第二話『大親友』
「私の後ろにいるのは誰!?」
大きな声で叫んでしまい、陽子はクラス中の視線を集めてしまった…。
しかし、陽子は恥ずかしさより、その背後霊?に対しての恐怖感の方が優っており、いっぱいいっぱいであった。
後ろの席の男子は、こいつ、わるいものでも食ったのか?とでも言いたげな顔をしていた。
「お前、大丈夫か?」
陽子は平静を取り戻し、
「ああ、いや、もう平気。でも、もう後ろ向いたんだから、キモくないでしょ?私」
「まぁ、でも別の意味で俺はお前は変わったやつだと思う」
休み時間——
陽子の友達、華江が、
「陽子、さっき、どうしたの?後ろにいるのは誰?って叫んで…。あなたの後ろに誰かいたの?意味分かんないよぉ〜」
陽子は頭を抱えて、
「分からないの、誰に言っても分かってもらえないとは思うんだけど、前向いてても、後ろ向いてても、頭の後ろから視線を感じるんだ。まるで誰かにずっと観察されているかのように…」
「幽霊?」
「分かんない。考えたくはないんだけど、そういう可能性もあると思う。脳の問題って場合もあるし…」
「私、お父さんの知り合いで、良いお医者さん知ってるから、その人に見てもらう?」
陽子は少し希望を持てた様子で——
「ありがとう。私、このことにずっと悩んでたんだ。親友である華江にも黙ってたくらい…。誰かに知ってもらえるだけでも嬉しいよ。そのお医者さん、ぜひ紹介して。」
そして下校途中——
華江は、
「ところで、陽子、なんで今日の今日まで全然後ろ振り返ったことなかったの?私は気づかなかったけど、あの男子が言った通り、それはちょっと変だったと思う、正直。」
陽子は突然悲しげな顔になって——
「そうだよね、キモいよね、私。なんて言うか、物心ついた頃から、後ろから見えない何かに見られてる様な気配がしていて、恐怖から後ろが向けなかったんだ。見たら、何か恐ろしい事が起こるんじゃないかって…」
華江はにっこり笑って、
「大丈夫!お医者の先生に診てもらえば、全部解決するよ!とにかく、私は陽子が普通になって欲しいから。いや、今が普通じゃないって言いたいわけじゃないよ?ただ、後ろの気配の正体がつかめれば、陽子も安心して暮らせるのかな、って」
陽子は涙ぐみそうになって、
「華江!あなたは私の大親友だよぉ!!」
陽子は華江を抱きしめていた——