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第三話「孤独」
病院にて———
「脳にはなんの異常も見受けられません」
ここは、市立上奏院病院———
華江の紹介で、ある脳外科医に診断を受けていた陽子であった———
頭髪が左右に長く、中央が禿げている、白髪の初老の医師はそう言った。
陽子は納得がいかない、といった様子で、
「そんなハズないです!先生!!もう一度、ちゃんと検査してください!」
医師は、
「君は12歳だったね。多感な時期だ。精神的なモノだろう。大丈夫、一時的なモノだ」
「………。」
陽子は落ち込むほかなかった…。
そして翌日の学校で———
華江が、
「私の紹介した病院、どうだったあ?原因わかった?背後からの視線の!」
「それが…」
陽子は真実を言い出そうとしたが、直前で、華江がせっかく紹介してくれたのに、期待を裏切りたくない、という思いを強くし、
「脳の一時的な幻覚症状だってさ〜、だから時期に治るよ。ありがと!華江!」
華江は、
「良かった〜!これでもう変な心配しなくて済むね、良かったあ〜!」
華江は陽子に抱きついた。
陽子はどこまでも孤独だった——