第五話「宮司・三笠善太郎」
陽子は家を出て、駆け足で赤津神社を目指していた。
「もう、神様くらいしか頼めるものないよ!」
陽子は切迫した気持ちで全力疾走していた——
そして——
「着いた…。」
ここが赤津神社。金箔が所々に施された鳥居が綺麗な荘厳な神社だった—
「んん〜と、宮司?の三笠善太郎さん?は何処かな?」
陽子はひとけの無い神社を見渡した——
人がいる気配が無い——
「今日、休みなのかなあ」
帰ろうとした、その瞬間——
「おい、お前、何か用事あってきたんだろう?さい銭くらい入れていけよ」
思わず振り返ると、
そこには——
学ランを着た、十代そこそこ?なのか、ヘタしたら高校生くらいの男が立っていた——
「え?あなたこの神社のヒトですかあ?」
陽子は率直な質問をした——
「そうだよ。俺がこの赤津神社の宮司、三笠善太郎!なんか悩みあんだろう?聞いてやるよ。お祓いしてやってもいい」
陽子は驚いた——
宮司というからには、もっと威厳があって、年のいったお爺さん、またはおじさんを想像していたからだ—
「あなたが宮司?ただの高校生にしか見えないけれど——」
陽子が全部言い終わる前に善太郎は怒りに満ちた様子で——
「歳や背格好で人を判断するな!学校で習わなかったか?!そうだよ、確かに俺は現役の高校生だ。だが、宮司の方が忙しくて学校には行けてねぇ。この仕事も大変なんだよ」
「それで——」
「それで?」
「悩みや災いから救ってくれるってホームページで見て……っ。」
善太郎は、ああ、あれかとでもいうように、頭を掻いて——
「ああ、あれは本当だ。だが、どんなものにも対価が必要だ。カネ、あるんだろうな?」
「えええっ」
陽子は驚愕した—