのかペットのままでいたいのか、立場がハッキリしないね。葵南ちゃんの望みが僕には分からないよ。
なんてモヤモヤしてると、
「あっ。帰ってきちゃいましたね」
「そうだね。お散歩終了だよ。僕は夕ご飯作らないとなぁ~」
家に戻ってきた。葵南ちゃんは手と顔を洗って、自分の部屋に戻っていく。
僕は夕食を作り始め、今回の散歩を振り返る。
散歩してて葵南ちゃんの気持ちも少し分かったね。向こうも僕の望んでる距離感が分かってくれたと思うし、たまにはこういうのも良いかも。明里ちゃんともベッドの上以外の2人の時間を作った方が良いかな。ベッドの上だとすぐに寝ちゃうことも多いし。言いたいことを言える時間を作っても良いでしょ。
色々発見もあったし、今後に活かしていこう。
「……よし。完成だね」
散歩の振り返りと今後のことを考えてると、夕飯が完成。残念ながらカルボナーラではないよ。葵南ちゃんもそのままカルボナーラなを犬食いするのは難しいだろうからね。どうせなら、お弁当に入れて美味しく食べてもらいたい。
「2人とも~。ご飯できたよぉ~」
「「は~い!」」
2人の部屋の近くで呼びかけると、返事が返ってくる。そして、数分して2人が集まってきた。そしたら早速、
「目覚君。今日は、ここでやってもらっても良いですか?」
僕が呼びかける前に葵南ちゃんは場所の指定をしてきた。すでに服は脱いで準備は万端だね。
で、指定された場所なんだけど、葵南ちゃんのトイレだよ。どうやら、
「……っ!っ!!!!」
口に詰め込まれてる間、葵南ちゃんは自分で自分に快楽を与えるみたい。苦しいのと快楽を感じるのが混ざって、顔がものすごいことになってるよ。でも、美少女だからそんな表情もよく見えちゃうのがズルいね。
「……あ、ありがとうございました」
口の中の液体を飲み込んで、お礼を言ってくる葵南ちゃん。自分に快楽を与えてたから、いつもより激しく肩で息をしてるね。でも、凄く満足げな表情をしてる。
そんな葵南ちゃんと僕の様子を見ながら明里ちゃんがぽつりと、
「2人が知らない世界に行っちゃった。……私はついて行けないよ」
呟いた。
待って明里ちゃん。僕はそっちの世界には行ってないから!変な世界に行っちゃったのは葵南ちゃんだけだから!!
なんて思いながらも、むなしい言い訳にしかならないから何も言わずに夕食を食べた。……心にしみるおいしさだね。
それから数日。
「ここに来るのも2回目だねぇ。……駅から来るとこんな感じなんだ」
「目覚君は前回飛行機で来たんでしたっけ?」
「帰りもアレだったから、来たときもアレに乗ったんだろうね……アレを個人所有って意味分からないけど」
僕たちは葵南ちゃんの実家、神道家の近くの駅に来ていた。僕の言葉に葵南ちゃんが思い出したことを口にし、明里ちゃんが遠い目をする。僕の飛行機を思い出したんだろうね。
「じゃあ、私は行ってきますね」
「うん。行ってらっしゃい。帰る時には連絡して」
「はい。そうします」
今回来た目的は、葵南ちゃんを前の学校の友達と会わせること。僕達は付き添いだけどわざわざ葵南ちゃんの友達とまで会う必要は無いよね。
ということで、明里ちゃんと一緒にこの辺りで遊んでいることに。僕たちは葵南ちゃんに手を振って、賑やかな街へと繰り出していく。
「調べた限り、この辺りに美味しいスイーツバイキングがあるみたいなんだよ!」
「ふぅん。良いね!行ってみようか。混んでないと良いんだけど」
僕たちは2人とも甘い物が好き。となれば、スイーツバイキングはぴったりだね。お昼ご飯はそこで済ませてしまえば良いかな。明里ちゃんは大食いだし、バイキングだといつも以上に食べそうだなぁ。僕はほどほどに抑えておこう。
で、行ってみると、
「あっ。これおいしい!」
「これも美味しいよ」
結構楽しめた。休日だから予想通り混雑してたけど、それでも数十分待って入った。待ち時間は2人で話ができたから良かったよ。葵南ちゃんとの散歩の後に2人の時間が取れたらと考えてたから、早速それが作れた形だね。
話の内容は近況とか、勉強の話とか。あとは、明里ちゃんが最近ぬいぐるみ作りにハマったって言う話もしたよ。もう少し上手くなったら僕のぬいぐるみも作ってくれるってさ。楽しみだね。
「目覚君!見て!5段のケーキだよ!!」
「お、おぉ。沢山摂ってきたね」
明里ちゃんは色んな種類のケーキを大量にとって、5段に積み重ねたりしてた。楽しんでいるようで何よりだよ。ただ、周りの視線を少しは気にして欲しいかな。5段のケーキとか結婚式かよ、みたいな目を向けられてるから。




