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13.期待されても問題ないよね?

今日はもう一度投稿します!

《side四ノ原明里》

目覚君が食器を洗ったりとか片付けをしてくれている間。私たちは出掛ける準備をしに部屋へ向かう。その間、


「どう?ここの生活」


「うぅん。……新鮮、だね」


葵南から話を聞く。苦笑しながら新鮮って言ってるけど、そこまで悪印象を抱いているようにも見えない。ご飯前にあんなに凄いことやってるのにね。


「目覚君からやられてるのは嫌なんでしょ?」


「え?……あぁ。うん。嫌、だね」


少し歯切れの悪い返答が返ってくる。嫌ってはっきり言って追い出されたくないとか思ってるのかな?……そうだよね?

なぜか何かが引っかかるように感じたけど、きっと気のせいだと思う。それより、部屋に戻る前に話しておきたかったことを話そう。


「……私たちの昨日の話、葵南聞いてたよね?」


「っ!」


葵南は肩をふるわせて、目を見開く。それからばつが悪そうな顔をして、


「い、いやぁ~。ばれちゃってたかぁ。……ごめんね。そんなつもりじゃなかったんだけどさ」


「流石に分かるよぉ。私は気配に敏感なんだからさぁ。目覚君は気付いてなかったみたいだけどね」


因みに最初から私たちのあれこれに聞き耳を立ててたのも知ってるけど、そこには触れない。その話するとどっちも恥ずかしくなりそうだからね。ベッドの上のあれこれを聞かれてたと思うと……今思うと恥ずかしいなぁ。


「で?目覚君の話を聞いてどうだったの?戻るなら早く戻った方が良いって話だったけど」


私は羞恥心がこみ上げてくる前に話を変える。ここが1番大事なところだから。目覚君は直接言わないみたいだけど、私はちゃんと聞いておきたい。私たちに何か迷惑をかけられて、目覚君との時間が減っちゃうのが……ね?


「……私は、まだ決めかねてるの。ただ、圧倒的に帰りたくないって気持ちの方が強いかな。もうあいつの顔も見たくないし」


葵南は戻りたくないって気持ちの方が強いみたい。ただ、目覚君は少しでも帰りたくなる可能性があるなら早く帰った方が良いって言ってたんだよね。これだと帰った方が良いって結論になりそうだけど。


「ふぅん?顔も見たくないかぁ。……ここに来る前はそこまででもなかった気がするんだけど」


「あ、あははぁ。……明里と目覚君のを見てると、あいつがどんどんひどく見えてきちゃって。私もここまでになるとは思ってなかったんだけど」


葵南は笑う。でも、気持ちは分かるかもしれない。目覚君とあの子を比べちゃうと、ね?

目覚君の性格が良いとは言わないけど、女の子に近づかれて終始だらしない顔してセクハラしてるあの子よりは断然良いと思うんだよ。それに、顔も雲泥の差だしね。


「じゃあ、よりを戻すのが嫌って事かな?」


「そうだね。アレに触れられると思うと……戻りたくないね。勿論家に好きなように使われるのも嫌だけどさ」


なるほどなるほど。帰りたくない理由とその気持ちの強さは分かったよ。私も今の状況から考えて、共感できることはかなりある。今だからこそ共感できる、とも言えるかな。

生け贄になるって話の以前はずっと、神道家に尽くすことが私の生きる道だと思ってたからね。葵南には共感できなかったかも。

で、共感したから次は、


「うぅ~ん。それでも、全く帰りたいって気持ちがないわけではないんだね?」


「そう、だね。やっぱり向こうには友達も何人かいるし」


「あぁ~。知り合いがいないところで生活するのは不安だし、友達がいないのは寂しいって事?」


「うん。お別れも言えてないから、ちょっとね……」


葵南はそう言って、暗い顔で下を向く。私にはまだよく分からない感情だけど、目覚君に言えばどうにかしてくれるかもしれない。


「目覚君に、お別れの挨拶をしたいって言ってきたら?それくらいならやってくれそうだけど」


「そうかな?まだ目覚君がどこまでやってくれるのかとか、よく分かって無くて。……何かしてくれても、その分ひどいことされたりしないかな?」


「さぁ?」


私は首をかしげる。でも、私が首をかしげたのは、目覚君が何か要求するかどうかではない。私は目覚君はそのくらいだったら何も要求せずにやってくれると思うから。そこはあまり心配してない。

ただ、私が首をかしげたのは、


「何か、されちゃうのかな……ふふっ」


まるで何かされるのを期待するように、葵南が笑顔を浮かべていたから。


《side小川目覚》

「……これで良いかな?」


「はい。ありがとうございます。目覚君」


「いやいやぁ~。気にしないで」


葵南ちゃんの部屋。そこには今日買った沢山の家具が。もちろんベッドもあるよ。明里ちゃんと違ってね。葵南ちゃんはその部屋を見ながらお礼を言ってくる。僕にとっては大した金額の買い物でもなかったから、本当に気にしないで欲しい。


「じゃあ、トイレもこの部屋に置いても……」

「いや。トイレはリビングだから」


「は、はい」


僕がはっきり言うと、葵南ちゃんは頷いた。その顔に笑顔が浮かんでるのは、あきれてるからだよね?決してそれ以外の理由では……ないよね?

なんて思いながら、僕はキッチンに向かう。これから夕食を作るよ。と、思ったんだけど、


「えっ!私のトイレを見たいんですか!?」


何を誤解したのか、顔を赤くしながら葵南ちゃんがそう言ってきた。

確かにキッチンに行くためにリビングへは行くけどさ。わざわざトイレシーンを見たいとは思わないよ。思わないんだけど、


「わ、分かりました。私、頑張ります」


とか言われて、誤解とか言うのもちょっと心苦しいじゃん?

結局僕と葵南ちゃんは2人でリビングに行って、


「じゃあ、やりますね」


葵南ちゃんは下を脱ぎ、ペット用のトイレに腰を近づける。そして、液体を垂れ流し魔始めた。

……僕はいったい何を見せられてるんだろうか。そして、葵南ちゃんはなぜそんな顔を赤くして、ちょっと息を荒くしているのだろうか。

僕は少し、いや、かなりドン引きするのだった。ただ、そんな僕の表情を見た葵南ちゃんが更に息を荒くしていたのには頭が痛くなったかな。何か間違った方向に進んでしまっている気がするんだよねぇ~。気のせい、だよね?

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